勇者マサヒコと星の姫君
どうもお久しぶりです。今回は連載再開に向けたウォーミングアップのつもりでの投稿です。久しぶりということで、思った以上の文字数になりました。とはいえ、まだウォーミングアップの段階ですので、定期的再開はもう暫くお待ち下さい。取り敢えず次回は早目に投稿出来るようがんばりますので、その時はまた宜しくお願いします。
「好きですっ! 付き合ってくださいっ!」
こんな台詞を口にすることが、人生に於いてどれだけあるだろうか?
少なくとも俺、遠藤真彦がこの台詞を本気で口にしたのは、今日この時が初めてだった。
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俺が彼女と初めて出逢ったのは、二年前の冬のことだった。
「あの、ちょっと道を尋ねたいんですけど、教えていただけませんか?」
声を掛けてきたのは、俺と同じ年頃の美少女だった。
「ああ、ここだったらそう遠くないし、良ければ送って行こうか?」
俺がそう応えたのは、困った奴を見捨てられないってのもあったけど、やはり彼女が美少女だったってのも大きかったと思う。これが男やおばさんなんかだったら、簡単な説明で済ませてたはずだ。
「えぇっ、本当に?
ありがとう。
まさか、こんな好い人に出逢えるなんて」
とまあここまでなら、美少女と顔見知りになれてラッキーで終わりなんだけど、そうじゃなかった。
「実は私、ついこの前引っ越して来たばかりでまだ友達って呼べる人が在なくって。
だからもし宜かったら、お友達になってもらえないかな?」
えぇ? マジ?
これ、なんか俺にとって都合の良過ぎる展開なんですけど。
「え? ああ、もちろん構わない。
って言うか、こんな美少女なら大歓迎だ。むしろこっちからお願いしたいくらいだ」
俺の応えは当然イエス。ここでノーって応える奴はまず在ないだろう。
「わあっ、嬉しいっ。
じゃ、早速自己紹介ね。
私は花村美咲。13歳の中学一年生。宜しくね」
おおっ、美少女ってのは名前まで可愛いのか? まるでアイドルみたいな名前だ。
「俺は遠藤真彦。花村さんと同じ13歳の中一だ。
こっちの方こそ宜しくな」
まさかと思ったけど、同じ歳か。
だとすると…。
「美咲で宜いよ。
それよりも同じ中学一年生だったら、学校で同じクラスになるかもしれないんだ。なんだか愉しみだなぁ」
「ああ、だったら良いな。俺も愉しみだ」
はは…、美咲ちゃんも同じこと考えてたんだ。
然し、随分と人懐っこい子だな。
行き成り好感度が高いし、まるでギャルゲーだ。
否、ゲームと現実は違うんだし、一緒にしたら痛い目をみるだけか。変な勘違いしないようにしないとな。
そんな時に出会したのは、友人の男鹿純だった。
「あ、悪ぃ、どうやらお邪魔だったみたいだな」
あ、やっぱりそう見える?
客観的に見てもそう見える?
判ってるんだったらこのまま去えてくれ。
……ってわけにはいかないよな…。
「違うって。この子は迷…いや、最近この辺に越して来たばかりだって言うんで、案内がてらに家まで送ってくところだったんだよ」
ここは変に気不味くなるリスクは避けたい。
「なんだ、迷子か」
「おい、もうちょっと言い方くらい選べよ」
こいつ、女の子に対して気を遣うってこと知らないのかよ。俺の人格まで疑われたらどうしてくれるんだ。
「えぇと、この子って真彦くんのお友達?」
「ああ、オレの友人で純っていうんだ」
頼むから変な雰囲気になってくれるなよ…。
「あ、そうなんだ。今度この町に越して来た花村美咲です。
良かったら私とお友達になってくれないかな」
ふう…。幸い、余り気にしてはいないようだ。
「実はこう見えて私、アイドルやってるんだ。
といってもまだデビュー前だけどね」
へ? 何? ウケ狙い?
確かに美少女なのは認めるけど、それを自分でネタにするか?
美咲ちゃんの様子を窺って見るけど…。
う〜ん、冗談で言ってるわけじゃない?
