表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/420

修学旅行 ‐大阪と言えば……って、えっ、行き成りここ?-

 今回、固有名詞が結構出てくるため、伏せ字表記『○』が、少なからず使われております。もしかすると、「そこまでしなくてもいいよ」なんて、優しく言ってくれるのかもしれませんが、念のため、『○』表記です。ご了承ください。

 大阪。そこは西日本を代表する大都市。

 人口は800万人を超え、都心部には高層ビルのオフィスや商業施設が立ち並び、鉄道網をはじめ交通機関が発達する。

 一方で、古来より日本の政治、経済、文化の中心地として繁栄した歴史を受け継ぎ、それは現代に於いても変わることがない。

 それは、我が国、日本に於ける第二首都としての在り方が模索されている(人によっては、模索ではなく、検討だと言うかもしれないが…)とも言われる程である。

 住民達の帰属意識(プライド)が高く、また、強かで逞しい、否、巧ましいイメージが強く、そこは少しばかりアレではあるが、それに反して、その明るさ(いろんな意味で)と、人懐っこさには好感が持てる。

 大阪とは、そんな都市である。


 有名な観光名所と言えば、大阪城、通天閣、道頓堀、難波の法善寺横丁、日本橋の黒門市場……。


 ああ、そうだよっ。

 後半はみんな食い物絡みだよ。悪いかよ。

 文句のある奴。道頓堀のくいだおれ太郎に謝れっ。

 大阪と言えば、当然食い歩きだろっ。

 道頓堀と言えば、グ○コの看板や、カ○道楽の動く大きなカニ。

 流石に、ここで蟹鍋ってわけには、予算上いかないけれど、それでも安く、もんじゃ焼きって手もあるし、たこ焼き、たこせんなんかで小腹を満たすことも出来る。

 他にも、法善寺横丁のお好み焼き、串カツ、ちょっとリッチな割烹……。

 食い倒れを支える巨大市場である、黒門市場のコロッケ、マグロ丼……。


 あぁ、だというのに…………。



「よっしゃーっ、やっぱり大阪と言えば、『SSJ』

『ザブカルチャー・スタジオ・ジャパン』だぜっ」

「ねえねえ、まず、どこ行く?」


 あぁ、なんで行き成り遊園地(ここ)なんだよ…。

 いや、ほぼ全生徒の希望でここになったんだけど。

 別に不満があるわけじゃないけど、それでもなぁ……。

 やはりオレとしては、食い倒れの街巡りの方が良かった…。


 さて、ここ『SSJ』だが、正式名称を『ザブカルチャー・スタジオ・ジャパン』と言い、いろんなサブカルチャーの世界を余すところなく体験できるテーマパークである。

 簡単に言うと、漫画やゲームとコラボした遊園地ってことだ。実際はそれだけじゃないんだけど。

 但し、ここはそんじょそこらの遊園地とはわけが違う。その規模は大きく、年間来場者は1,000万人に到達する勢いといった、世界的なテーマパークのひとつなのだ。

 国内で、ここと張り合えるのは、千葉の東洋ネズミーランドくらいじゃないかな。

 と、まあ、ここは西日本一のテーマパークなわけである。


 そんなわけで、真彦と美咲ちゃんは、すっかりハイテンションだ。

 まあ、当然か。こいつら、こういうの大好きだったもんなぁ。


 なお、集団行動が求められる修学旅行に於いて、オレ達がこんな会話が出来ているのは、このSSJに於いてのみだが、班単位での自由行動が認められているからだ。


 というわけで、現在ここに集まっているのは、オレ達男子の班の、オレ、天堂、真彦、小藪、大西の5人。そして、女子の班の、美咲ちゃん、由希、日向(ひゆうが)に朝日奈、そして優美の5人である。

 まあ、優美を除けば、いつもの親衛隊連中が一緒というわけだ。

 てか、この女、美咲ちゃん達と同じ班だったのか…。


          ▼


「「きゃ〜、かわい〜い」」


 オレ達が最初に向かったのは、国民的RPGの世界観を模したエリア。

 そして今、オレ達の目の前に現れた奇妙なモンスターに美咲ちゃんを始めとした、女の子達が黄色い声を上げていた。

 って、まさか? 

 そこには由希まで混ざっていた?


 でも、オレには理解出来ない。

 これのどこが可愛いのか。


 目の前に居たのは、腐って潰れた大福としか言い表せないナニかだった。

 色こそ緑色だが、その(いびつ)な造形、ぶよふよとした腐蝕感。

 その正体は、スライムと呼ばれるクリーチャーだった。


「ちょっと、変な言い方しないでよっ。

 こんなにかわいらしいモンスターに失礼じゃないっ」


 まさかとは思ったが、やはり先程(さっき)のは聞き違いではなかったらしい。


「そうよっ、スライムと言えば、かわいい系モンスターの定番中の定番じゃない。

 それが解らないなんてどうかしているわっ」


 朝日奈が由希に同意する。

 美咲ちゃんや他の二人も頷いている。


「まあ、確かにその通りだね」


 天堂までもが認めている。

 いや、この男の場合、女の子達に同調しているだけかもしれな…………じゃなさそうだ。

 オレの方が異常(おか)しいのか?


「かわいいねえ……。

 まあ、確かに可愛いと言えば、可愛いかな。

 なんてったって、凌辱系の定番だし、『くっ殺さん』にはつき物だよなあ」


「「……………………」」


「くっ、殺せ…。ぐはっ」


 何が起きたかは、言うまでもないだろう。


 ああ、女性陣の視線が冷たい。

 オレの息子が怯えて縮()まっている。

 それもこれも、みんな真彦のせいだ。


 性犯罪者予備軍(ヘンタイ)死すべし。

 同情の余地は無い。


          ▼


 次に向かったのは、やはり国民的配管工が活躍するゲームの世界。

 甲羅を背負ったお兄さん達が、大きな土管の上をうろうろしている。


「くたばれっ、『飛○在天』!」

「え? そこは下からジャンプじゃないの?」


 由希の双腕から繰り出された闘気の龍が、お兄さん達目掛けて荒れ狂う。

 あれ? 『降○十八掌』って、金○の小説オリジナルじゃなかったのっ⁈

 あと、美咲ちゃん。ツッコミどころってそこなの?


 いや、そんなことより……。

 ああ、よりにもよって股間かよ…。

 まだ、あれ、気にしてたんだ…。

 みんな、真彦のせいだな。

 ……南無三。


          ▼


 その後もいろいろと(まわ)ったわけだが、なんと言うか、まあ、いろいろとあった。

 だが、敢えてそれは語らないことにする。

 強いて言うなら、女性陣のいろいろな面が見られたとだけ言っておく。それはもう、いろいろと…。

 特に、由希の暴れっぷりと、美咲ちゃんのボケっぷり……って、こっちはいつものことか…。

 まあ、そういうわけで、いろいろあったわけだ。

 そんな中で、無事、真彦が生還出来たのが奇跡とだけ言っておこう。

 あぁ、思い出しただけで疲れ果てた…。


 お陰で、この後に(まわ)った道頓堀の『大阪松○座』や、難波の『よ○もと漫才劇場』等、いろいろ楽しみにしてたのに、全くもって記憶に残ることがなかった……。


 はぁ……。仕方がない。

 大人になったら、いつか必ず堪能しに来てやる。

 それまで楽しみに待っていろよ、大阪っ。


 ……って、本当にいつか来れるんだろうか……。

※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。ご注意下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