早乙女純と夏祭り
今回も未完成稿です。後書きの薀蓄を書きたかったので忘れないうちに(失敗して消したりしたくないので)仮投稿させて頂きました。ただ、このあとのことは、まだ未定。どうしよう……。
→お待たせしました。ようやく完成です。
前々回の22話、正直、やらかしました。お気づきでしょうが、純のあの行動は、全く不自然過ぎでした。落ちそうな相手を助けるならば、普通に相手に手を伸ばして掴まえればいいだけですから。当初の構想では、体操の鞍馬の旋回技のような蹴りを使わせる予定でしたが、何故あんな演出に変更したのか。言い訳ですがこの作品を作るため、寝不足で頭がまともに働いてなかったのではなかったのかと思います。と言うわけで純以上に、作者にとっても黒歴史となってしまいました。ただ、それでも内容を変えるつもりは、今のところありません。一応、やらかした過去を忘れないよう残しておこうと思うわけです。ですので作者のこういったやらかしを見つけて嘲笑うのも、この作品の醍醐味だなどと思って頂ければと思っております。なお、後日に改訂版を投稿する可能性があると思いますが、今のところはその予定はありません。[23年1月19日]
眠い。
連日、夜遅くまで曲制作を行なっているせいだ。
いや、行なっているとはいえないのか。
誰だったかが、言っていた。
結果を伴わない努力は努力でなく、ただの時間の浪費だと。よく考えて最も有効的な方法を実行すれば、労することなく自然と結果が出るということらしい。
でも、それってどうなんだろう。
方法が解らないから、人は苦悩し苦労するのだ。
そんな、物事の因果を逆から語るような理論を持ち出されても困るというものだ。
それに、下手の考え休むに似たりともいう。
こちらも長考を時間の浪費と嘲笑うものだが、少なくとも行動することの否定はしてない。
『神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬る』なんて台詞もある。本元と意味が違ってくるが、迷うよりもまず行動してみろということだろう。
そんなわけでの夜ふかしだ。だから眠い。
それでも朝はやってくる。
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日中になったが、未だに頭が朧げだ。
何をやったかよく覚えてない。
ただ覚えてるのは、美咲ちゃんに誘われて、近所の夏祭りに行こうという話になったことだけだった。
▼
夕刻、まだ薄っすらと明るい中、オレは家を出た。
当然、男のままだ。
だが、美咲ちゃんと約束したのは、男の『男鹿純』じゃなく、女の『早乙女純』だ。
何処かで変装する必要がある。
では、何処で。
以前なら、そこまで考える必要がなかった。
名前だけの知名度で、早乙女純の顔を覚えてる人が少なかったため、物陰で髪型を少し弄る程度で通用したのだ。
だが今は、メディアへの露出が増えてきたため、少々のことでは誤魔化しが効きづらい。
況してここはオレの地元だ。
男鹿純と早乙女純、双方を知る者も少なくない。
そんな中で二人が同じ格好では、不審に思われかねない。
では、どうするか。
オレの出した答は、貸倉庫を利用するというものだった。
本当なら、ちゃんとした部屋を借りるほうが(倉庫も部屋ってことになるのかもしれないが)良いのだろうけど、まだ中二のオレには、流石にそんな金はない。
それに人目につけば、そこが早乙女純の住む家として、周囲に知れ渡ることになり、そこに頻繁に出入りするオレは何者で、早乙女純とはどういう関係だという話となる。
一方、貸倉庫なら、誰もそこまで気にしないだろう。
そういったわけで、広さに多少の不便はあるが、そこで早乙女純用の私物を管理し、変装を行なう場としたのだ。
早乙女純となったオレは、美咲ちゃん達との合流場所へと向かった。
そこでは、美咲ちゃんと天堂に加え、由希と真彦が待っていた。
一応、男鹿純にも声が掛かっていたのだが、そんなの無理に決まっている。
当然、用があると言って断わった。
ただ、デートだと言ったせいか「純くんの浮気者〜っ」なんてわけの判らないことを言っていたのだが、どういうことだろう。
まあ、いいか。
さて、そんなことよりも、美咲ちゃん。
今晩の装いは浴衣姿。
とても可憐で可愛らしい。
真彦がすごく感激していた。天堂も横で頷いている。でも、ちょっと大袈裟じゃないか?
