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Let's Lesson!

 やってきました星プロダクション。

 建物内に入ると、幾人かの子供達(10〜15歳くらい?)がちらほらと見かけられた。

 きっと彼達は訓練生。つまり将来を担うタレント予備軍、アイドルの卵達なのだろう。

 そんなロビーを真っ直ぐに突き進み、受付へと向かう。

「あの〜、すみません。今日からお世話になる男鹿という者ですが」

「おや、君は新入りの子かい?」

 オレの声に応えたのは、受付の係員ではなく、後ろから現れた、兄貴(一応18歳)と同じ歳くらいのイケメン男子だった。

 オレが振り返るよりも早く、彼に気づいた周りの子達が、次々に彼へと挨拶を始める。

「おはようございます、大成(おおなり)さん」「おはようございます」

「あ、おはようございます。今日からここでお世話になります。男鹿です。よろしくお願いします」

 オレも急いで、続くように挨拶をし、軽く自己紹介をする。

「ああ、やっぱりそうか。じゃあちょうどいい。彼達も同じ訓練生だ。ついて行くといい。君達、この子のこと頼んだよ」

「はい、任せてください」

 どうやら彼、オオナリさんは、兄貴とは違って人望のある人物らしい。

 まぁ、兄貴の場合だと、周囲の人間が怯えて逃げ出すから比べ物にならないんだけど……。

 とにかく、彼のおかげで行き先は解ったし、ついでに、そこの子達とも仲良くなれそうだ。

 ありがとう、オオナリさん。


          ▼


 彼達について行き、そこで仲良く一緒にレッスンを受ける。

 早速のレッスンは、決められた曲に合わせてのダンスだった。

 なんとかというステップを、速いリズムで踊るため覚えるまでが結構苦労だ。

 だが、自分で言うのもなんだが、オレは運動神経がよく、また、物覚えもいいほうなので、数度もすればすんなりと出来るようになっていた。

 それはもう、指導の先生から、筋がいいって褒められるくらいに。

 ただそれは、必ずしもいいことばかりってわけじゃなかった。

 そう、オレは忘れていたのだ。

 同期の訓練生とは、苦楽を共にする仲間ってだけでなく、互いに競い合うライバル同士だということを。


 数分の休憩時間に入ったところで、一人の男子がオレのところへとやってきた。

「なかなかやるみたいだが、いい気になるにはまだまだ早いぜ。いい気になるなら、せめて最低でもこれくらいのことは出来ないとな。」

 そう言うと奴は突然と踊り始め、最後を一回のバク宙で締めた。

「どうだ、これが上級者だ」

 そう言うと奴はニヤリと笑った。

「すげぇ、バク宙決めやがった」

 周りは驚愕の渦に包まれていた。

「マジかよ……」

 そして、オレもその中の一人だった。

「まさか、こんなのお粗末なのをバク宙って言う奴がいたなんて……」

 但し、その意味合いは正反対、呆れによる驚きだ。

 明らかに高さが足りない。

 腰ではなく、せめて胸以上で回るつもりで跳ばないと。

「ふざけんなよ! だったらお前はこれ以上のバク宙が出来るってのかよ!」

「少なくとも、アンタよりはマシなつもりだぜ」

 こうなったら仕方がない、奴に付き合ってやることにするか。

 オレは奴と同じように踊り始める。(といっても当然、奴よりキレッキレだ)

 それに加えて途中途中にバク宙を挟む。

 そして最後は月面宙返り(ムーンサルト)で締めだ。

「嘘だろ」「マジかよ」「次元が違い過ぎる」

 周囲の驚きの中、奴と同じようにニヤリと笑って返してやる。

「どうだ、上級者。これで満足か」

 沈黙する奴に対して、他の連中は大興奮。

 危うくもみくちゃにされるかと思ったのだが、

「いたっ!」

 突如現れた人物により、オレはその場から連れ去られたのだった。

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