まさか…。
美咲ちゃんは俺達の方を見て、にっこりと咲っているだけだ。
そういや『咲う』って書いて『わらう』って読むって云ってたっけ。
その微笑みは、まるで花が咲いているようだ。
名は体を表すっていうけど、本当にその通りだ。
正に、可憐な花々が美しく咲き乱れているかのような、そんな微笑みに思わず見惚れてしまいそうになる。
少しイタズラっぽい感じがするけど、だけど本当に冗談じゃなさそうだ。
…………ってことは…。
「えぇっ、マジで⁈」
いや、本当にマジか?
「うん。星プロからこの春デビューの予定だよ」
ははっ…、本当にマジらしい。
「うひょ〜!すげぇ!おい、純、オレ達アイドルの友達だぜ!まるで夢みたいだ!」
例えまだアイドルの卵だとしても、それでも俺達にとっては高嶺の花、雲の上の存在だ。
そんな子と友達になれたんだから、そりゃあ舞い昂がりもするってもんだ。
でも、この時はまさかあそこまでの存在に成るなんて思いも寄らなかった。
翌年の春、美咲ちゃんはアイドル『リトルキッス』として華々しいデビューを果たしたのだった。
▼
美咲ちゃん就いて、一言で語るのは難しい。
だけど敢えて言うなら、苦難に負けない努力の人ってことになるだろう。
そのことに就いては多くの奴らが知っている。
学校内では、そんな美咲ちゃんの、歌や振り付けの練習をする姿がよく見かけられた。
それはもう、学校内の名物のひとつと謂われるくらいに。
デビュー前には、勘違いした痛い奴なんて嘲笑われてたりもしていた。
まあ、周りの人間は美咲ちゃんのことを知らなかったんだから、それは仕方がないんだけど。
だけど、美咲ちゃんはそんな周囲の視線に負けなかった。というか、気にもしていなかった。
ただ只管に練習に励んでいた。
純の奴は只管打坐なんて格好付けた表現してたっけ。素直に一心不乱って言やいいのに。
そしてその努力は見事に報われ、デビューして僅か一年で、美咲ちゃんは人気アイドルの仲間入りを果たしていた。
ただ、それでも変わらず、俺達の親しい友人でもあった。
そして学校の他の奴らに対しても、その態度は変わらなかった。
例え人気アイドルになっても、美咲ちゃんは俺達の美咲ちゃんに変わりなかったのだ。
だけど、そんな魅力的な存在を周りの奴らが放っておく理由もなく、美咲ちゃんは不良生徒達の標的にされることに。
一年の時にもそんな事があった。
その時は幸い、話の通じる相手だったため、そこまで大事にならずに済んだ。
否、それでも結構大変だったんだけど…。
そして二年になってからも。
今度は不良生徒達の後継者争いに捲き込まれ、美咲ちゃんが拐われたのだ。
そして俺達は、早乙女純と共にファンの軍勢を率いて参戦することになったのだった。
最終的には、早乙女純と敵のボスとの一騎討ちに。
話には聞いていたけど、まさか本当に早乙女純があそこまで強いとは思わなかった。
由希が止めなきゃ、本当に相手を殺しかねない、そんな恐ろしさがあった。
まさか、由希以外にもそんな存在が在るとは思わなかった。
まあ、自分の知り合いが酷い目に遭わされりゃ、そりゃあ仕方がない。
増してやその知り合いの中に美咲ちゃんが在たんだ。無理もないってもんだ。
ただ、止めに入った由希じゃないけど、あんな奴のために仕事や人生を棒に振るのも馬鹿な話だ。
早乙女純もその辺は理解してたんだろう、由希の制止を素成りと受け入れていた。
とはいえ、やっぱり幾分か忌々しそうな様子ではあったけど。
なお、この件に関しては学校側は見ない振りを決め込んだのか、特に何かを言ってくることもなかった。
なんとも事勿れ主義な話だ。
そんなこの一件は、可怪しな形で終着した。
まさか、不良生徒達の頭に美咲ちゃんが就任することになるとは…。
そして、この時に美咲ちゃん救出に参加した奴らの内、主要メンバーが序列上位とされることになった。
あと他の残りは、男子共はリトルキッス親衛隊、天堂に属き従った女子達は御堂玲親衛隊と呼ばれることになり、それぞれのファンの中で、それなりの地位を認められているらしい。
因みに俺も校内の序列の第五位だ。
あと、ファンの間で公式にファン1号として認められることになった。
なお、由希の序列は第四位。純は第十位だ。
純の序列だが、あの時、その場に居なかったことが影響しているようで、親衛隊の中ではお情けの序列第十位と云われている。なんともツイてない奴だ。
