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ゴティエ男爵は悪魔である。  作者: 大鎌マニア
2/4

②ゴティエはしつこく諦めない。

サブタイトルに上がるほどゴティエはそんなにしつこいかなwとふと考えてしまいました。

ただのアホかも知れませんが・・・。

まぁ書いてる私の頭脳がゴリラ並みなのでそうなのかもしれません。

我が名は、悪魔世界である五大貴族の男爵『シュヴァドラネベルド・デ・ゴティエ』である。




「こんばんわ、今宵も素敵な夜ですね。」


 突然玄関ブザーが鳴り扉を開けると小さな男の子が花束を持ち佇んでいた。

黒いトレンチコートの襟を少し立てて粋な出で立ちである。

風体からして育ちは良いのが感じられるが現れた時間が時間で明日菜は戸惑った。


「あの・・・君は昨日滑り台にいらっしゃった子でしょうか?」

「ああ!!私めを覚えて下さってましたか!!光栄です!!」

ゴティエは歓喜に打ち震え目には涙が溜まる。


「こんな時間に親御さんが心配していますよ?お家はどこですか?」

「私めの身を案じてくれるなど・・・ああああああああ!」

つぶらな黒目に漆黒の髪がピョコピョコと動いて見た目が少年である事をフル活用しあざとさ全開である。


「お姉ちゃん、どうしたの?ああ!昨日の変な子供だっ!!」

滑り台を頭から滑った記憶が鈴菜の記憶を呼び覚ます。

「小娘・・・お前・・・アスモダイ様と同じお住まいに居るのか!」

「あす?う・・・ん?お姉ちゃんと私は姉妹だもん全部一緒だよ?」

ゴティエは膝から崩れ落ちた。



「おのれっ!!何と!小賢しい人間めぇぇ・・・」

土下座したままゴティエは悔しさの余りギリギリと歯を食いしばる。

恨みがましい台詞はくぐもって今イチ姉妹には聞こえなかった。

「お姉ちゃん、この子どうしたの?遊びにきたの?」

「う~~ん?何か人違いかと思うんだけど・・・迷子なのかな~?」

「昨日一緒にいた顔色悪いお父さんも後ろにいるよ?」



お父さんではないが使い魔のフッティも付いて来るのは当然のことである。

「あら?本当ね・・・じゃあ何かご用なのかしら?。」

「そ・・・・そうなんです!!アスモダイ様!」

勢いよく土下座から立ち上がり颯爽と玄関框に近づくと姉妹は1歩引いた。


「私はあすも?じゃないですよ?明日菜です。」

ニコニコと屈みながらゴティエの顏近くで明日菜は悪気もなく爛漫な笑顔を見せる。

長女として鈴菜を育てている明日菜は本来子ども好きで親しみ易い雰囲気を持っていた。

「はうっ!!!」ゴティエは激しく動揺した。

ゴティエは齢500歳の多感なお年頃で他の貴族、悪魔大公爵等1000年は優に超えている高齢者であるが故に若い者達との接点がなかった。

ましてやアスモダイ様を盲目的に敬愛し幼い乍、300年間一途に御大を自分なりに探していたストイックな所がある、その上あろうことか人間界でこんな小さな箱の様な所で小娘と2人きりで暮らしていた等考えるだけで嫉妬で悶絶してしまいそうだった。


そしてアスモダイ様は記憶も御力も魔力も全て体のどこかにしまい込んでしまったらしいのかよくよく凝視せねばならないくらいに見えなくなっていた。

それがゴティエにはたまらず辛く我が身が引き裂かれる様な思いがした。


「アスモ・・・いえ、明日菜様」

「はい、何でしょうか?」

(人間の名前で人間の性別でまるで世界を隔てるかの様な所業で)

「私の事は・・・・いえ、俺はゴティエと申します。」

「はい、ゴティエ君。」

(まるで私を忘れてしまった様な顏ではじめて出会った様な素振りで)

「この花はお好きですか?」

「あら、白いフリージア?綺麗ね大好きな花です。」

「屋敷に咲いていたものです、どうぞ貰って下さい。」

「え?いいの?・・・有難う」

明日菜は少年から花束を受け取った。

優しい笑顔が浮かぶ、それだけでゴティエは冷えた心が温められた気がした。


「あの・・・また明日も来てもいいでしょうか?」

ゴティエはこれでもかというくらいに売られていく仔牛の様な顏をした。

「え・・・・?・・・う、うん。いいですよ?」

「鈴菜のお友達?」

「え?違うよ?わたし外国のお友達いないもん」


「じゃあ一体この子は誰の知り合いでどこの子なのかしら?」

と玄関に視線を戻した時には忽然と姿を消していた。

「不思議な子ね?ゴティエ君て。」

月も出ていない今夜は白いフリージアの花が光る様に両手に一杯咲き誇っていた。

「お姉ちゃん花瓶に飾ってお母さんにお供えしようよ!」

「そうね~お母さん喜ぶね、とっても綺麗だもん。」

静かに扉が閉まるのをゴティエは寂れた団地の棟真上に立ちすくんで眺めていた。

「御母堂はもう鬼籍に入っておられたのか。」

「左様にございますなシュバ様」

「何と慎ましやかであろうか・・・誰にも、何者にも見つけられないまま・・・アスモダイ様は・・・・。」

トレンチコートの裾が夜風に翻る、独り言の様に口の中で囁く様に出る言葉は錆びた鉄骨のコンクリートに染みて消えた。


「俺は諦め切れない!きっと!必ずや連れ戻して見せる!」

(明日菜様の寿命はシュバ様より滅茶早いって言ってあげた方がいいのかなぁ)

フッティが少しソワソワしていた。

年齢設定があやふやですが明日菜(19歳 )ゴティエ見た目(13歳 )鈴菜(11歳 )という感じです

鈴菜はまた違う話に出てくる女の子でこちらの方が長いファンタジー系の話になります。

途中でゴティエの話が出てきますが鈴菜とは接触はありません。

因みにフリージアの花言葉は「純潔」です。

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