激突!破壊者翔
すみません。今回も書きかけです。
恐らく今後もやらかす高確率でやらかすと思うので、その場合、一応、サブタイトルに(仮)とつけることにしようと思います。
できましたら、投稿初心者のド素人じゃしかたねぇと嘲笑って許していただけるよう、是非ともお願い致します。
→お待たせしました。ようやく完成です。
ヤンキー二人に連れられて、オレ達は第一校舎屋上へとやってきた。
そこでは、こいつらと同じヤンキー達が屯していた。
漫画やなんかじゃ定番とはいえ、このくそ寒い季節によくやるわ。
「おう、赤井、緑野、遅かったな」
ぶっ、思わず吹き出すところだった。
まるで某麺類を連想させるこの名前、それがこのヤンキー二人の名前らしい。
「倉ちゃんに鬼塚も、もう来てたんだ」
「それよりなんだ、後ろの連中は?」
「いや、噂の転校生だけ連れられて来るつもりだったんだけど、余計な奴らまでついてきやがって」
おっと、拙い。そろそろ真面目にならないと。
「ふ〜ん、こいつら二人がアンタらの親玉ってワケね」
実際、早くも由希は臨戦態勢、やる気満々だ。
「待てよ、まずは話し合いだろ」
「何を話し合うっていうのよ。こいつら美咲ちゃんを拐かそうとしたのよっ」
待て! ウェイト! 落ち着け由希。
これじゃ話し合いにならない。
「おい、いったいどういうことだ」
鬼塚と呼ばれたヤンキーが、ヤンキーA、B改め、赤井と緑野に問い糺す。
「い、いや、倉ちゃんがこの転校生に会ってみたいって言ってたから……」
「つまり、こいつらが独断で暴走したってわけか」
「悪るかったな。知らなかったこととはいえ、俺の責任だ。この通りだ。謝る」
倉っていったか、思ってたのと違い、結構まともな人間だったようだ。
どうやらこれで一件落着。案外すんなりケリがついて拍子抜けだ。
「なに謝ってるんだよ。高々一年3人、フクロにしちまえばいいだろ」
「そうそう。チビに、小太りに、優男。この人数で囲めば余裕、余裕」
「誰がチビだ!」
赤井に緑野、聞き捨てならないこと言いやがって。そもそも赤井、お前はさっきそのチビにいいようにやられたばかりだろうが!
「そんなことより、アンタら一人忘れてない?」
由希も再び、臨戦態勢。血の気が多いなこの女。
「あぁんっ! って、
げぇっ! この女、『姫夜叉』じゃねぇか!」
「ちょっと! 変な名前で呼ばないでよ‼」
「なんだよ、今頃気づいたのかよ」
オレも同意見だ。
それより、真彦。お前、気をつけとかないと、どさくさに紛れてぶん殴られても知んないぞ。
一瞬、ちらっとそっち見てたし。
「赤井! 緑野! お前ら俺の顔潰す気か!」
「でも、こっちにだって面子があるだろ。一年にナメられたままでいいのかよ!」
「へぇ〜、ま、こっちは別にそれでもいいけど」
煽る由希。随分頭に血が上ってるようだ。
けど『姫夜叉』呼ばわりのせいじゃ……あ、やっぱりそうだ。多分、美咲ちゃんのこと忘れてる。
「じゃ、しょうがねぇ。お互い代表者を出してタイマンだな」
まぁ、騒ぎを大きくしたくなければそうなるよな。
そうなりゃ、学校で問題になって面倒だ。
「よし、それじゃこっちは俺が出る。そっちも代表者を選べ」
よし、それじゃこっちはオレが……
「ふ〜ん、じゃ早速始めましょうか」
「ちょっと待てよっ、由希! なに勝手にお前がやろうとしてんだよっ!」
「決まってるでしょ。大将戦ってのは一番強い者がすることになってんだから、ここは当然アタシの出番でしょ」
「んなわけねぇだろが!
女のお前が代表だってんのが、あり得ないって言ってんだ!」
こっちにだって面子があるんだよっ、この脳筋凶暴クソ女!
「そうだよ由希ちゃん。ここは男の子に任せるべきだよ」
美咲ちゃんの言う通りだ。
ここは女の出る幕じゃない。
ここは男がやるべきなんだ!
