第百九話……宝石の効果⁉️
ビルさんを先頭、たすく以外のメンバーはビルさんの後ろに続き、たすくはシンガリでモンスター達を挟む形となり、メインストリートに向かった。
洞窟門を通れない大きさのモンスターは、たすくが浮かし、門と壁の上を移動させた。
一行がメインストリートに差し掛かると、多くの観覧者がその様子を見守り、モンスター達を見上げていた。
そのほとんどは、好意的な声をかけてくれて、実現方針が広まっていることを確認できた。
一方で、犬の鳴き声と共に否定的な声も聞こえてきた。
「お、大きい動物! 怖い! 怖いよ! あっち行け!」
「子どもかな……? 動物じゃなくてモンスターなんだけど……」
「……。その方向に子どもはいませんが……聞こえますね……」
その声はずっと聞こえてきていたが、確かに子どもの姿は見えない。
「もしかして……この宝石の効果で、犬の声が聞こえるようになったのかもしれない」
「えぇ⁉️」
遠隔のたすくの声で、私達は思わず振り返った。
「どうかしたか?」
「Tくんは聞こえなかった? 犬の言葉。『あっち行け!』とか」
「『ワンワン』って言ってるヤツのことか? その鳴き声しか聞こえないな」
「そっか、ありがと。ちょっと、たすく! そもそも宝石の効果が出ないようにしたんじゃないの⁉️」
「ごめん。行進の間、ちょっと考えてみたら、コミュニケーション系の効果があるんじゃないかと思い始めて、さっき無効化を解いた。
それで、動物の声を俺が聞けるようになったから、それをみか達に流してみたんだ。流したと言っても音波を物理的に流したんじゃなくて、イメージでしかなかったんだけど、上手く行ったみたいだな」
「ということは、動物に限らず、みかさんに通訳してもらわなくても、私もモンスターさん達の声が聞こえるようになるわけですか。仮にそのネックレスを装備しなくても」
「そもそも、たすくにしか装備できんかもしれんのぉ。いや、最初に手にしただけであって、貢献度は洞窟側からは測れんから何とも言えんか……。誰が何を倒したとかであれば分かりやすいが」
「どうなんだろうね。コミュニケーションが鍵なら、独占装備はポリシーに反するんじゃない? その受け渡しもコミュニケーションになるわけだし。だから、窃盗はできないとか」
「……ラピス、面白い考え……」
私達が話していると、いつの間にか犬の言葉は元の鳴き声だけになり、たすくが何かしたことが分かった。
「ごめん。俺からやっておいてなんだけど、動物の声は無効化した。それもイメージだけでできたんだけど、とりあえず検証は後にして、これからのことに集中するために」
「まぁ、動物は実現方針の対象じゃないからね。完全にノイズにしかならないか。動物を連れた人間については、しっかり含めてるから問題ないし」
「その時も思ったが、流石じゃったのぉ。モンスターが動物なら殺していいと思う可能性を含めるとはのぉ」
「あ、もう広場に着くよ!」
かつて処刑台があった広場は、変わらず多くの人が観覧のために集まっていた。
今回は、特等席は用意されていない。イベント自体がすぐに終わるからだ。
「いよいよか……」
Tくんが呟いた。
「大丈夫だよ、Tくん。『いよいよ』じゃなくて、もうとっくに始まってるんだよ。私達がメインストリートに着いた時からさ。どういう意味かは分かるよね?」
「……。なるほどな……。ありがとう、みか。本当に心強い味方だ。泣いて抱き締めたくなるぐらいに」
「はい、セクハラ」
「いや、ギリギリ大丈夫だったろ!」
私達は笑った。
この先、特別なことなど何もない、まるで日常のように。
だって、もう分かるんだから、この先が。
集まった観覧者の顔を見れば、誰だって。
これまでの私の不安は、メインストリートを歩いている間に、すでに蹴り飛ばしてどこかに消えていた。
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