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だって女の子なんだもの

 新キャラ佐竹の登場以降、当て字のほうは控えてますが、蘊蓄のほうは続けます。なんかこれを止めると、この作品の個性がひとつ減るような気がするので…。

 なおこれらの蘊蓄は、小説情報の欄の記載通りのままで、相変わらずの中途半端で怪しいものなのも残念ながら変わりません。精々眉唾な参考資料くらいに思っていただければ…。

 美咲ちゃんから絶縁宣言されてから数日が経った。

 気付けばGW(ゴールデンウィーク)目前。だというのに、未だに関係の修復はならず。

 一応オレの謝罪の言葉を無視されるなんてことは無く、耳を傾けてはもらえたのだが…。


「佐竹さんのことは誤解だと解ったけど、でも純ちゃんのことはまた話は別だよ。

 ちゃんと純ちゃんに謝って許してもらって、その上で帰って来てもらうこと。これが仲直りの条件だからっ」


 とのことなのだ。


 生憎今はまだ佐竹の育成期間中なため()()()()()()()()ってわけにはいかない。

 まあ、オレひとりってことならできないこともないのだが、しかしその場合、オレと佐竹の差ってのに気付かれ易くなるわけで…。


          ▼


 5月に入りGW(ゴールデンウィーク)最終日、早乙女純育成計画も愈々(いよいよ)実践へと移った。要するに早乙女純の帰還というわけだ。

 そんなわけでオレは佐竹を伴い星プロ事務所へと向かっていたのだが…。


 う~ん、やっぱり心配だ。でも、いつまでもそんなことを言ってるわけにはいかない。いつかは必ずやらねばならないのだ。それに…。


「ねえ、本当に大丈夫かしら。

 一応は男鹿くんの特訓によってそれなりに振る舞えるようにはなったとは思うんだけど、それでもやっぱり別人なんだからどうしても違和感は拭えないと思うんだけど」


 それにオレがそんな弱気じゃ、佐竹をより不安にさせてしまう。なんてったってオレが佐竹をその当事者に担ぎ上げたんだ、ならばそれを支える責任ってものが有る。だからオレだけでも堂々とした自信を示して、こんな佐竹の不安を払拭してやらねばならない。


「大丈夫だって。あれだけ苦労して特訓をやり遂げたんだし。

 振る舞いについては初代のオレが、アイドルとしての技量ならリトルキッスのプロデューサーとしてのオレが保証する。

 まあ、確かに佐竹の言う通り、多少の違和感ってのは有るかも知れないけど、誰もそこまでは気にしないって。

 それに期間が開けば多少のそれには誤魔化しが利くだろうしな。『士別れて三日なれば、(すなわ) (※1)、まさに刮目して相待つべし』 (※2)って言うだろ。それで十分に言い逃れが利くはずだ。

 それでもってんならこの期間で早乙女純が女性としての成長期を迎えたってことにすればいい。

 初めてのアレによる不調での休養ってことにすれば、まあ女性ならではのデリケートな事情ってことで世間もあえて追求 (※3)したりなんてできないだろうしな」


 一応これがオレの考えた言い訳だ。ひとつ目は振る舞いの違和感を人としての成長ってことで、ふたつ目は…まあ…その、この年齢代での女の子の事情ってやつだ。

 これらの理由を(かざ)せば、特にふたつ目の理由を出せば、世間も沈黙するはずだ。オレだってこう、説明するのに抵抗が有るんだ、こんな女性のデリケートな事情に触れて、セクハラ扱いされるのは誰だって御免なはずだろう。


「確かにそれを持ち出せば、あえてそのことに触れてこようって人はいないでしょうね。

 でも、よくこんなこと思いつくわね。正直、男の子のあなたからこんな案が出てくるなんて思わなかったわ」


「お、おい、なにもそんなに引かなくっていいだろ。

 ってか、オレだってこんな事情でなけりゃ、こんな恥ずかしい (※4)話なんて持ち出したくなんてなかったよっ」


 くそっ、佐竹のやつ、余計な指摘をしてくれやがって。女性としての羞じらい (※4)ってものが無いのかよっ。なんとも恥ずかしいやつだ。


          ▼


「じゅ、純ちゃ~んっ!」


 事務所へ着くと、美咲ちゃんが佐竹の胸へと飛び込んできた。

 そのさまはまるで香織ちゃんのオレに対するそれと錯覚させるレベル。

 どちらも一方がもう一方の胸元に頭部を(うず)める (※5)ってことでは同じなのだが、佐竹の胸に美咲ちゃんが顔を(うず)めるのは微笑ましいけど、香織ちゃんの場合は顔を(うず)めるのがオレのほうだからなぁ…。


「あれ? なんか純ちゃん、○っぱいおっきくなってない?」


 おい、美咲ちゃん、最初に言うことがそれかよっ。

 いや、確かに違和感は有るだろうけど、他にも言うことが有るだろ。

 因みにオレは他人に触らせたことは無い。美咲ちゃんといえど例外は無しにだ。

 って、当然だよな。そんなことをすれば、一発で正体がバレかねないんだし。ってか、普通そんなことさせねえよ。それじゃ痴女の類いだ。


「美咲ちゃん、とりあえずその、揉むのを止めてもらえない?

 生憎だけど、そういう趣味は無いから」


 ……どうやら揉んでいたらしい。

 いや、女の子がそれをやるもんなの?

 女の子がそれをやって楽しいの?


