第百十話……また妨害者⁉️
私達一行は、広場の中央に着くと、回れ右して歩いてきた方を向きながら横に並んだ。
そして、丁度良いタイミングで、サーズさんとユアさん、その警護兵が到着した。先代と子ども達も来ている。
「さて、聞こえるかな?」
公開処刑時と同じように、たすくがビルさんの声を一人一人に届けつつ、頭上に大画面を複数映し出した。
「事前に公表していた通り、モンスターと私達人間との友好関係を構築するに当たって、ただ今より、モンスター側からその意志を明らかにし、同時に友好宣言をしてもらう。
当然、陛下も王妃も私も、すでに彼らとは友好関係を築いており、この場にいる者達もすでに心の準備が整っているはずだと理解している。
あとは、他の首都民、国民がどう受け止めるかによるところだが、陛下が公開処刑完了宣言でおっしゃったように、それはこの場にいる全員で思いを届けて行けばいい。
なお、先日の公開処刑時と同様、妨害者が現れた場合は、『妨害者だ!』と叫び、それを聞いた前二列がさらに前に伝えてほしい。
それでは、洞窟Aのモンスターを代表して、トロールの『Tくん』から友好宣言をしてもらう!」
Tくんが誰なのかを周囲に認識させるため、たすくが彼を浮かせた。
彼の左手には、ビルさんから受け取った衣服が握られている。
「この場のモンスターは全員が人間の姿に変身できるが、その後は全裸になってしまうので、服を着る時間を設けている。この際、殿下のスキルにより、光を遮らせてもらう」
ビルさんの補足を聞いた後、たすくがTくんの反射光を遮断すると、真っ黒い立体の空間が彼を覆った。
「着終わった!」
すぐに空間の中からTくんの声が聞こえ、たすくが光の遮断を解除すると、周囲の人達からは、『おお!』という声が漏れ出した。
「人間の……サウズ首都の皆さん、こんにちは。私は『Tくん』です。殿下方から仮に名付けられました。友好宣言の前に少し話をさせてください。
私は、生まれて初めて、『緊張』というものを経験しました。洞窟Aから洞窟門を越えて、皆さんの前に姿を現した時のことです。
『緊張』とは、この先どうなるか分からない、失敗するかもしれないという不安と恐怖から起こるものだと思っていました。洞窟内で、私と人間が出くわした時、どちらかが死ぬかもしれないという恐怖が全員を襲います。そこで双方が緊張するのだと。
しかし、思い返してみると、その時の緊張と洞窟門を越えた時の緊張とは明らかに異なりました。
おそらく、洞窟内では、私は『緊張』していなかったのです。正確に言えば、心の底からの緊張ではなかった。なぜなら、何も背負っていなかったから。
しかし、今は違います。この場をセッティングしてくれた皆さん、この場に集まってくれている皆さん、人間と仲良くしたいと思っているモンスターのみんな、その全員の期待を一心に背負って私がいる。だからこそ、心の底から緊張し、心臓の鼓動が激しくなり、脚も震え、一歩前に進むだけでも勇気が必要でした。
そんな初めての緊張をした私は同時に、『緊張とはこんなに簡単に吹き飛ぶものなのか』とも思いました。
皆さんの応援と笑顔です。それらが私の、私達の緊張を吹き飛ばしてくれたのです。
そして、私達の素晴らしい人間仲間のかけ声が、緊張を『私達自身の期待』に変えてくれました。
モンスターも怖いのです。不安に思うのです。緊張するのです。
しかし、この人間達となら仲良くできる、仲良くしたいと思えるからこそ、その先に進めるのではないでしょうか。
そこには……人間とモンスターの間には、違いはないと思います。もし、違いがあったとしても……」
その時、左前方が騒がしくなった。
「妨害者だ!」
「え、また⁉️」
「把握した。中央に移動させる」
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