第百十五話……宝石検証と謎!
「虫とかは流石に無理だよね」
「無理みたいだな。俺が虫の声を聞きたくないからってわけでもない」
城に戻った私達は、国賓部屋で宝石の効果の検証を行っていた。ユアさんもいつも通りいる。
とりあえず、ラピスとプレア、リズには、モンスターや雲の形になってもらってから喋ってもらい、たすくが彼女達の言葉を私達に聞かせることには成功した。
しかし、どうも不思議だ。何が不思議かと言うと、ラピスのことだ。
「ちょっといい? ずっと気になってたことがあるんだけど、リズはともかく、虎の姿のラピスって鳴き声とか唸り声とかなくても、たすく達と話せてるんだよね?
それこそさっきの犬は、私も鳴き声と一緒に声が聞こえてきていて、そこで気が付いたんだけど、どういうこと?」
「あー、それは気が付かなかったな。ラピス、分かるか?」
「ううん、分からない」
「じゃあ、別の質問。男のロマンの話の時に、ラピスが『ロマリじゃないよ』って言ってたけど、確かに日本語では似てるんだよ。『ン』と『リ』が字面的に。
でも、みんなが話してるのは英語だから、そんな発想は出てこないんだよね。『ロマンス』とか『ロマンティック』まで発音して初めて意味が通るんじゃないかと思うんだけど、それも『男のロマン』とは違う意味だと思うんだよね。ラピスはどうして似てると思ったの?」
「確かに、みかの言う通りだ」
「あー、みかお姉ちゃん達の言葉と他の人の言葉って違うんだ? それも分からなかったな」
「え⁉️ ってことは、たすくと私みたいに、話し言葉は意識してなかったの?」
「……」
「そうだね」
すると、たすくが何かに気が付いたような様子を見せた。
「ラピス、今から俺が文字を書くから、それを読んでみてくれないか?」
「え、うん……」
ラピスの返事に、早速たすくが部屋の隅にある机の上からペンと紙を持って来て、文字を書き始めた。
「じゃあ、これを読んでみてくれ」
「『おせっかいパーティー 男のロマンとロマリ』」
「え⁉️ ラピス、やっぱり日本語は読めるの⁉️ 他のみんなは? ユアさん以外で」
「もちろん読めません」
「わしも」
「……私も……」
「不思議だね……」
そこで終わらず、たすくがまた何かを紙に書き始めた。
「次にこれを読んで、セレナに内容を伝えてくれ」
「え……『あいうえお これが日本語の母音だ』」
「いや、ちょっと待って! 書かれてるの英語じゃん!」
「た、たすく様、どういうことですか? 『あいうえお』のことではなく! ラピスちゃんは英語が読めなかったはず……」
「まだ続けてみたい。次はセレナが別のことを書いた上で、ラピスを経由してユアさんに何か伝えてくれ。俺とみかには途中見せないでくれ」
「……」
「……」
「……。で、ではこれを……」
セレナが書き終わると、紙をラピスに見せた。
「……。なんて書いてあるか分からないね……。英語だとは思うけど……。今まで出てこなかった単語があるし」
「いや、単語の問題ではないんだよ。まぁ、ラピスは頭が良いから、これまで俺達が作ってきた問題文から、意味の推察はできるだろうけど、俺が注目したいのは、『そこ』じゃない。
ラピスは、俺とみかのような異世界人が現地人とコミュニケーションできるようにしてくれる能力を持っているんじゃないかってことだ。みかの目には本質名が表示されてないから、スキルではなく元来の性質だろう」
「いや、でもこの前、プレアとラピスが私達から離れて洞窟Aに行ったでしょ。それでも、普通に私達はサーズさん達とコミュニケーションできてたよね?」
「離れていても、一定時間であれば効果が維持されるということでしょうか」
「……」
「おそらく。長期間離れた場合や俺達のことが嫌いになってどこか行った場合は、効果が切れるような気はする。
ただ、異世界人と現地人という区切りに限定するのも、そうではない気がしてるんだよな。
そこで、ラピスに一つ確認したいのは、俺とみか、あるいはマリッサと使用人が、初めて人間とまともにコミュニケーションできた存在ってことでいいか?」
「うん。『お姉ちゃん達』が初めて。それまでは一方通行だったからね」
「初めてが『俺達』だから、俺達に合わせたコミュニケーションができるようになっているのかもしれない。俺達の意図を『吸収』して」
「あ……それって、もしかして鉱石の色と関係したりする?」
「……」
「まだ可能性。そこで、さらにラピスに確認したいのは、今まで魔法攻撃を受けたことはあるかどうか。多分、ないと思うけど。ラピスなら、その瞬間に魔法を吸収できることに気が付いているはずだから」
「ないね。じゃあ、私に魔法を打ってみれば、それが確かめられるってことだよね」
「そうだな。軽い水魔法なら問題ないと思うから、ラピスがよければ確認してもいいかもしれない」
「今後、何かあった時にその能力を活かせるかもしれないからね」
「いいよ! やってみよう!」
「ありがとう、ラピス。虎の姿と人間の姿、両方で試してみようか」
それから、セレナがそれぞれの姿のラピスの右脚に、水鉄砲のような水魔法を放った。
すると、放たれた水がラピスの脚を滴ることなく、瞬時に肌に吸収されたように見えた。
「どちらの姿でも吸収できるんですね。回復魔法はどうなるんでしょうか。絶対に試せないですけど」
「大丈夫のような気はするけどね。私みたいな制約があるわけでもないと思うし。それとさ、今の水、多分放出できるんじゃない? そうじゃないと、コミュニケーションの『仲介』はできないから」
「風呂場で試してみようか。ついでに、ゆっくり入浴しよう」
「うん!」
いつの間にか宝石の検証よりも、ラピスの能力の検証が優先になっていたことは、誰も気にしていなかった。
「あ、ユアさんは、たすくがいるから流石にそのままの入浴は無理だよね? 希望するなら、たすくには目隠ししてもらうけど。最初はそうだったし」
「入浴着を持ってるから、それを着て入れば大丈夫かな。持って来るついでに、サーズ様にも許可をいただいてくる。そしたら、サーズ様も一緒に入るって言うかも……。
あ、でも、たすく様が光を制御すれば、問題ないんじゃないの?」
「ユアさん、簡単に男を信用しちゃいけないよ。女の子の秘密の会話を聞いてたのに、自分からは何も申告しなかった男をさ」
「え、そうなんだ……。たすく様って、やっぱりエッチだったんだ……」
「やっぱりって何だよ!」
「そりゃあ、セクハラ超大魔神だからでしょ。ユアさんの無関心スキルも効いたフリしそうだし」
「なるほど、その手も通用しないんだね……」
「いや、通用するから! でも、それだとユアさんが部分的にも無視されて可哀想だから提案しなかっただけで!」
「でも、ユアお姉ちゃんの裸は見たいよね?」
「誰だって見たいですよ。もちろん、私も。ぐへへへ」
「わしもユアとは裸の付き合いをしたいぞ!」
「……うん……みんなで裸になって気持ち良くなろう……」
性欲四天王が入ってくると、ややこしくなるんだよなぁ。
ありのまま伝えたら、サーズさんから許可されなさそう。
私達はユアさんが戻って来るまで、部屋でラピスの能力のコミュニケーション部分だけを検証していた。
「面白かった!」「つまらん……」
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