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早乙女純の失踪

 例の※印、そろそろ控えるつもりだったのですが、やっぱりやってしまいました。

 当初は後書きに困って始め、その後はネタの一環として続けてきたつもりだったのですが、実際のところはただの作者の悪癖だったようです。

 つまり中二病を拗らせてたのは主人公の純ではなく作者のほうだったというわけで……。

 え? 解ってた? 

 ま、まあ、一応はこれもこの作品や作者の個性ってことで…。(汗)

「じゅ、純くんバカーーーっ!」


 月曜日の通学時、いきなり美咲ちゃんの罵倒をうけた。


「ちょっと美咲ちゃん⁈ どうしたのよ?

 てか純、アンタ美咲ちゃんになにしたのよっ!」


 そして由希に問い詰められた。


「があーぁっ! 痛いっ! 割れるっ!

 ギブっ! ギブっ!」


 当然のように、いつものアイアンクロー付きで。


「ギブじゃないっ! さあっ、美咲ちゃんになにをしたか、洗いざらい白状なさいっ!」


 てか、今日はいつも以上に容赦が無い。

 本来なら、この辺で解放されているはずなのに。


「し、知らないって、全然身に覚えがねえってっ……たた、痛いっ、痛いってば!」


 再び由希の掌に力が入り、当然オレは悲鳴を上げた。


「嘘だよっ! だって純くんのせいでっ…。

 純ちゃんが…、純ちゃんが……。

 純ちゃんがいなくなっちゃったんだよーっ!」


 そう、現在わけあって早乙女純は休業中。

 その理由については個人的都合としてしか説明されてない。

 でも、だからって…。


「なんでそうなるんだよ、酷い言い掛かりだ……って、痛いっ、痛い、痛いってばっ!」


 オレは美咲ちゃんに抗議しようとして、またしても締め上げられた。

 って、いや、本気でヤバい、砕けるっ、マジ砕けるっ!


 オレは必死で抵抗するべく力の限り暴れてみたのだが……。


 よ、(ようや)く解放されたか。

 くそっ、最近よりいっそう脱出不可能になってきてる。

 いや、単に片手で吊り下げられてるだけなんだけど……、悔しいことにそれだけで手足がどこにも届かないんだからどうしようもない。昔はこんなのはあのくそでかい兄貴だけだったのに…。

 今の由希の身長は恐らく170㎝を超えている。下手をすれば180㎝はあるかも知れない。それにたいして、オレは漸く156.2㎝。20㎝近くの差があるのだ。くそっ、このでか女め。


