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純と美咲、真彦と再会する

「ん? なんか騒がしいやつらがいると思ったら純かよ」


 昼飯の弁当の件で騒いでる俺達に誰かが声を掛けてきた。


「えっ? 真彦くんっ⁈」


 そこにいたのは中学時代のクラスメイトの真彦と、そしてその連れの二人の女性だった。


「え? ちょっと真彦くん?

 この子と一緒にいるのってもしかしてリトルキッスのふたりに加藤香織じゃない?

 ねえ、これっていったいどういうこと?」


 中学以来の再会に驚く美咲ちゃん。だけどそれは置いておくとして、今は真彦と連れのふたりだ。

 ひとりはやや背の低い茶髪、もうひとりは少し背の高い金髪。

 その存在は小籔達から聞いて知っていたけど、こうして実際に顔を合わせてみれば確かに以前逢ったことのあるふたり組だ。

 どうやら以前と同様で美咲ちゃん達のことについては説明していなかったようで、そのせいだろうふたりは驚き戸惑っている様子。


「なんだ、誰かと思ったら真彦かよ。小籔達から話には聞いていたけど、どうやら変わりは無いようだな。

 連れのふたりも以前に遇ったあの時の子達だろ。まあそうは言ってもふたりは覚えてないかも知れないけどな」


 お互いに戸惑ったままじゃ話にならないのでオレから返事を返すことにする。


「え? 純くん、真彦くんのこと知ってたの?

 それに小籔くんって…。もしかして小籔くんもこの学校にいるの?」


「ああ、あと大西も一緒だ。

 ふたりとは健康診断の時に遇ってな、その時に真彦達のことを聞いたんだ。

 なんか真彦のことを両手に花の二股掛けとか言ってたぞ」


 オレが真彦のことを知っていたと言ったことについて美咲ちゃんが訊いてきたので素直に答えた。


「なっ、そう言う純こそどうなんだよっ。中学時代は純ちゃん一筋だったくせに、なんで加藤香織とベタベタしてんだよっ!

 お前の方こそ二股掛けじゃねえかっ!」


 (つい)でで真彦への悪戯心を加えたせいか真彦からこんな反撃が。


「あ、真彦くん、佐竹さんは純ちゃんとよく似てるけど全くの別人だから」


 そんな真彦に佐竹のことを説明する美咲ちゃん。

 最初はなかなか別人ということに納得がいかないようだったけど、秘密主義の早乙女純がその正体を明ら様にするわけないと説明したことで(ようや)く納得。初代と二代目の違いなら説明が楽だったろうけど、二代目は同じ人間だからなあ。

 手は掛かったもののこれでこの話は落着……と収まってくれれば好かったのだが──。


「後輩の子にも粉を掛けてるから本当は三股だよね。

 その代わり早乙女純にも海堂(すすむ)との噂で二股を反されてたみたいだけど」


 おい、斑目、なに余計なこと言ってくれてんだよ。

 周りから向けられたこの視線、いったいどうすりゃ良いってんだ。


「ねえ、聡ちゃん、この男鹿くんってどういう人なの?

 三股掛けだけでも凄いっていうのに、その相手のうちふたりが現役トップアイドルだなんて…」


 ほら、鵺野(ぬえの)からこんな視線を、いや鵺野からだけでなく真彦の連れのふたりからも同様の眼差しが向けられて…。

 くそっ、斑目のやつ、覚えてやがれ。


「まあ一言でいうならラノベ体質のハーレム野郎ってところかな。本人の意志とは関係なく勝手に美少女達が集まってくるところは正にそう。全く羨ましい限りだぜ」


「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえよ。女性だけじゃなく男にだってちゃんと人望は有るっての」


 河合のやつ、誰がハーレム体質だ。

 確かに集まってくるのは女性が多いけど、それはそういう仕事をしてんだから当たり前だ。

 それに男性だっていないわけじゃない。

 仕事じゃBRAINの面倒を看てるし、SCHWARZだって立ち上げた。

 プライベートでも安能達のような知り合いはいるし……まあプライベートはちょっとアレだけど、それは相手が女性だって同じだ。

 ……なんか考えてて哀しくなってきた。


 ともかく、そんなわけでオレがハーレム野郎ってのは否定する。

 なによりも女性相手にそういう付き合いは全くしてないし、望まれてもその気がないからと断わっている。

 こんな風に誠実を心掛けるオレが軟派なハーレム野郎なわけがない。


「あ~、そういえば黒瀬くんみたいな子もいるし、確かに女の子ばかりじゃないよね」


「確かに黒瀬くんは()()()だもんね」


 美咲ちゃん、それって(わざ)となのか?

 あと、斑目も余計なことを言ってんじゃない。幸い発音が同じだから知らないやつは気づいてないけど、でもだからってそれはないだろ。

 くそ、佐竹のやつ、状況が解るからって含み哂いをしてやがる。


「それよりも真彦、お前達の方はどうなんだ? 高校時代に会った時にはなんかバンドを始めるとか言ってたと思ったんだが」


 取り敢えずこの辺で話題の変換をすることに。これ以上この話は御免だしな。


「ああ、今じゃそこそこ実力も付いて結構人気になってんだぜ。まあさすがにプロの美咲ちゃん達みたいにいかないけどな」


 へえ、それは凄いな。

 バンドをやるのって結構大変なのにそこまでやれるようになってるとは、真彦達も案外やるもんだ。


「丁度週末にライブが入ってるから好かったらみんなで観にきてよ。

 あ、チケットは一枚2000円だからよろしくね」


 と真彦に続いてチケットを取り出す茶髪女。なんとも手際の良いことだ。

 多分タイミングを狙っていたんだろうな。なんとも強かなことだ。

 さすがに無料で招待しろとは言わないけれど、それでも友人価格に割引くらいはしてくれてもよかったんじゃないだろうか。本当に強かなやつらだ。

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