ともかく、これにより校内のファンの結束が強まったわけで、悪いことばかりじゃなかったともいえる。
これで美咲ちゃんに悪さをする奴も在なくなるっていうわけだ。
▼
そして遂に三年生を迎えた。
一年、二年の時には同じクラスになれなかったけど、三年にして漸く同じクラスメイトになることが出来た。
そのお陰で、より一層身近な存在となっていた。
実際、それまで知ることのなかったいろんな面を見ることが出来た。
例えば、学校での成績のこと。
薄々そんな気はしていたけど、美咲ちゃんの成績は余り芳しいものではなかった。
世間じゃお馬鹿タレントなんて云われているけど、まさか本当にそうだったとは…。
最初のうちは、そんな芸風とばかり思っていた。
と言うのも、美咲ちゃんはどこかほんわりとした脱力系のイメージ。
対して、相方を務める早乙女純は、気の強い確り者のイメージだ。
そのため、どうしてもボケ役とツッコミ役のイメージを、敢えて演じていたのだとしか思えなかったのだ。
でも実際は、定期試験での成績は振るわず、追試の常連だった。
まあ、仕事で忙しいのだろうから、仕方がないってところもある…と思ってたんだけど、ただの勉強嫌いだったわけで、彼女も極普通の中校生だったわけだ。
ただ、美咲ちゃんはそれを見事に克服した。
勉強嫌いは変わらないけど、それでも成績は上昇した。
俺達も勉強を手伝いはしたけど、何よりもやはり本人の努力の結果だ。
元々の素質は有ったんだと思う。多分。
勉強嫌いが足を引っ張ってただけだろう。多分。
実際、物覚えは良い方だし、何よりも努力家だ。
やる気さえ有れば、何でも出来るタイプだと思う。
そして、それを見事に証明してみせたわけだ。
他にも意外な一面が。
あれは秋の生徒会役員選挙の時のこと。
優美の後輩に泣き付かれ、部活予算を繞る騒動に捲き込まれることに。
相手の吹奏楽部は、顧問教師の笛吹が主導していた。
教師が相手だ。この時点で十分にヤバい。
而も学校側も、向こうに味方するような気配があった。
どう考えても、敵に回すにはヤバ過ぎる。
受験生にとっては絶対に有り得ない相手だ。
学校推薦を狙う美咲ちゃんにとっては、特にヤバい。
正直、俺も臆してしまった。
一番に逃げ出してしまったのだ。
だというのに、美咲ちゃんは、それに対して真っ向から対決姿勢を示したという。
まさかと思った。
でも、それは本当だった。
本気でそうだった。
ならばやっぱり見ない振りなんて出来ない。
幸い俺は自営業の跡取り息子だ。
内申点も進学も、危急となったらどうでもいい。
そんな俺が、どうして友人を見捨てるような真似が出来るかってんだ。
とはいえ、やはり俺達は学生。出来ることなんて高が知れていた。
だというのに、向こうはさらに、禁断の手段まで執ってきた。
暴動を仕掛けてきたのだ。
有り得ないだろ。
何考えてるんだよ。
汚過ぎる。
だけどそれは、向こうにとって命取りになったのだった。
俺達の方にも味方が在たのだ。
それは学年主任の坂本と、彼を説得して味方に属けた早乙女純だった。
その正体が不明な彼女は、学校側を怯れることがなかった。
それ故に、教師の説得にも臆することがなかったということらしい。
本来なら、俺がするべきことだったんだよな…。
仲間内じゃ、俺が一番リスクが少なかったんだから。
全く、本当に不甲斐ない。
このふたりのお陰で、形勢は一気に逆転した。
後楯を失った相手に対して、こちら側は既に反撃の準備が調っていた。
最早、勝敗は決していた。
学校側を除けばリトルキッスと御堂玲、この三人を味方に属けたこちら側に対抗出来る勢力など存在しない。
結果、こちら側の勝利に終わり、生徒会長にも優美のところの部員が就任したのだった。
なお、部活予算に就いては各部の話し合いにより、相応に配分されることとなったらしい。
そしてその年、美咲ちゃんの人気は遂に上位陣にランクインとなった。
▼
卒業式後の謝恩会も終わり、愈々別れの時が迫ってきている。
俺は美咲ちゃん達とは別の学校に進学するため、こうして会うのも今日が最後になることだろう。
だからその前にどうしても伝えないといけない。
例え結果がどうなろうと、言わずに後悔することだけはしたくない。
だから、ありったけの勇気を振り絞る。
宜し、逝くぞ。
否、征くぞ。
「好きですっ! 付き合ってくださいっ!」
こんな台詞を口にすることが、人生に於いてどれだけあるだろうか?
