早乙女純、スキャンダル疑惑に答える
今回は短めです。
早乙女純に男がいるらしい。
そんな噂が実し様かに広まりつつあった。
その元は恐らく、美咲ちゃん。
この前の爆弾発言が、そのまま方々へ広まったと思われる。
発信元が美咲ちゃんということで、その信憑性が高いとして、その拡散速度はさぞかし速かったことだろう。
「はあ〜、やっぱりそうだったのね。
で、どうなの? 彼とは上手くいってるの?」
と、千鶴さんの耳にまで。
「なんだよ? 彼ってなんのことだよっ?」
「韜晦けるんじゃないわよ。
決まってるじゃない。JUNよ、男鹿純のことよっ」
「はあ〜〜〜っ???!」
「あ、やっぱりそうだったんだ。
もうっ、純ちゃんったらっ」
「だから、なんでそうなるんだよっ」
本当にどういうことなんだ。
それに何がやっぱりなんだ、美咲ちゃん。
「だから、韜晦けなって言ってるでしょ。
あなたが『早乙“女”純』で、あの子が『“男”鹿純』
つまり、あなたの芸名が、あの子の名前に因んだものだって、そのことだけで十分でしょ」
「あ、そうか。純ちゃんが“女”で、純くんが“男”ってことなんだね」
あっちゃ〜ぁ、そういうことか。
それじゃ、他にも気づいた奴がいそうというか、恐らく気づいてるだろうな。
とはいえ、そういうことは絶対にあり得ないんだけど。
「確かに、オレの芸名はあいつに因んだものだけど、だけどそれはそれだけだ」
「え? どういうこと、純ちゃん?」
不思議そうな顔で問い掛けてくる美咲ちゃん。
それにオレはこう答える。
「だって、まだオレは14(歳)だぞ。
無理に慌てて、誰かを選ぶ必要なんてないだろ。
そんなにがっついてどうするんだって話だ。
要するに、今のオレは、たった一人の男に縛られる気がないってこと」
「はあ〜…。あなたも大概な女ねぇ」
美咲ちゃんは、まだ納得いかないようだが、千鶴さんの方は、これでなんとか誤魔化せたようだ。
うん、我ながら良い答だ。
よし、今後、この手の質問には、こう答えることにしよう。
※作中のルビには、一般的でない、作者オリジナルの当て字が混ざっております。ご注意下さい。




