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修学旅行 ‐早乙女純、サービスエリアに出没する-

 サブタイトルにはサービスエリアとしておりますが、パーキングエリアとの違いってなんでしょうか?

間隔に違いがあるだけで、殆ど同じサービスが行なわれているみたいです。実際のところ、どうなんでしょうね?

 バスに揺られ4時間半。

 現在、二度目の休憩中。

 2時間置きの休憩という事もあるが、何より、12時30分という昼時でもあるので、当然の如く昼食時間である。


 一応、1時間と長めに時間を()ってあるので、食後は各々の自由時間に充てられる。

 とはいえ、


「おい、あれ、花房咲じゃないか?」

「隣に()るのは、御堂玲だよな?」

「きゃ〜、御堂く〜ん」


 まぁ、こうなるよな。


「はぁ〜、相変わらずの人気ねえ」

「マジ(すげ)えのな」


「ははっ…」


 一応、ファンサービスは忘れないってか?

 天堂と美咲ちゃんは、苦笑いしながらも、ファン達に手を振って応えている。


 幸い、去年の夏祭りの時みたいな事にならないのは、やはり学校行事ということもあり、教師達が周りに附いておかげだろうか。


「やっぱり、これじゃ自由行動は難しそうねえ」

「ああ、これは諦めるしかないかな」


 由希の意見に天堂が同意する。

 美咲ちゃんも残念そうだ。

 全く、これじゃ、個人行動なんて儘ならない。


「便所付きのバスで良かったな…って、ちょ、ちょっと待てっ」


 例によって、由希のアイアンクローがオレへと迫る。

 睨むな由希、その手を引っ込めろっ。


「五月蝿いっ。このデリカシー皆無がっ」


 オレはその場から逃げ出した。


          ▼


 美咲ちゃん達と離れ離れとなったオレだが、実は都合が良かったりした。


 オレはそのまま、人目に着かない場所を探し、そこで手早くスカートに履き替えた。

 そして、着け髪(ウィッグ)を装着すると、そのまま一気に女性用便所へと飛び込んだ。


 この頃になると、こういった行動に対する抵抗感も随分と薄れてきていた。


 とはいえ、男のままってのは流石にいろいろと無理があるため、簡易であるが変装をし、そして便所で仕上げをすることにしたのだ。


 だって、早乙女純が男性用便所からってわけにはいかないだろ。


 リスクを冒してまで、早乙女純になった理由?


 それは、この土地ならではの、ご当地スイーツを食べるため。

 そのために、昼飯だって控えめにしたんだし。


 ……いや、だって、男のままでスイーツって、やっぱり抵抗あるだろ……。

 その点、早乙女純なら、それは自然、当然、必然である。

 早乙女純はスイーツ好きってことになっているわけだから、敢えてそれをしない理由がない。

 そして何より、せっかくここまで来ておいて、このまま素通りするなんて、もったいないってもんである。


 そういうわけで、ご当地スイーツが待っている。

 さあ、早速、突撃だ。


「あ、あれ? 早乙女純?」

「悪いけど、急いでな。

 修学旅行で来てるんで、あんまり時間が無いんだ」


 戸惑う店員さんに構うことなく、注文をするオレ。


 そんな調子で、あちらこちらの店を(まわ)る。

 周囲の目なんて気にしない。

 だって時間は限られているんだ。

 それまでに、どれだけの店を(まわ)れるかが勝負だ。


 とはいえ、いよいよ時間がヤバい。

 後は持ち帰りだな。


 時間ギリギリまで粘り、出来る限りの品物を買う。


 再度の着換えが、いささかアレだったけど、そんなことは余り気にならなかった。


          ▼


 そして、無事、集合時間にギリギリセーフ。

 ふぅ〜……。


「あれ? 純、どうしたんだ、それ?」


「え?」


 オレの手には、両手いっぱいに抱えた持ち帰り用のスイーツ。


「…い、いや、これは……。

 そ、そう、みんなで食べようと思ってな。

 まあ、お土産ってわけだ。

 だって、美咲ちゃんなんて、殆ど外を(まわ)れなかっただろ。

 つまり、その代わりな」


 オレの持ち帰ったスイーツは、みんなで食べることになりました。

※作中のルビには、一般的でない、作者オリジナルの当て字が混ざっております。ご注意下さい。

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