あと、由希も浴衣姿だったけど、正直こっちはどうでもいい。
「ちょっと、なんで美咲ちゃんとアタシでこんなに扱いが違うのよ!」
「そりゃあ、アイドルの美咲ちゃんと、一般人のお前じゃ、比べるのもおこがましいってもんだろ。なぁ、天堂」
「ま、由希の場合、毎年のことで見飽きたってことじゃない?」
オレの意見に真彦が頷く。
「そんなことないよ。由希ちゃんも美咲ちゃんも、二人ともよく似合ってて可愛らしいよ。あと、浴衣じゃないけど純ちゃんもね」
一方、天堂は褒め讃える。
“称える”でなく“讃える”なのは、多分本気で言ってるだろうから。
こんな台詞をさり気なく言える天堂は、やはり天然の女誑しと言える。なるほど、モテるわけだ。
「ありがと。天堂くん」
ちょっぴり照れながら、応える由希。
なんだ? この反応は。
「二人はともかく、由希の場合は社交辞令だろ」
やはり、これも真彦と同意見。
「ギャーーーー!」
美咲ちゃん曰く。
「少しは天堂くんを見習えばいいのに」
今回も真彦は、由希のアイアンクローに吊り上げられたのだった。南無三。
祭といえば、やはり夜店。
美咲ちゃんを先頭に、あちらこちらの店を巡る。
たこ焼き、イカ焼き、お好み焼き。
フランクフルトに、串焼き肉。
最近、わた菓子やりんご飴を見ないけど、いったいどうなったんだろう。
いろんな店を巡るオレ達。
「なあ、食ってばかりじゃなくって、他の店も覗いてみないか」
お好み焼き(箸巻き)を右手に提案するオレ。説得力ないなこれじゃ。
「そうだね。じゃあ、あそこ行ってみようか」
天堂が指した先にあったのは射的屋。
「まあ、まずは食べ終わってからでしょ」
かき氷を手に、由希が言う。
オレの左手には、チョコバナナがあり、
天堂の手には、お好み焼き(箸巻き)、
真彦は、焼きそばで、
美咲ちゃんは、今、食っているお好み焼き(箸巻き)を右手に、左手には……、イカ焼き、フランクフルト、チョコバナナ、串焼き肉……。他にも、今川焼を天堂に預けている。
なるほど、由希の言う通りだ。
それより、美咲ちゃん。大丈夫なのか、いろいろと。あとで後悔しなきゃいいけど。
一旦、場を離れ、買った物を食べ終わったところで、先程天堂が示した射的屋へ。
ライター等の小型の物、プラモデル、トレーディングカード、ゲームソフト、ぬいぐるみ等の中型の物、大型のぬいぐるみや最新ゲーム機本体なんて物もある。さて、どれを狙おうか。
まず、重量のある物はほぼ無理。
高価な物は、なんだかの細工が密かにしてあるだろうから、これも無理。
小型過ぎる物も狙うのが難しい。
さっきから、真彦ががんばってるが、成果はまるでみられない。
由希と天堂は、程々のところで諦めている。
なお、美咲ちゃんは応援するだけで参加をしていない。
あれだけ買い食いしたことだし、そろそろ懐がヤバいんだろう。
それよりオレも、そろそろ参加だ。
大きくて軽そうな物。やや大型のうさぎのぬいぐるみ辺りが良さそうだ。
狙う所は上側の端。ここなら重心を崩し易い。
しかし、言うは易し行なうは難しで、思うようには中たらない。
一発目を大きく外し、二発目もやはり中たらない。
そして最後の三発目、心を落ち着け、慎重に狙いを定める。
放った弾は、狙った額の右上の耳許を外れ、まさかの眉間のど真ん中。
それでもバランスを崩したうさぎは、そのまま後方へひっくり返る。なんとも呆気のないものだった。
特に小細工をしていない、良心的な店だったようだ。
「きゃ〜、すごい、純ちゃん!」
美咲ちゃんの揚げた歓声に周囲が動揺めき始めた。
オレ達はうさぎを受け取ると、急いでその場から逃げ出した。
しかし、まわりこまれてしまった……というわけでなくとも、やはり行く手は遮られた。
「純って言ってたけど、あれってやっぱり早乙女純か?」
「じゃ、一緒にいるのは花房咲?」
「あ、御堂くんもいる!」
次々群がる人、人、人。
前にも人。後ろにも人。
右にも、左にも人、人、人の人集り。
こうなったら、こっちも覚悟を決める必要がある。
「お前らっ、いい加減にしろっ。
こっちは今、プライベートなんだ。
頼むから、邪魔をすんじゃねぇ!」
と、覚悟というよりもぶちキレただけだ。
だけど、間違ってないはずだ。
「なんだと、生意気な、これだから子供は」
「それならそっちは大人だろうが。
だったら、大人らしく、物事の道理を弁えろってんだ」
一触即発で睨み合うオレと群衆。
「おい、こっちだ」
ここで救世主が現れた。
クラスメイトの大和武士だ。
神様、仏様、武士様。
オレ達は武士に導かれその場を無事に脱出した。
「悪いな。デート中だったんだろ」
武士の隣りには女性がいた。
オーディションの時のあの少女だ。
そういや、付き合ってるって言ってたっけ。
「構わねえよ。アンタにゃ借りがあるからな」
「ええ。こうして今の私があるのも、今、私達が付き合っているのもみんなあなたのおかげだもの。このくらいなんてことないわ」
こうしてオレ達の夏祭りは終わりとなった。
当然、この場で解散だ。
これ以上、迷惑を掛けるわけにはいかないからな。
とほほ、である。
※『神に逢うては神を斬り、仏に逢うては仏を斬る』はTV時代劇『柳○一族の陰謀』からの引用です。ただ、作中では意味を変えて(?)使っております。本元は仏教臨済宗の『臨済録』殺仏殺祖『仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し…』というもので、大雑把に言えば 他人の言うことに惑わされるから苦悩するのだ といった感じの意味のようです。[参考 Google]
※南無三は仏教用語『南無三宝』の略です。『仏』『法』『僧』の『三宝』の救いを請うという意味で、本来はその三宝を讃える言葉らしいです。某アニメの窮地の際の主人公の台詞の影響から、救済を求める言葉して使われるようようになったようです。[参考 Google]




