表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命  作者: 葉っぱ
2/10

2

長い時間車に乗せられて到着したのは山の中だった。

もちろん電波はなく、食料の確保も困難なのではないかと思うほどの山奥に連れていかれた。しかしそこにあったのは、大変立派な建物、何階建てだろうか。その大きさに驚いたが、山奥にこのサイズの建物があることにもっと驚いた。


「立派な建物ですね。」

「ええ、そうでしょう。私たちは人の幸福を研究する施設ですからね。このくらいの規模でやらなければならないんです。」

「では、なぜこんなに山奥に?」

「あんまり都会に大きな建物は建てられないですからね。それに、都会はお金がかかります。」

「そうですか。」


建物の中に通された。

スーツ着てサングラスをかけた男が何人も厳重な警備をしていることが不思議だった。なにをこんなに警戒しているのかが疑問だったからだ。


「とりあえずですね、契約書を書いて頂きます。」

「そういうのって、現地に来る前に書くものじゃないですか?」

「そんなことを言われましても、そのようにしておりますので。」


しぶしぶ契約書にサインをすることにした。

契約書のサインが終わると、施設内の案内が始まった。


「施設を案内致します。まずはおおよその施設の紹介を致しますね。とりあえずここにおかけください。」

「よろしくお願いします。」

「まず、現在いるこの場所がロビーです。ロビーには多少の娯楽やコンビニのようなものを配置しております。また、館内の出入りはここでしかできないです。次はこちら、アリーナです。毎朝ここで朝礼を行います。自由時間にはここを使って運動をしてもらっても構いません。1階フロアは以上です。2階フロアは作業所になっています。ここはみなさんにお仕事をしてもらう場所です。そして、地下の1階フロアは研究所になっています。ここは基本的には我々社員が使用します。そして、3階フロアなのですが、ここは秘密です。後ほど説明致します。そしてですね、ここから奥の方に見えますが、別館があります。別館はみなさんの宿舎となっております。宿舎では寝床はもちろんですが、食事も一日3食提供致します。ここまではよろしいですか。」

「ええ、まぁ。3階が気になりますけどね。」

「そのお話は後ほど。では次は、みなさんの一日の生活についてご説明させていただきます。まず、7時起床、朝食や清掃など含め身支度を行い、9時に朝礼です。そこから17時まで働いてもらいます。間に1時間休憩の時間があります。基本的には18時から翌日の7時まではみなさんは自由時間です。館内にいて頂ければなにをしてもらっても構いません。そして、20時から26時までは、私たち社員の研究の時間になっておりますので、その時間には本館の2階と地下1階には立ち入らないようにお願いします。」

「お仕事とは、なにをするのですか。」

「では、次はお仕事内容のお話をしましょうか。お仕事の内容はですね、私たちがお渡しする薬を服用してもらってですね、その後私たちの指示に従って生活してもらうだけです。」

「大丈夫なんですか、その薬。」

「もちろんです、世間で言う治験と言うやつですのでご安心ください。」

「わかりました。」

「そしてですね、館内のルールがございます。まず1つ目、館内では基本的に社員の言うことに従ってください。社員はスーツを着用しています。みなさんには後で館内着に着替えて頂きますのでわかると思います。2つ目は、貢献度制度です。いくつかの条件を満たすと、みなさんのこの館への貢献度が上下していきます。貢献度レベルが上は3段階、下もマイナス3段階までございます。レベル3の方は例の本館3階へ行くことができるようになります。逆にマイナス3の方は、これもまぁ秘密です。貢献度の上下の詳細については、我々からみなさんには申し上げていません。でも、おおよそ、館内で良いことをしたら上がる、悪いことをしたら下がる。そう思ってもらえれば良いです。」

「マイナス3になった人はどうなるのですか。」

「それも秘密ですね。」

「秘密が多いんですね。」

「ええ。あくまでも我々は研究機関ですから。他に質問はありますか。」

「ありません。」


だいぶ怪しい施設であることはわかった。そんな所から渡される薬を飲んでいいものだろうか。しかし、今の自分にはここで暮らしていくしか手がない。ここでの生活に慣れていくしかないのだ。


「それでは、これを差し上げます。あなたの部屋の鍵です。一人部屋ですので安心してくださいね、フロアリーダーがいますので、あとはリーダーにいろいろ聞いてください。それではこれからよろしくお願いします。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