 というわけで佐竹に引っ()がされる美咲ちゃん。

 かと思えば、今度は自分の胸を揉み? そして再び佐竹のほう見たかと思えば、また自分の胸元に視線を戻す。


「お…、おっきい……。

 やっぱり純ちゃん、○っぱいが凄くおっきくなってる…」


 ……どうやら自分の胸とを比べていたらしい。

 いや、女の子とすればそれが気になるのは解るけど…。

 美咲ちゃんもやっぱり女の子だったんだな…。


 オレもつられてふたりの胸元に目を……。


「ちょっと、どこを見てんのよっ、このスケベっ!」


 ……やりかけて、非難を受けてしまった。

 佐竹だけでなく、美咲ちゃんも胸元を両手で隠し、オレのほうを厳しい目で睨んでくる。


「もうっ、純くんのえっち!

 もしかして純ちゃんと仲直りしたのって、純ちゃんの○っぱいがおっきくなったからなのっ⁈」


 てか、美咲ちゃんには似合わない、そんな凄い顔で非難をされた。


「人聞きの悪いこと言ってんじゃねえっ。

 抑々(そもそも)最初っから喧嘩なんてしてねえっての」


 当然オレは反論をしたのだが、残念ながら信用してもらえなかった。



 この日、美咲ちゃんの中で、オレは○っぱい大好き人間と認定された。

※1 以前にも説明した『すなわち』という言葉ですが、それらに使われている漢字と意味合いの違いについては、結構曖昧です。GoogleのとあるQ&Aのベストアンサーによると次のようでした。

【乃ち】そこで・かくて・はじめて・かえって・やむなく・あるいは

【則ち】条件を受ける。「レバソク」(~すればそく~)

【即ち・便ち】すぐに・たやすく・とりもなおさず

 なお『即する』『則する』で調べたところ

【即する】現実の事態に合わせる

【則する】基準にして従う

とのことでした。つまり、『即する』は『理論やたてまえといったものにとらわれることなく、その時々の事態にぴったり適合・適応させる』という意味で、『則する』は、ある事柄を基準としてそれに従うという意味、『理論・規則・手本といったものをよりどころとして何かをする』というとのことでした。

『臨機応変』で『柔軟』な『即』と、『基本重視』で『堅実』な『則』って、意味合いの方向性が逆なんですね。

 これって『すなわち』にも適用されるんでしょうか。少なくとも『士別れて~』の故事のすなわちは『則』よりも『即』が相応しいのは間違いの無いところですが…。


※2『士別れて三日なれば、すなわち、まさに刮目して相待つべし』とは中国の十八史略からの出典で呉の呂蒙についての有名な故事です。『男子三日会わざれば刮目して見よ』ともいわれますが、『士別れて~』のほうが正しいのだそうです。

 意味合いは『人間とは長らく離れていれば再開の時には驚くほどに成長しているものだ』ってところです。なお、当時の呂蒙は、まあそれなりに若かったため、『3日も有れば』なんて格好をつけたことを言ってたのかも知れません。つまり若気の至りも有ったのでしょうね。

 因みにこの故事とセットで『呉下の阿蒙(あもう)(あら)ず』なんてものが有るのもまた有名です。『呉(という土地)にいた頃のガキ(阿がこれにあたる)のオレのままだと思うなよ』と意気がった台詞ですね。

 実際、この呂蒙は呉(という国)ではかなりの名将となりました。

 ……と、偉そうに説明しましたが、恐らく三国志ファンの方々のほうがより正確で詳しいことと思います。

 因みに作者は登場人物についてはあまり詳しくはありません。馬忠のように同名で複数の人物がいたり、周倉や関索のような架空の人物がいたりとなると、もう手に負えません。それを考えるとファンの人達って凄いですよね。


※3 一般に『理想・利益などを追う』という意では『追求』、『学問・真理などを追う』という意では『追究』、『悪事・犯人などを追う』という意では『追及』と書き分けるようです。『追求』は最も意味が広く、『追究』『追及』の代わりに使われることもあるようです。[Google 参考]

 そんな理由で無難に『追求』を使っております。


※4 常用漢字表には『羞』に『羞じらう』という読み方が無いため、一般的にはどちらも『恥』を使います。但し『羞じらう』が本字だそうです。

 両者の違いを説明すると、『恥』はかくもの『羞』は感じるものって感じのようです。

 因みに『辱』は与えるもの? いや、それは鬼ですよね。


※5『埋める』は『うめる』と『うずめる』の二種類の読み方が有りますが、『うめる』と読むのが一般的で、『うずめる』のほうは常用漢字表には無い読み方のようです。

 なお『うめる』と『うずめる』の違いはその念の入れ方ようで『うめる』は『意図的に隠す』、『うずめる』は『結果的に隠れる』ってイメージのようです。…まあ、必ずってわけでは無いと思いますが。

 そんな理由で、作者としては『うずめる』とは『埋めて済ませる』で『埋済める』だったのかも?なんて思ったりもしております。まあ、多分違うとは思いますが…。

『埋める』と言えばGoogleにこんなネタが有りました。『骨を埋める』というものです。

『うずめる』と読めばその地への帰化

『うめる』と読めば殺人事件の隠蔽?

 指摘されてみればその通り。でもシャレになってないですよね。黒過ぎます。


※この後書き等にある蘊蓄は、あくまでも作者の(にわか)な知識と私見によるものであり、必ずしも正しいものであるとは限りません。ご注意ください。

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