とはいえ、真彦じゃ相手が悪いし、天堂はまずあり得ない。本人は案外やるって言うかもしれないが、そんなことになったら絶対周囲の女の子達に殺される。キズ一つだってつけられない。考えるだけで怖過ぎる……。
そうなると誰がやるかは、自然と決まってくるってわけだ。
「つまりオレの出番ってわけだ。
由希、真彦、美咲ちゃんのことは頼んだぞっ」
「まあ、なんとかやってみる」
「しょうがないわね。
その変わり負けたら絶対許さないからねっ!」
「ああ、任せとけって」
よし、これで決まりだ。
「待てよ、僕は戦力外ってのかい?」
「あぁ、悪い。じゃ天堂も、怪我しない程度にがんばってくれ」
一応、気を遣って言わかったけど、本当はお前も護衛対象なんだよ。
って多分、判ってないんだろうな……。
「準備は出来たか?」
「ああ、いつでもいいぜ」
さあ、それじゃ始めようか。
「馬鹿かあいつ、マジで倉ちゃんとやる気だぜ」
「『破壊者翔』の名を知らないじゃねぇの?」
「それでも、見ただけでやり合うなあヤバいって判りそうなもんだけどよう」
「ああ、だから馬鹿なんだろ」
こいつら黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって。
でも『破壊者』って、なんでこの手の奴らってこう二つ名ってのが好きなんだか。まさに中二病ってやつだな。
「チビのクセに、身の程知らずってやつだな、ありゃ」
「違いねぇ」
ちっ、やっぱり由希じゃねぇけど、全員まとめてぶちのめすべきだったか。
「じゃ、そろそろいくぜ」
倉の拳が右に左に、嵐雨のように降り注ぐ。
空を切る音が聞こえるかのようだ。
まぁ、それは空振りしてるってことでもあるんだが。
「ええい、さっきから、ちょこまかちょこまかと。
逃げ回ってばかりいないで、堂々とかかってきやがれ!」
冗談じゃない。
相手とオレとじゃ体格が一回りも二周り違うってのに。
その優れた体躯から繰り出される攻撃は激しく、なるほど『破壊者』の二つ名も頷けるほどだ。
そんな奴と、誰が正面からやり合うかってんだ。
とはいえ、全く攻撃をしないってのもアレだ。
挑発に乗るわけじゃないが少しは攻撃してみるか。
「ふはははははっ、貧弱、貧弱ぅ!」
やはり体格差は大きいようで、オレの攻撃は殆んど効いていなさそうだった。
「おい、倉っ。あまりナメてっと痛ぇ目みるぞ」
「はっ、こんな軽い攻撃なんてちっとも効かねぇよ。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」
仲間の鬼塚が警戒するよう促すが、まるっきり気にする様子のない倉。
ここまで調子に乗られると、流石にオレだってカチンとくる。
「純、お前もいつまでも遊んでないで、ちったぁ真面目にやりやがれ」
そこに、掛けられたこの台詞。
「ったく、いいんだな、鬼塚さん。
それじゃ、ちょっとだけ本気でいくぜっ!」
一歩後ろへバックステップ、左に跳んで鉄柵の手摺部分を蹴って、右へ跳ぶ。さらに屋上入口上部の壁を踏み切ると、相手目掛けて必殺の蹴りを放つ。
三角蹴り、正式名称『武藤式三角跳び蹴り』。
漫画やなんかでお馴染みの、複数箇所を踏み台にして、力を溜めた一撃を放つ蹴り技だ。
撹乱効果もあるので結構効果的でもある、オレの得意技だ。
ただ、それでも体格差のアドバンテージってのは大きいようで、相手の倉は、何歩か後退り、尻餅をついただけで、あっさりと起き上がってきたのだった。
「〜〜〜っ!