少なくとも俺、遠藤真彦がこの台詞を本気で口にしたのは、今日この時が初めてだった。
正直言って返事を訊くのが怖い。
それでも訊かずにいられない。
応えをもらえるまでの一瞬一秒が、永遠に思える程に長く感じられる。
ああ、この瞬間がどうしようもなく焦れったい。
こんな緊張は生まれてこの方初めてだ。
きっと死刑宣告を待つ処刑囚でもここまで緊張しないんじゃないかと、そんな風にさえ思えるくらいだ。
よく考えたら、大勢の人中での告白だった。
これじゃ相手も返事をしづらいか。
周囲の視線が俺達に集中する。
でも、それでも、どうしても言わずにはいられなかったんだ。
だって、きっと今日が最後だから。
今この時がきっと最後のチャンスだから。
だからどうしても、この機会を逃すわけにはいかなかったんだ。
さあ、頼む。
答えを応かせてくれ。
「ごめんなさい。
真彦くんのことは好きだけど、今はまだそういうことには応えられないの。
だから、ごめんなさい」
「そっか。やっぱりな。
ごめんな、こんな大勢の人前でこんなこと訊いて。
でも、どうしても訊いておきたかったんだ。
多分、今日が最後だから。
これからは別々の学校になるわけだしな」
ははは…、思った通りの返答だ。
でも、それでも構わない。
ただ、それでもまだ訊いておきたいことがある。
言っておきたいことがある。
「でも、それでももうひとつ訊かせてくれ。
お願いだから、これからも今まで通りの友達でいてくれないか? なぁ、頼む」
女々しいなんて思われるかもしれないけど、これは偽りのない俺の本音だ。
なによりも、お互いに気不味い思いをいつまでも抱えていたくないから。
お互いにこんなこともあったよねって、笑って話せるようになりたい。それが俺の本音だ。
「えぇ〜⁉
ちょっと、本当にそれで良いの?
私としてはその方が嬉しいのは確かだけど…」
はは…、まあ、普通はそういう反応だよな。
「ああ、構わないよ。
お互い気不味い思いをするのは御免だからな。
……それで、どうかな?」
…………この一瞬が多分、今日一番の緊張だ。
否、二番目か。一番は告白の返事待ちの時だろうし。
否、どっちもそんなに変わらないか。
そんなことよりも、今は美咲ちゃんの返答だ。
「うん。真彦くんが良いって言ってくれるんなら、私もそれで良いよ。
っていうか、それに関しては、私はその方が嬉しいって、先に言ってたと思うんだけど」
…………!
「ははははははっ!
