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文章の書き方って知ってる?

 読者の皆様、このあたりにて、作中の漢字というか、無駄な当て字を減らしていきます。

 理由については作中にて。要は語り手の純にあわせてってことで。

 こんな読者の反感を買うようなネタに長らく付き合ってくださった皆様に感謝いたします。

 あ、念のため、別にこの作品の終わりが近いとかではありません。悪しからず。

 オレは悶絶した。

 オレの自尊心が崩壊した。


 いや、なんとなく解っていたさ。こんなのオレの自己満足に過ぎないのだと。

 だが、だが、しかし…。


「「しかし…」じゃないでしょ。

 全く、なんなのよ。これが他人に読ませる物だっていうの?」


 これは佐竹によるオレへのツッコミ。

 否、正しくは駄目出し。

 …って、おいっ!

 これが他人にものを教わる人間の態度かよっ!


「それ以前の問題よっ!

 だいたい何よっ、こんな物が参考資料だなんて巫山戯(ふざけ)てるとしか思えないでしょっ!

 文章ってのは、やたらと無駄に漢字を使えばいいってものじゃあないのよ。

 だいたいの漢字とひらがなの割合ってのは、漢字が3、ひらがなが7。時には読みやすくするために、漢字を開くってことも大事なのよ。

 なのにこんなに漢字だらけ。

 誤字に脱字に無駄な当て字。しかも創作の物まで混ざってるし。

 変に難しい非常用漢字とか、小難しい熟語や言い回しまで使って、しかもそれで間違えてるなんて、そんなくらいなら普通の文字や言葉を使えばすむ話でしょ。

 しかも途中からは変な注釈まで入れて、どれだけあなたって痛いのよっ⁈

 況してやそれが正しいものならともかく、怪しいものがごろごろしているし、もう滑稽過ぎて笑いも出てこないわよっ!」


 というわけだ。つまりオレは中二病の烙印を()されることに……。


「だから、意味も解らずに難しい漢字を使っちゃダメって言ってるでしょ。

 今のだって捺すじゃなくって、素直に押すでいいのっ。

 そもそも『印を捺す』、つまり『捺印(なついん)』ってのは、『書類に自分で手書きで名前を書いて、それに印鑑を押す』っていう『署名捺印』のことであって、『何でもいいから判子を押す』って行為のことじゃないのよ」


 因みに『押印(おういん)』とは『記名押印』の略で『記名』とは『自筆以外で名前を記す』ことで、印刷されたものでもこれに当たる。で、これに印を押すのが『記名押印』ってわけである。つまり『自筆以外の手段で自分の名前が記された書類に印章を押す』って行為だ。また『名前が記載されていない書類に印章を押す』のもこれに当たる。

 なお『記名押印』よりも『署名捺印』のほうがフォーマルで証拠価値が高い。


「だからっ、その無駄に中途半端な知識を(ひけ)らかすのをやめなさいって言ってるのっ!」


「なんでだよっ、これはオレの個性(アイデンティティ)で、オレの重要なキャラづけなんだよっ!」


 黙って聞いてりゃ好き勝手の言いたい放題、まるで由希がふたりに増えたかのようだ。きっと由希から暴力を取ったらこんな感じだな。

 くそっ、しかし意外だったぜ。まさかこいつがこんなキャラだったなんて、てっきり冷淡なクールキャラとばかり思ってたのに。


「ほら、今度は二重表現になってる。

 そういうインテリキャラを演じたいんだったら、もう少しいろいろと勉強したほうがいいわよ。じゃないとボロを出して恥をかくだけなんだから」


 ぐはっ! ま、まさか…、このオレがこんな…、こんなことを言われる羽目になろうとは…。


「ねえ、もしかしたら、私もこんな中二病キャラを演じなきゃダメなわけ?」


「だ、誰が中二病だよっ」


 く、こいつ、毒が強過ぎだろ。もう、こっちだけなら本家のオレを遥かに超越しているぞ…。


「まあ、TVとかの露出が少なかったお陰かしら。あまりそういうイメージが無くって幸いだったわ」


 解った上で言ってたんだな。

 くそっ、こいつ苦手だ。


「でも、まあ、なんとか理解はできたわ。

 だけど問題は、解ったからと言ってみても、それが即実際にできるとは限らないってことよね。

 ってよりも、一部についてはまず絶対に無理。

 あくまでも私は普通の女子高生なんだから、あんな派手なアクションだとかはできないし、他の運動についてもほぼ同様。男の子の男鹿くんみたいにはいかないわ。

 歌や振付けにしたって、すぐにものにするなんてとてもじゃないけどできないわ」


 ふ、なるほど。


「悪いけど、そっちのほうはそれでもなんとかしてもらうぞ。

 まあ、中学生であるフェアリーテイルのふたりにだってできたんだ、高校生の佐竹にできないなんてことはないよなあ~」


 悪いが佐竹、弱みを見せたからにはそこを攻めさせてもらうぞ。今度はオレのターンだ。


「ちょ、ちょっと、男鹿…くん?」


 今さら怯えたって無駄だ。


「それに男のオレにだって勤まったんだ、それを本物の女性である佐竹がやって、男のオレ以下なんてこと、当然あるわけないもんなあ~。期待してるぞ、佐竹~ぇ」


「う…嘘ぉ…、ちょ…、嫌ぁ~っ!」



 この後、カラオケで晩までの厳しいレッスンが行われた。

 もちろんオレの主導で。




「く…ぅ、男鹿くんの人でなし…」



 ふ、今日のところはこれまでだ。

 ぐすんなんて鼻声が聞こえるが気のせいだ。


 あ~、スッキリした。

※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字がまだ混ざっております。

 また、作中にある蘊蓄は、あくまでも作者の(にわか)な知識と私見によるものであり、必ずしも正しいものであるとは限りません。ご注意ください。

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