「失礼ね、173㎝よ。つまりアタシが大きいんじゃなくって、アンタが単に小さいだけ」


 いや、十分に大きいだろ。それは女性じゃなくって男性の一般的身長だって。


「それってブーメランよね」

「うん、女子の私達より小さいもんね」


 ツッコミを入れてくれた朝日奈と向日(ひゆうが)。恐らくこいつらも160㎝はありそうだ。

 って天堂っ、憐れみの目で見てんじゃねえっ。

 そんな天堂の身長は……なに、こいつそろそろ190㎝に届くんじゃねえの? くそっ、嫌味な奴だ。


「そんなことより、純ちゃんがいなくなったってどういうこと?」


 こんな無駄話を続けるよりはと、由希が話を本題へと戻した。


「それが……よく解らないの。

 でも、一昨日に会った時、なんか様子が可怪しくて、それで昨日、姿も見せずに突然休養するって…」


 いや、そりゃあな。なんてったって、なり代わりたてほやほやの佐竹だ、ボロを出して気付かれる可能性がまだ高い。そんな理由での急遽の休養宣言だ。

 …でも、さすがにいきなりってのは不味かったか…。


「いや、でもさすがにいなくなったってのは大袈裟なんじゃないかな。一応は事務所には連絡を入れているんだし。

 それになによりも、純ちゃんは物事を途中で投げ出すような子じゃないだろ。だからきっと大丈夫だよ」


 ああ、天堂の言う通りだ。早乙女純は必ず戻ってくる。今はまだ、その準備が整ってないだけだ。


「ああ、その通り。あくまでも休養だからな。それが終われば戻ってくるって。

 その証拠にリトルキッスの解散だとか、そんなことは言ってきてないだろ?」


 オレも天堂に同意する。これでも一応はプロデューサーだからな、その分だけ説得力は有るはずだ。


 と、そんなわけで、一応は美咲ちゃんにもなんとか納得をしてもらえた。

 やれやれだ、全く。


          ▼


「じゅ、純くんバカーーーっ!」


 翌月曜日の放課後、またしても美咲ちゃんの罵倒をうけた。


「ちょっとどうしたんだよ、美咲ちゃん」


 今度はいったいなんだってんだ。


「だ、だって純ちゃんのお休みの理由って、やっぱり純くんのせいじゃないっ!」


「はあっ⁈」


 思わず間抜けな声を出してしまった。

 いや、だってそんな風に言われる覚えというか、心当たりなんてものは無いのだ、なので当然というものだろう。


「どういうことだよ、美咲ちゃんっ⁈」


 なので、聞き返すことにした。少し語調が強くなってしまった自覚が有るが、まあこんな風にいわれの無いことで責められたんだから、そこはお互いさまってところだろう。


「だって純ちゃんの休みの原因って、純くんが佐竹さんを指して『本物以上に本物』って言ったことにショックを受けたからだって噂だよっ!」


 あ。…なるほど、そういうことだったわけか。


「それはあくまでも噂だろ。だいたいあいつがこんなことで落ち込むような玉 (※1)か?

 怒って文句をつけてくるってんならともかく、そんな風になるなんてことはまず無いって」


 全く、誰だよこんな噂を流した奴は。


「あ、それなら私も聞いたことがある。

 てか、私の聞いた噂では、胸のことで馬鹿にされたことで江南(カンナム)だかどこだかにまで豊胸手術を受けに行ったとかなんとか」


「ぶふおぉぅっ! げぅっふっ! げっふぉ! げふ! …んなっふぉ、…なんだよっふ、…その…変な…噂はっ」


 あ、あんまり変なことを言うもんだから、吹き出しただけでなく、唾を喉 (※2)に詰まらせてしまったじゃないか。


 この噂の説明の主はやはり斑目……ではなくて朝日奈だった。こいつってこんなことに興味が有ったのか?

 …う~ん、そんなことをしなくてもそれなりに十分なモノを持ってると思うんだけどどうなんだろうな。やっぱり女性としてはそれでも物足りないなんて思うものなのだろうか?

 男のオレにはその辺はどうにも解らないな。


「そんな風に動揺しながらも、陽子の胸元をじろじろと見てるし。やっぱり男鹿くんも男だったってことなのね。あ~ヤダヤダ。このむっつりスケベ」


 ぐ、不覚。まさかこんな指摘を受けようとは。

 だが、断じてそんな疚しいことを考えてたわけじゃない。単に女性の自己への価値観ってか満足感みたいなことに興味…否、疑問を抱いただけなんだ。


「もうっ! やっぱり純くんってばそうなんじゃないっ!

 純ちゃんよりも、胸の大きな佐竹さんのほうが好いってことなんだねっ!

 純くんの馬鹿っ! 裏切り者っ!

 もう、絶交だよっ!

 うわーーーんっ!」


 泣き出しながらこの場を去って行った美咲ちゃん。

 しかも絶交宣言って……。


 えっ? 嘘? マジで?


「あ~、これは男鹿純改め馬鹿純だな」

「それにはアタシも同意だわ」

「これだから男って」

「ね~っ」

「………………」


 河合のツッコミに珍しく由希が賛同する。

 そしてそれに続く朝日奈と向日(ひゆうが)

 なお、天堂は沈黙を貫いたままで全くフォローの風が吹かない。


「ご愁傷さま」


 ただ、佐竹がオレの肩を叩いただけだった。

※1 ここの『玉』とは『人物の性質』のことをいいます。よく使われる例としては『善玉』『悪玉』『上玉』『替え玉』などが挙げられます。


※2 この『喉』ですが、『のど』には『咽』と『喉』の漢字が有ります。

 でGoogleで調べたところ次のような感じでした。


・鼻腔:前鼻孔(鼻の穴)から、10cm位後ろにある後鼻孔(鼻の後ろの穴)までのいわゆる鼻の中。

・鼻咽腔:後鼻孔の後方にある、鼻とノドの境の部分です。

・咽頭:扁桃腺とその周りを指し、一般にノドと言われる部分で、空気の通り道であると同時に食べ物の通り道でもあります。

・喉頭:ノドの下の方に位置し、声を出すための声帯という部分を含み、気管の入口にあたります。

・気管から先は下気道と言われ肺に繋がっています。


 よく解らなかったので、それっぽいところを抜粋してみました。恐らく『咽』は『咽頭』で『喉』は『喉頭』のことかと思われます。間違ってたらごめんなさい。

 今回の場合だと、唾液が気管に入り込んで()せるということで『喉』としてみました。


※この後書き等にある蘊蓄は、あくまでも作者の(にわか)な知識と私見によるものであり、必ずしも正しいものであるとは限りません。ご注意ください。

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