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異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~  作者: 立沢るうど


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第百十九話……やっぱり悪法!

「えー、何々……『勇者とは、セントラル並びに各国が正式に認めた者であり、冒険または課題解決に優れたスキルを持ち、人々を助ける存在である』。

 まぁ、そうだよねって感じなんだけど、セントラル以外でも勇者と認められることがあるんだ?」

「この『並びに』が曲者ですね。各国が認めてもセントラルが認めなければ、勇者ではありません。そして、セントラルが認めれば、他国も認めていることと同義であることが別の所に書いてあります。いきなり無価値な文章の出現ですよね」

「罠にハメる気満々じゃないか」


 私達は勇者管理法の条文を前文から読んでいたが、思っていたよりも酷い内容だった。


「世捨て人っぽい記述がないんだけど……。強いて言うなら、『勇者は、地位、権力、名誉を求めてはならず、ただひたすらに人々のためを思う言動を取るべきであり……』ぐらいかなぁ」

「はい、その通りです。そこが思いっ切り拡大解釈されている箇所の一つです。同時に、奴隷条項とも言える部分ですね」

「そして、『勇者を貶める者は、全世界の人々を貶める者と同義であり、世界各国は直ちにその対応に当たらなければならない』で、勇者の名前を言ったり、騙ったりした奴を即座に処刑か。誰が貶めてるんだよ!」


「で、『勇者を志す者を一切妨げてはならず、周囲は志ある者の成長を促さなければならない』が、勇者の現実について一切触れちゃダメってヤツでしょ?

 これを書いた人が悪意を持ってるって分かってるから、異常な文章に見えるけど、そうじゃなかったら普通に受け入れちゃうよね」

「はい。私も最初に読んだ時は目を疑いました。一つの文章をここまで拡大解釈して許されるものなのかと。こんな所に理想と現実のギャップがあったのかと」

「ナイフのようなものだな。料理にも枝の伐採にも殺人にも使える。この場合とは違うけど、それを作った人の意図とは異なる目的で用いられてしまうことだってある。化学や物理学分野での発見なんて、まさにそうだ」

「当時のサルディア様が策定なさった『冒険者育成計画』と比較すると、より理解が深まるのではないでしょうか。こちらです」


 ユアさんが一つにまとめられた文書をたすくに渡した。


「私はこの政策案を初めて読んだ時、その素晴らしさと美しさに、とても感動しました。それ以来、よく拝見しにここに来ていたんです。法律の条文とは異なる書き方ですが、ビル様の条文と同じく、書き手の顔がよく見える文章だと思います」

「前文を抜粋してみると……『冒険者はその職業柄、命懸けの仕事を請け負う場合が多い。しかしながら、我が国のみならず、全世界において、強く勇敢で貴重な人材をみすみす失ってはならない。同時に、誠実な冒険者および冒険者を志す者が、自由と自己責任の下で、一切の保護も保障もされない現状では、冒険者数が著しく減少してしまい、そのことが我が国の将来の国力および洞窟探索における経済サイクル、そして財政に大きく影響を与えてしまうことは想像に難くない。よって、本政策においては、冒険者の保護と育成を目的に、ひいては我が国の繁栄と安寧を目的に、中央政府として国内外の冒険者に対してどのようなことができるかを主眼に、その手段をまとめ、実現するための計画を策定した。なお、我が国を取り巻く環境の変化に対応するため、本政策に対して、その目的を逸脱しない範囲で、都度修正を加えていくが、それらは恣意的または作為的に記述および解釈されないものに限定されることとする』」

「やっぱり、良いこと書いてるわ。これを読んで、国が冒険者や国民を騙すとは解釈できないからね」

「仮に拡大解釈できる余地があったとしても、良い方向にしか解釈できないような書き方になってますね。良い拡大解釈と悪い拡大解釈があることがよく分かります」


「ええ。この前文さえ読めば、細かい政策もそれに必要な法律や条文も、スッと頭に入ってきますし、当時のサルディア様の言動がこれに基づいていたこともよく分かります」

「そうだな。スキル所持者の保護や門兵への俺達の回答もそうだし、マリッサを国外の冒険者とみなして、その協力の下でプラチナ鉱石採取を成果にしたのもそうだった」

「たすく、『スキル持ち』って言わなくなったね。やっぱり、定義通りに言った方が良いから?」

「『スキル持ち』はそれだけ聞くと間違いではないですが、『スキル持ち』『スキル所持者』『スキル保持者』は、実は全て違う定義がされていますからね」


 セレナの意外な補足に、私は少し驚いた。


「え、そうなんだ」

「ああ。『スキル持ち』は、正式には『スキル未認識者』と呼ばれ、現時点で周囲から明確なスキルを持っているとは認識されていない人を指す。『スキル所持者』は認識されている人。『スキル保持者』は基本的に指定重要機密スキル以上にしか使われないが、認識されているかどうかは関係なく、一度でもスキルを使った形跡があり、今も使う機会や恐れがある人らしい」

「例えば、私が勇者を目指してセントラルに行った時は、スキルを持っていなくても、スキル未認識者です。自称『スキル持ち』が多かったことからも、そういう定義にしたのだと思います」


「へぇー、そういう所は妙にしっかり決められてるよね」

「やっぱり、不確定報告事件のように騙されたくないからだろうな。自分達は騙してるのに」

「自分が悪いことをしているから、相手も悪いことをしているに違いないと思うようなものですね」


 私達は、時折議論を交わしながら、読書に励んでいた。

 そして、今日だけでは十分な時間を取れなかったので、次の日のもう一日だけ、法政閲覧室に入り浸たることにした。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」

「おせっかいすぎ!」「言うほどおせっかいか?」


と思った方は、以下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします!


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星五つであれば、なおのこと!


ブックマークもよろしくお願いします!



最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


Xアカウント @tachizawalude

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