今のはちょっとだけ効いたぜ」
「あっさり立ち上がっといて何言ってるんだか」
ヤバいな、他に有効打ってなると……。
「じゃ、続きといこうか」
再び、倉の激しい攻撃が始まる。
ヤバい。一撃喰らえば相当もってかれる。
相手の攻撃を避けながら、牽制攻撃を繰り返す。当然ながら有効打にはなってない。
冷静を装っているけど、内心では結構焦っている。
「取ったっ!」
牽制で放った右突きの腕をとられ、そのまま一気に一本背負い。
「がっ!…………っ!」
背中に強烈な痛みが疾る。
畳と違い、コンクリートの床のダメージは、正直いって洒落にならない。
思わず苦鳴が口から溢れる。
「「純!」」「純くん!」「男鹿くん!」
美咲ちゃん達が悲鳴を鳴げた。
かなりヤバい状況だが、このまま負けるわけにはいかない。
ほとんど限界のダメージだが、なんとか意地で立ち上がる。
「おっ? あれを喰らってまだ立ち上がれるってか?」
「当然だ。うちの兄貴に比べりゃ屁のつっぱりみたいなもんだ。どうってことねぇんだよ」
「あ〜、確かに。仁さんはなんてーか、規格外だもんねぇ」
「ふぅ〜、まぁ大丈夫そうで一安心てところか」
オレの強がりにホッとする由希達。
真彦はともかく、由希のほうはオレの状態を正しく理解してんだろうけど。
「は〜、言葉の意味はよく解かんないけど、とにかくすごい自信みたい」
「美咲ちゃん、なんか随分と余裕ね」
「ええ〜、そんなことないよ。
ただ、なんか、こう言わないといけないような気がして…」
「ともかく、男鹿くんが無事みたいで安心したよ」
こいつら、他人事だと思いやがって。
こっちは結構キツいってのに。
ともかく、そろそろなんとかしないと正直続ちそうもない。
もはや、手段は選んでられそうにないな。
というわけで、決めにいかせもらうぜ。
軋む肉体に無理をいわせ、さらにスピードを上げる。
右へ左へと撹乱を繰り返し、そして必殺の三角蹴りだ。
「へっ、同じ技を二度も喰らうかよ」
そう言うと倉は一歩後退、三角蹴りはきれいに躱されてしまった。
だけど狙いはそれじゃない。
オレはそのまま、地面を踏むと、その勢いを加え奴の懐へと跳び込んだ。
喰らえっ、どてっ腹に渾身の肘打ちだ!
だが、オレの攻撃は終わらない。
その体勢から地面を踏み締め、くの字に折れ曲がった奴の顎へと、掌底突きを叩き込む。
そして、その手で後頭部を掴むと思いっきり地面へ叩きつけ、これでフィニッシュだ!
「ぐ…、おふっ⁈ …がはっ‼」
絶技『地雷震』。
武藤流必殺の極悪三連コンボだ。
流石にこれを喰らって起き上がっては……こないよな?
って、うげぇっ! マジか⁈ 起き上がってきやがつた! ゾンビかこいつ!
「ぐっ、どうやらここまでか。
参った。俺の負けだ」
ははっ…、なんとか勝つことが出来たようだ。
▼
翌日、オレ達は鬼塚さんに呼び出された。
「ちょっと純、なんでアンタんとこへそんな連絡がくるわけ?」
「あぁ、昨日は言いそびれたけど鬼塚さんとは、ちょっと面識があってな。
言ったはずだぞ、話し合いだって。
それをめちゃくちゃにしやがって」
「別に、アタシのせいじゃないでしょっ。
アイツらが悪いのよ、アイツらが」
と、いうわけで、オレ達は、またしても第一校舎屋上へと来ていた。
そこでは鬼塚さんとその仲間達(ようは昨日やらかした連中)が待っていた。
今回の要件は、昨日のことに対する、改めての謝罪ということらしい。
「うん、いいよ」
美咲ちゃんは、あっさりそれを受け入れた。
それこそ、
「ちょっ、ちょっと、本気でいいわけ?
仮にも美咲ちゃんに悪さしようとした連中なのよ!」
と由希をはじめオレ達全員が呆気にとられるぐらいに。
「うん、だって私になんともなかったし。
と言ってもみんな、特に純くんには迷惑かけちゃったけど…。
だから純くんやみんなが許すって言うんなら、私としては特に言うことはないかな。
なによりも、これからファンになってくれるかもしれない人達とは仲良くなりたいし」
「美咲ちゃんがそう言うんなら仕方ないわね。アンタ達、美咲ちゃんに感謝しなさいよ」
確かに、由希の言う通りだ。
てか、美咲ちゃん、最後んとこ、打算が入ってなかったか?
「うおおおぉっ、マジか⁈ やりぃ!
美咲ちゃん、これからよろしくなっ!」
「うん、倉敷先輩。あと、お友達のみんなね」
はは……、早速誑かしてるし……。
「程々にしといたほうがいいわよ。美咲ちゃんとは住む世界が違うんだから。
あと、アンタらも覚えときなさい。
この子は、これからアイドルデビューの決まってる特別な子なんだから。
もし、身の程知らずにも、馬鹿な真似しでかすようなら、今度こそ絶対後悔させてやるんだから」
こうして美咲ちゃんは新たなファンを獲得した(?)のだった。
※作中の『悲鳴を鳴げる』、『続つ』は作者オリジナルの当て字です。探すと他にもあるかもしれませんが、馬鹿なことやってるなぁと嘲笑いながら読んでくださると幸いです。