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いつか世界を愛せるように

いつか世界を壊せるように 愛されたはずのヒロインの破滅的な願い

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その少女は願う。


 闇組織の牢獄で。


 光の刺さない闇の世界で。


 暗殺の道具として育てられながら。


 いつか世界を壊せるように。


 世界の全てを壊せるように。


 と。


 少女のとりまく世界は悲惨で、過酷で、目も当てられない。


 救いなど存在しない世界だった。


 誰かを犠牲にしなければ生きてはいけない。


 誰かを踏み台にしなければ、その時点で自分が命を落としてしまう。


 そんな世界だった。


 だから少女は、願った。


 いつか世界が壊れるように。


 苦しみしかない世界が壊れるように。


 苦しむだけの世界がなくなるように。


 その少女の願いは叶う。


 悪の組織で育てられた少女は、同じ境遇にいた、同じ年頃の少年少女の命を犠牲にして生き残った末に、邪神の力で世界を制する。


 しかし少女が望んだのは、悪の組織とは違う終着点。


 世界制覇などではない。


 少女はその力で世界を滅ぼし、人間達も、人間達が築いたものもすべて滅ぼしていった。


 そんな少女が、最後に残った自分の命をも滅ぼそうとした時、その少女の前に一人の人間が、異世界からの転生者があらわれた。






「僕は悪役令嬢を愛している。だから悪いけど、愛する彼女が破滅してしまわないように、ヒロインであったはずの君と運命を入れ替えさせてもらった」


 少女は本来ならば、闇の世界から助かるはずだった。


 ヒロインとして多くの男性から愛され、守られるはずだった。


 その後の人生で栄光が約束されていたはずだった。


 しかしそうなったのは、悪役であったはずの人間の方。


 一人の人間の手によって、ヒロインの運命は捻じ曲げられ、悲惨な人生に書き換えられてしまった。


 少女は激高したが、転生者が宿したチート能力によって、返り討ちに遭って命を落とした。


 邪神を宿した人間が討伐された後、転生者のチート能力によって隠れ潜み、生き残っていた者達があらわれる。


 転生者と、悪役令嬢と、一部の人間達が。


 彼等は、力を合わせて世界を再び作り直していった。






「いつか世界を壊せるように」


 悪役と運命を入れ替えられてしまったヒロインの願いは、叶わなかった。




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