they are right staffs
雪が降る
雪が降る
この空見上げれば
光る銀幕
冬を飾る
雪が舞う
雪が舞う
白一面の世界を
歌い 踊るよ
雪のポルカ
「うん、こんな感じかな。
で、リズムはと、
タン、タカ、タッタ
タン、タカ、タッタ
タンタカ、タンタカ、タン
と、う〜ん、こんなもんかな?
でも、ポルカって、これでいいのかな?
まあ、聖さんに聞いてみるか」
現在、11月末日。明くる翌週、12月には、二学期期末試験が行なわれる。
それに合わせ、オレ達リトルキッスには、一週間の試験休みが与えられている。
だが、自分で言うのはなんだが、オレにはその辺の心配は無縁だ。
一応、美咲ちゃん達との、勉強会などもしているのだが、それ以外の時間は、割と自由が利く。
そうやって出来た時間を、オレは曲制作に利用していた。
幸い、今は、以前程の苦労をすることなく、順調に曲制作が出来ている。
最近、リトルキッスの発表した『Party Time』『Trustship』といった、9月に作った曲は、現在順調に売り上げを伸ばしつつある。
他にも、先月10月末に作った『Fighting Girl』が、次の発表を待っている。
で、今は、試験準備期間を使って作った冬の曲『雪のポルカ』の助言を求めるため、聖さんの元へ訪れているところだ。
「うん、上手くいくといいな」
オレは、今、絶好調だ。
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星プロ事務所に辿り着いてみれば、場が高揚感満ち溢れてという表現が相応しいとでもいうのか、随分と浮かれた雰囲気の人達を多く見かけた。
それは、聖さんや織部さんも例外ではかった。
「これっていったい、何があったんですか?」
当然、尋ねたくもなる。
「ああ、純か。
実は、この度のタレント人気ランキングが発表されたんだ。
そこにうちの新人達が上位に食い込んだんだ」
珍しく、織部さんが興奮している。
「そこには君達、リトルキッスの名前もある。
他にも、御堂玲の名前もだ」
なるほど、納得だ。
では、その結果をオレも覗いてみることとしよう。
女性部門 [11月調査]か…と。
おぉ⁉ 千鶴さんが11位だ。あの人、なに気に凄かったんだ。普段を見てると、とてもそうは思えないんだけど。
あと、12位に『伊藤瑠花』?
確かこの人だよな、千鶴さんのライバルだっていってた人。なるほど、得票差も僅差だ。流石はライバル視されるわけか。
でと……、
!
あった!
18位、花房咲。美咲ちゃんだ!
初登場で第18位!
あの織部さんが興奮するわけだ。事務所の浮かれっぷりにも納得がいく。
そして、19位…………、はあっ⁈
19位、早乙女純⁈ なんで⁈
いや、そういや、世間じゃ、早乙女純が男だって知らないんだった。それじゃ仕方がない…のか?
あと、天堂。御堂玲がランクインとか言ってたよな。どれどれ。
男性部門 [11月調査]…と。
なにぃっ!
11位、御堂玲⁈
初登場で、中学生だぞ。
功さんや、隆さんでさえ、19位、23位だってのに。いったいどうなってんだ?
いや、ハイスペックな奴だとは思ってたけど、ここまでとは…。
ともかく、オレ達は、デビュー当年にして、輝かしい快挙を成したわけだった。
あ、曲、補てもらうの忘れてた。
タイトル『they are right staffs』の『right staff』の意味は『適任』なのですが、最初は誤変換により『light staff』つまり『照明係』いや、この場合『明るい奴ら』となっていました。というわけで、後で気づいて周章てて修正しております。でも、日本語なら『明るい』=『優れた』で良かったのでしょうか? 別に米国の映画は関係なく『ジョークでいっぱい』というわけではありません。まあ、冗談みたいな作品、作者ですけど。
※作中のルビには、一般的でない、作者オリジナルの当て字が混ざっております。ご注意下さい。




