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推薦入試って、実は大変なんじゃない?

「ふたりとも、進学についてだが、推薦を受けてみる気はないか?」


 そんなことを言い出したのは、マネージャーの織部さんだった。


「いや、純の方はともかく、咲の成績じゃ普通の入試は厳しいんじゃないかと思ったんでな」


 確かに、それが可能なら、合格率も上がるというか、ほぼ間違いなく合格出来るだろう。でも…。


「えっ? それって、私でも受けれるの?」


 そう、美咲ちゃんの言うとおり、そういうのはなんだかの特技を持った、特殊な人間に対して行なわれるもので、普通の人間はそんなこと思いもよらないものである。


「ああ、心当たりがある。

『森越学園』というんだが、聞いたことがないか?

 あそこは、社会でなんだかの活動をしている者達の支援を謳っているところで、偏差値はそんなに高くないからな。そこなら恐らく咲でも大丈夫だろう」


 いや、確かにそっち方面の心配はないのかもしれないけど…。


「でも、推薦って、学校側がするもんじゃねえの?」


 少なくとも、事務所がするもんじゃないと思う。


「ああ、だから学校側の進路指導に相談してみるといいだろう」


 なるほど、それなら学園側の推薦を受けられるってことか。()()っていうくらいだから、まさか自分から売り込みにいくなんて思いもよらなかった。

 でも、美咲ちゃんでも大丈夫なのか?

 そう思ったので、織部さんにそのまま尋ねてみることにした。


「それなら大丈夫だろう。

 先程(さっき)も言ったが、社会でなんだかの活動をしている者達の支援を謳っているところなんでな。そういったわけで、その学校には、同業のタレント達も通ってたりするわけだ。

 今だと、ライバル事務所の伊藤瑠花(るか)なんかがそうだな。

 とはいっても、今、三年生らしいから、仮に入学したとしても、卒業していて、顔をあわせることなどないだろうがな」


「そうなんだ。早速、相談してみます」


 すっかり、合格した気でいる美咲ちゃん。

 そこまで、受験勉強が嫌なのかよ。


 でも、そんなにうまくいくものなのか?

 もしもそうなら、一般受験生の苦労って、いったい、なんなんだよ……。


          ▼


「どうしたんだ? 美咲ちゃん」


 推薦入試について、相談に行った美咲ちゃんの様子が奇怪(おか)しい。話がうまくいかなかったのだろうか…。


「やっぱり、試験が有るんだって…。

 しかも、面接とか作文も加わるし、その前に、推薦を受けるための『志願理由書』や『自己PR文』を自分で書いて提出しないといけないって……。

 それなのに、内申点を良くするために、定期試験の成績アップも必要だなんて……。

 話が全然違い過ぎるよ~っ。

 うわぁ〜〜〜んっ」


 ははっ…、なるほど。

 世の中そんなに甘くないってことだな。

 まあ、一般と比べれば、そのハードルは低いんだろうけど、それでもそんな優遇が、ただで受けられるわけもないってことか。


 うん。オレはやっぱり、そんな面倒なことよりも、普通に一般入試だな。


 それはともかく、目鼻は着いたんだ。

 後はただ、がんばるだけ。

 滅減(めげ)るなっ、美咲ちゃん。

 オレ達が応援し(つい)てるぞ!

※作中に出てくる『森越学園』ですが、これは作者による創作です。元ネタはありますが、あくまでこの作品は、フィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。なので、例え同名のものがあったとしても、全く関係ありません。

 さて、この学校の名前の元ネタですが、堀○学園です。この学校は、嘗て(?)アイドルが多く通う学校として知られており、勝手ながら、そこから名前を採らせて頂きました。

 実は、この学校は、同時期、高校野球の強豪校として活躍した学校でもありました。今はどうかは知りませんが、嘗ては本当に強く、今なら明らかに、同年代の男子学生から「ざけんな、この勝ち組がっ!」等と、嫉妬的ヘイトを集めていたでしょう。そんな凄い学校だったんです。それだけに少し寂しくも感じています。がんばれ、堀○学園球児。

 ともかく、そんな学校の名前を文字らせて頂いたわけですが、当初の案では『鳥○学園』でした。でも、この名称は既に某国民的女児童向け漫画で使用されているらしいので、採用を断念いたしました。では、その代わりにと、次に考えたのは『折○学園』。でも、こちらもやはり、今は亡き大物野球漫画家が、その作品で使っていたらしく、こちらも断念。結果、そういったものと被らない(恐らく)と思われる『森越学園』となりました。う〜ん、名前をつけるのも結構難しいものですね。こんなに苦労するとは思いもよりませんでした。


※作中に『目鼻がつく』という言葉が出てきますが、紛らわしい言葉に『目星がつく』という言葉も存在します。で、その違いを調べてみると、

『目鼻がつく』とは『見通しが立つ』こと、

『目星がつく』とは『見当がつく』こと、となっていました。[Google 参考]

 似ているようで、違っている。日本語はやはり難しいですね。


※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。ご注意下さい。

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