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レフィー・アドラス(2)

「な、直人なおと様、これっていったいどういうことでしょうか?」


 レイシスが直人の耳元へと近づき小声で今の状況を確認する。


「レイシス、お前も知らないのか?」

「えっと……はい。たまに召喚石じゃなくて生き物がそのまま出てくることがあるというのは知っていたのですがまさかこんなシステムになってたなんて……」

「お前がこのガチャシステムを作ったんだよな?」

「はい、ただ……適当に詰め込んだのでどれがどのシステムとして排出されているのかとかガチャの中身とかぜんぜんわかんないんです」


 てへぺろ的なポーズでとぼけた顔を見せるレイシス、とりあえず軽めにデコピンで灸を据えると直人はレフィーのステータスを閲覧してみる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:レフィー・アドラス Lv.不明 種族:堕天使 年齢:243歳 職業:なし 

 状態:中立

 称号:大天使長、悪魔の殺戮者、悪魔を憎む者、堕ちた天使、守れなかった者


 HP(体力):135 MP(魔力) :230 STR(攻撃力):130

 DEF(防御力):240 INT(知力):200 DEX(器用):300

 AGI(素早さ):167 LUK(幸運):48


 スキル:光臨、臨界、界滅、光輝雨シャイニングレゾナンス、治雨、堕光フォーレンライト全自動反射フルカウンター、光の守り手、神の寵愛、降神


 《状態:狂暴化(バーサク)》付与まで残り48時間

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 この世界でも上位に位置するであろうB級冒険者のステータス値も正面から戦えば勝てなかっただろうが策を弄することで何とか勝つことができた。ただこれは策を弄すれば勝てるといった次元ではない。勝つことのできない、逃げるという選択肢さえ取らせない絶対的な存在が目の前にはいた。


「直人様早く逃げましょう!この者にはダンジョン管理室の侵入者用確殺トラップも効きません!!」

「まじか……」


 レイシスが慌てるのにも理由があった。それは彼女、レフィーが取得しているスキルの効果が原因だ。


 スキル光の守り手と神の寵愛、効果はどちらも自身に及ぼす死という概念自体を跳ね返すといった効果がパッシブで常時発動している。


 しかも無効にするだけでなく跳ね返す効果も持ち合わせているため最悪レフィーが管理室に侵入した場合死ぬのは直人となるだろう。


 これを知ってしまったためレイシスはとりあえずダンジョンを捨ててでも逃げる選択肢を提示してきたのだ。


「なあレイシス」

「は、はい!何でしょう!?」

「思うんだが、今このダンジョンを捨てたとしてだ、地理や地形もわからない異世界でステータス最弱のゴブリンがどこに逃げようと俺たちじゃ死ぬんじゃないか?」

「そ、それは……」


 別にこの洞窟に思い入れがあるわけじゃない、だってできて半日しか経っていないのに思い入れなんてあるわけないだろう。―――ただ愛着はある。


 自分で洞窟を改造したんだ、命には代えられないが、だと言ってはいそうですかとすぐさっと諦められるものでもない。


「どの道外に出たとしても逃げられる保証はないからな、ならこのクエストをクリアしてこいつを手に入れる方が価値はあると思うんだがどうだ?」

「……はぁっ…そうですね、まあこれは直人様の選択ですから私は止めはしませんが、ただし!!このクエストを受けるのであれば最低限準備をしてから行くべきじゃないでしょうか?時間もあと二日あるわけですし!」


 最低限の準備……か。確かに今の持ってるアイテムやスキルでこの堕天使と同レベルの敵を相手するとなれば厳しい戦いというか瞬殺されるだろう。


「そうだな……できることから始めるか」

「流石です!直人様!それではとりあえずダンジョン管理室まで一度戻りましょう!」


 レイシスに言われとりあえずダンジョン管理室まで戻った二人はソファーに腰かけ今後の方針を話し合い始めた。


「それで?明確なレベルを上げるといったプランが使えないが俺はどうすればいいんだ?」

「はい直人様!私の完璧なプランをお聞きください!」


 そう告げレイシスはいつものようにどこからともなくホワイトボードを取り出すと今直人たちがいる地域の詳細を映し始めた。


「これを見てください!今我々は人間が支配している大陸の一つ、デルシム大陸にいます。この大陸は唯一他大陸との戦争を行っていない大陸で複数の国々が軽い内輪揉めがありながらも平和な日常を謳歌しています!そんな大陸の端っこ、海から最も遠い地域にあるのがこの洞窟です」


 話を聞くにレイシスの言っていた見つかり難い場所というのあながち間違ってはいないようだ。


「それでですね、実はこの洞窟近くの地域は気候も大変よく、生物が住むにはうってつけの地域なんです」

「へ~てことはレイシスが言いたいのはそういった生物を狩ってガチャ用のポイントにしろって言いたいのか?」

「それもありますがそれじゃあ存在レベルが上がりません」

「まあそうだな」


 存在レベルを上げるには自身の存在を世界に知らしめる必要があるらしい。存在を世界に知らしめるっていう行為が曖昧であるため何をすればいいのかいまいち把握していないがただ生物を狩り殺すだけでは上がらないのはなんとなくだがわかる気がする。


「直人様、私先ほど生物が住みやすい地域だといいましたよね?」

「ああ」

「生物が住みやすい地域なのであれば必然的に人間の集落があるとは思いませんか?」

「あぁ~まあな、でも環境が住みやすい場所とはいえ利便性なり魔物だったりの安全性を考えるとここはあまりにも僻地すぎないか?」

「はい、その通りです!実際この近くには国や町といった多くに人間の集落はありません。ただし!小さな村はいくつか存在しています!そこを襲いましょう!」


 レイシスはそう言うとこの周辺の詳細な地図を取り出しホワイトボードに張り付けると村のある場所を赤丸で書き記した。


「あと二日で村を攻めて戻ってくるまでの期間を考えると攻めれて二つ、このティーナ村とルエベンルモ村になりますかね」


 レイシスは攻められそうな村に今度は黄色で星印を書き足す。


 レイシスが書き記した村の距離はこの洞窟から約五キロ先の場所、村と村との距離はそれほど離れておらず同時進行で潰せばもう一つ村を攻められる可能性も出てくる。


「ん~まあ悪くないんじゃないか?よしこれで行こうか」

「はい!」

「さてと、じゃあこれからの方針は決まったしとりあえず進軍のための準備か、まず今のところは捕虜としての扱いのレーナは当然ここに置いていくべきだよな」


 今レーナはと言えば管理室の客間用の部屋のベットでくつろいでいる。


 ステータスを見ても魅惑の瞳の効果か状態は従順になっておりある程度の命令には従うだろうが人を攻撃するほどの洗脳が施されているかはまだ不明であり、時間もない進軍計画に不安定な要素を入れるのは危険だろうと判断し、今回は置いていくことを選択した。


「それがいいと思います!ですが人数はどうしましょうか?全員で向かいますか?」

「そうだな……。よし、この洞窟には最低限の戦力だけを残して総員で行くとしようか」

「了解です!!村進軍クエスト開始です!!」


 レイシスの掛け声とともに洞窟内に二人のえいえいおーというときの声が鳴り響くのだった。


ここまで読んでくださりありがとうございます。評価の方はお任せいたしますので、よければもう一話見ていただければ幸いです。

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