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なんでブラコン妹が流行るんだ?

 作中で、英語といいながら、アルファベットでない文字を使っております。これは意味不明な言語という意味の演出で、全く他の意味はありません。なんとなく、アルファベットを使うと、つい、言葉として調べてみたくなるという、好奇的悪戯心に対して、心理的な抵抗があったため、敢えてそれを外してみました。さて、読者の反応は如何に?

 今回の話は、時期的に前回の話と被ることとなる。

 1月半ばから収録の始まった、2時間ドラマに(まつ)わる話だ。

『まぐれ刑事 -任侠派-』

 不定期に放送される、2時間刑事ドラマの人気シリーズである。

 最近、余り見なくなった、2時間サスペンスってやつだ。…って、サスペンスでいいんだよな、これ。

 主人公は、ベテラン俳優、藤屋真人の演じる50歳過ぎの中年刑事、安村。

 見た目少しばかりガラが悪いが、人が()く、義理と人情に厚い、少し頭の抜けたおっさん刑事だ。

 (ついで)だが、別の意味でも頭が少し抜けている。

 あ、名誉のため言っておくけど、これはあくまで安村の設定で、藤屋さんのことではない。

 決して、彼は禿ではない。

 大事なことなので、もう一度。決して彼は、ハゲではないのだ。

 ……。

 この話は、そんな主人公が、様々な偶然に助けられ、事件を解決していくという、コメディチックな刑事ものである。

 で、オレの役どころはというと、その主人公の娘二人のうちの一人、妹の方の役だった。

 姉の方の役は、花房咲……ではなく、長谷川千鶴。

 オレ達は、常に一緒に仕事を受けているというわけではないのだ。まぁ、滅多にないけど。

 でだ、時期的にバレンタインともなれば、女性達による義理チョコ配りなんていう、迷惑な恒例行事があったりする。

 オレの場合、アルバム制作の企画としてチョコレートを作っていたのだが、そのことを知ってる人間も少なくない。というか、結構その話は拡まっている。

 なので、当然オレもチョコを配って回る羽目になったのだが…。

「ちょっと、何よあなたっ!

 お兄ちゃんに、変な色目を使わないでっ!

 不潔よっ!」

 などという、変ないちゃもんをつけられてしまった。

 言うまでもないが、相手は女の子である。

 それにしても、こっちにその気は、毛頭、全くないというのに。

 まぁ、オレは男なんだし当然なんだが。

 ただ、相手は、というより、世間一般はそんなこと知らないわけで、こういった反応も当然…なのか?

 どう見ても、重度のブラコンだな。

 でも、それも納得か。

 というのも、相手の女の子の年齢は、どう見ても10歳かそこら。

 なんだか、見ていて、少し微笑ましくなってきた。

「ああ、ごめんね。カレンは、どうしようもないお兄ちゃんっ子で」

 そこに現れたのは、カレンと呼ばれた女の子の兄だった。

 彼はジョージ·ミューラー[George Muller](18歳)

 千鶴さんの演じる姉の恋人(外国人とのハーフ)役を務めている。

 独系アメリカ人と日本人とのハーフだ。(ジョージは英語圏名、ミューラーは独国姓。因みに、ジョージは米国読みだとゲオルグ)

「なによ〜っ。

 私は、お兄ちゃんに擦り寄ってくる悪い虫を追い払ってるだけじゃないっ」

 うん、全くその気はないんだが、その言い方は、なんだか腹が立つ。

「そう言うことは、もう少し()っきくなってから言うんだな。お嬢ちゃん」

 なんて、つい、挑戯(からか)ってしまったとしても仕方ないよな。

「ΝωωΦΣΔζ! εΞξΜΠΨΞΜφψςΠΝΔξΟΜυοΗΧχΝθ!」

 うん、何を言ってるか解らないから、腹が全く立たないな。

「ΠΑωΞΞχωςΑφξρΞηΧπΧχρΗξζργΕιχΕοΧψφν!

 ΞρςΑχΗΠςξσΙΟΟ! ςΝοΝνΖψΝξΨφζξΗο!」

 ……、黙って聞いてはいたけれど、やっぱり腹が立ってきた。

 意味は解らなくても、罵倒されていることくらいは判る。意外と効くもんだな。


 これを切っ掛けに、オレはジョージさんに英語を習うことにした。

 だって、言われっ放しは、やっぱり癪だ。

 今度、絶対英語で言い返してやる。

※ジョージ[George]という名前は、古典ギリシア語の人名『ゲオルギオス』が起源で、『大地(geo)で働く(erg)人』つまり『農夫』が由来だとか。キリスト教の聖人に『ゲオルギオス』という人がいて、そこから人名として広く使われ始めたらしいです。一方、ミューラー[Muller]という姓は『粉屋』『製粉業』を意味する職業姓で、英語ではミラー[Miller]にあたるそうです。 [Google 参考]

 この名前の有名人として、米国大統領が数人の他、UFO研究家ジョージ·アダムスキー[George Adamski]などでしょうか。結構います。



※カレン[Karen]は、元々は中世デンマーク語の人名でカタリナ[Katharina]の略称に由来し、『純粋な』という意味らしいです。また、古代ギリシャの女神『ヘカテー』[Hecate]が語源らしい(?)とのこと。こちらは『意思』を意味するそうです。ただ、この『カレン』という名前は、俗に『面倒臭い女』を意味する言葉というか、代名詞として使用されることがあるとか。 [Google 参考]

 意図したわけではなかったのですが、作中のカレンのイメージに、どれもぴったりだったりします。

 この名前の人物としては、米国の歌手カレン·カーペンター[Karen Anne Carpenter] (カーペンターズ)が有名ですね。


※作中のルビには、一般的でない、作者オリジナルの当て字が混ざっております。ご注意下さい。

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― 新着の感想 ―
謎言語、いいじゃないですか! 私はこういうの、好きですよ。 カタリナといえば有名な聖女もいますね。 本、鞭、少女とかを守護してるんだとか。
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