純、水着撮影の日々を振り返る
今回もかなり短めです。内容も前回までのあらすじとなっております。そして次回の投稿日も未定です。すみません。
リトルキッスの水着撮影の仕事が漸く終わった。
全くろくでもない仕事だった。
なんというか、全てがこちら側の想定外で、当初は青年向け雑誌の巻頭グラビアって話だったはずなのにいつの間にか写真集って話になってたってのはまだマシな方で、その撮影の写真家ってのがとんでもないスケベ野郎だったのだ。まあ、この企画をもってきた講文社側の担当者がいい加減な契約をしてたってのが原因みたいで、写真家の方はその手の写真撮影だと思ってたってのが真相だったのだけど。
でもなあ…。その辺の食い違いはお互いに話し合いで解決するべきで、話も聞かずに一方的に意見を押し付け、それが通らないとなると即契約破棄なんてのはあまりにも大人げないだろう。
いや、まあオレ達の方も折れる気はないし、場合によってはあっちと同じ対応をするつもりだったからあまり非難はできないか。でも、だからって未成年女性にあんな……、あれが嫁入り前の娘に対して節度ある大人のすることかってんだ。
というわけで、今回の話は立ち消えかというとそうではなく、やはり契約したからにはちゃんとそれなりに仕事は果たすべきということになったんだけど……、それって織部さんが出できて話を纏めたんだよなぁ…。
その後は全てがスムーズだった。まあグラビアが写真集ってことは変わらなかったけど、でもそれ以外はこちらの意見の殆どが恐ろしい程に通った。やはりあの写真家がいないってのが大きい。
そんなわけで、今回の撮影はいろいろと波乱を含んだものだったのだ。
まあ、悪いことばっかりじゃないか、結構いい出逢いもあったし。
代わりの写真家の許斐さんは好人物だった。それだけにあいつの紹介ってのが複雑な気分だ。だってあいつのことをフォローするんだから。なんとも義理堅い。
で、この許斐さんだけど、実はオレの撮った写真を褒めてくれたのだ。センスがあるとか言ってくれて。
仮にもプロの人間が褒めてくれるんだから、きっとオレにはそういう才能があるんだろう。……なんて思ってたのだが、佐竹には天狗になるなと窘め られることに。でも、あれって本当に社交辞令だったのだろうか。おまけとはいえ一応はオレの撮った画像も写真集に載るんだから、必ずしもそうとは限らないと思うんだけど。
他にももうひとつ。なんとこっちで佐竹の弟を見かけることに。否、見かけるってのは少し違うか。そこにいるのを知ってて見に行ったわけだし。なお、接触は成り行きでの仕事を通じてなので、個人的に友好関係を築くとかはできなかったけど。なぜならそこは高校生クイズ王大会の収録現場で、佐竹の弟はそれの出場者、一方オレ達は番組の出題者とその関係者という立場だったのだから。
因みに佐竹の弟は、ここで脱落だった。それなりに実力はあったのだけど、運の方は無かったということだろう。だって出題者が美咲ちゃんだもんなぁ。
ただ、こいつらが面白いやつらだってのは確かだし、今度会ってみるのもいいかも知れない。
※1 この『窘める』という言葉ですが『嗜める』と間違えて書かれやすいようです。『嗜む』からの誤変換がよくあるようなので、それを信じて間違えて覚えないよう、そちらのほうも注意が必要そうです。
※この後書き等にある蘊蓄は、あくまでも作者の俄な知識と私見によるものであり、必ずしも正しいものであるとは限りません。ご注意ください。




