早乙女純とヤンキー後継者問題 (前編)
一段落着いたので、短めですがここで今回は完成です。一応、続きは後編の予定ですが長さによってはこちらに加筆するかも…。
→次は中編となりました。
夏休みが終わった。
初めてのドラマ撮影や、夏祭り(あとで散々叱られた)、宿題の追い込み(主に美咲ちゃん)などといろいろあったが、それらも終わり、今は新学期の9月。
来年度に向け、いろんな引き継ぎ行事が行なわれる。
実際、今、学校では、来月の生徒会選挙に向けて、準備活動が行なわれている。
だが、引き継ぎというのは、生徒会だけというわけでなく……。
早乙女純は誰だ。
早乙女純が邁けば、嵐が叫ぶ。雲を呼ぶ。
いや、別に嵐も雲も関係ない……はずだけど…。
今、学校では、早乙女純捜索が再燃していた。
ただ、柄の悪い連中限定だけど。
何があったかといえば、鬼塚さんの仕業だった。
武士によると、
「早乙女純を連れて来た奴が次の後継者だ」
などと言ってたせいらしい。
こっちとしては、迷惑甚だしいというものだ。
そんなわけで、野心に溢れた馬鹿どもが、早乙女純を捜してるわけだ。
そんな日々が、この数日、毎日のように…じゃなく、本当に毎日続いている。
「本当、毎日毎日、鬱陶しいわね」(由希)
「そんなにがんばったって、見つかるわけないのにな」(純)
「確かに、これで見つかるんならとっくに見つかってるはずだしな」(真彦)
「でも、純ちゃんって、何処のクラスの誰なんだろ」(美咲)
「ああ、実に上手いこと、隠れてるものだ。流石は純ちゃんといったところだね」(天堂)
「本当よね。あれだけ目立つ子なのにね」(由希)
「まあ、この分じゃ当分無理そうだな」(真彦)
「はぁ〜…、つまり、当分続くってわけね……」(由希)
確かにそれは鬱陶しい。
とりあえず、鬼塚さんに、詳しいことを訊きにいってみることにしよう。
▼
「で、いったいどういうことなんだよ」
今日も鬼塚さんは屋上にいた…というか、今日はオレが呼び出したんだけど。
「あ〜、悪い。二年の奴らが執拗いもんだからついな」
「それでこの騒ぎかよ」
「ああ、本当、悪いって。
でも大丈夫だろ。前も数日で収まったわけだし。
なによりあいつら、早乙女純が女だって、信じて疑ってもないんだし」
「はあ〜あ? ど、どういうことだよ⁈」
な、なんで、鬼塚さんがそのことを知ってるんだ⁈
「隠すなよ。
そんなの見りゃ判るって。
それにしても、笑ったぜ。なんの冗談かと思ったぜ。
よりによって、純が女のアイドルだぜ。
悪巫山戯にしても程があるってもんだろ。
事務所にしても、何考えているんだかな」
ヤバい。完全にバレてる。
「な、なんでそう思ったんだよ」
「だから、見りゃ判るって言っただろ。
女装した純を見たことがありゃあ、判るってもんだ」
ははっ…………、そう言や、そうだった。
鬼塚さん、オレの女装を見たことがあるんだった。
何時、何処でかはここではいわない、いいたくもない。
とにかく、この人は、オレの女装姿を知っていたのだ。バレたのも納得というわけだ。
「で、どうするつもりだよ」
「特に何かするも必要ないだろ。
ってのは、さっきも言った通りだ。
悪いが熱りが冷めるまで我慢してくれ」
全く、なんて無責任な。
とはいえ、やっぱり、それしかないか…。
※作中パロディ部分に勘違いがあったようなので修正しました。ただ、白黒時代の時代劇主題歌で歌詞の記憶があやふやなため、これで正しいかはなお不明ではあるのですが…。[2024/11/23]