そう言やそうだったな。
慣れないことしてるせいか、隙然り忘れてた」
はは、それにしても流石は美咲ちゃんだ。
こっちの思惑もちゃんと承知してるってわけか。
態々、冗談粧して応えてくれるなんていう、嬉しい気遣いまでしてくれて。
なら、あと、言うことはひとつだけか。
「じゃあ、最後にひとつ、お願いを聆いてもらえないか?」
「え?」
「今日、俺が告白したってこと、覚えておいて欲しいんだ」
「えぇ⁈ 私、てっきり忘れてくれって言われるものだと思ってたんだけど」
「ひっでぇな。
これでも俺、すっげぇ本気だったんだぜ。
だからこそ、ちゃんと覚えておいて欲しかったのに。
それなのにその辺の奴らと同じ扱いかよ」
もし本気なら、流石にちょっと憮然りだ。
「えぇ⁈ ち、違うよっ。
そうじゃなくて、そういう嫌な思い出って、忘れて欲しいんじゃないかなって思ったからっ」
美咲ちゃんが慌てて否定してる。
あ、そういや、普通はそう察るか。
でも、それならちゃんと説明しとかないとな。
「美咲ちゃんは特別だよ。
だからこそちゃんと覚えておいて欲しいんだ。
俺は絶対に忘れない。
これでも、俺としては本気だったからな。
まあ、結果的に振られちまったけど。
でも、恨んでるわけじゃない。
だってそのことに就いては後悔なんてしてないし、納得もしている。
なによりも、今でも美咲ちゃんのことは大好きだしな」
まあ、振られちまったけどな…。
「ふ〜ん。
で、真彦、アンタ、まさかストーカーになんてならないでしょうね?」
?!
「なんだよ、由希っ!
俺が真面目な話してる時に横から茶々入れてんじゃねえよ!」
「えぇ〜、だって傍から聞いているとねぇ〜」
「ちょっと由希ちゃん、流石にそれは無いよ」
「全くだ。酷い女だ」
天堂と純が俺の味方をしてくれている。
けどなぁ…。
「はぁ〜…、なんだか痴らけちまったぜ。
せっかくのシリアスな場面だってのに」
全く、こいつらときたら…。
「うん。忘れないよ、真彦くん。
だって真彦くんは、とっても真剣だったもん。
それに真彦くんは、私にとって大事な友達だもん」
!!
マジか?
ははっ。だったら十分報われたぜ。
俺にしては上出来だ。
やっぱり告白して正解だった。
これで胸の内もスッキリだ。
「なによ、ニヤニヤして気持ち悪い」
「良かったな、真彦くん」
「全くだ、この果報者め。
振られん坊のクセに生意気な」
ちっ、こいつら好き勝手言いやがって。
でも、そんなことなんかどうでもいいや。
今は美咲ちゃんのあの一言で気分がいい。
ちくしょーっ、これが青春ってヤツかよ。
これが分不相応にも、天上の星の姫君に惚れた無様な男の青春だ。
なんか周りの男共が、勇者だなんだとか言ってるけど、そんなことなどどうでもいい。
ちくしょーっ、高校に入ったら絶対に、美咲ちゃんに負けないような彼女を作ってやるぞー!
※作中の『只管打坐』は、ただ一筋に一つのことに集中することを意味する言葉です。出典は仏教の『正法眼蔵随聞記』で、余念を交えず、ただひたすら座禅する修行のことだそうで『祗管打座』とも書くそうです。また、『ひたすら』を『只管』と書くのはこの『只管打坐』が由来です。[Google 参考]
只、坐して打たれることにのみ管(注意)する。なるほど、如何にも禅宗って感じです。
因みに、作者は『管』を『簡』と勘違いしてました。
只“簡”打坐だと勘違いしていたので、只、坐して簡で打たれると思っていたのです。
これじゃ、ノートを丸めて引っ叩くのと同じで、まるっきりコントですよね。ハリセンなんかも頭に浮かんでましたし(笑)
お陰で要らぬ恥を掻くところでした。否、ここでもう暴露してますけどね。
※作中の『痴らける』ですが、本来の興醒めという意味だと『白ける』となるのですが、ここでは『アホらしくなる』という意味を持たせてこのように当てております。真面目な場面で水を差されては、その双方が当て嵌まりそうだと思ったのですが、如何だったでしょうか?
※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。中にはオリジナルの物も有りますのでご注意下さい。
※作中の誤変換の誤字(以外→意外)、修正しました。 [2023年 03月14日]




