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今回は無理遣りな話です

 サブタイトルの通りで今回は無理遣りな話です。普通はこんな風にはまずなりません。

 飽くまで作者のご都合主義で今回の話は進みます。創作物なんでそこは非現実的とかってツッコミは勘弁してください。

 11月のとある日曜日、オレは野球部の練習試合に参加していた。12月1日から翌年3月7日までは対外試合禁止期間と高校野球規定で定められているらしいので、今年最後の練習試合である。

 試合相手は県外の学校で、まさかの春日山高校。今年の甲子園大会の新潟県代表だ。

 実はこの試合の話はうちの学校からの申し込みらしい。なんでも甲子園出場校のうち、うちの部でも勝てそうな相手勝てそうな相手ってことで選んだらしい。もちろん相手にはそんな選考理由だなんて伝えてるわけはないだろうけど……。こんな失礼な話、バレたら絶対大変なことになりそうだ。

 それにしてもよく了承してくれたものだな。しかも態々(わざわざ)の遠征してくるなんて、いったいどう謂う理由が有ってなんだか。全く不思議な話である。

 これがまだしも近隣の県の学校ってんなら、話も理解できるのだが…。

 まあともかく、そんなわけで試合が決まったわけである。


 

 さて今日の試合、対戦相手である春日山高校のメンバーだが…。


 1番 一塁手 前田一義(2年)

 2番 二塁手 日馬(くさま)良征(1年)

 3番 三塁手 大桃実行(1年)

 4番 遊撃手 樋口秀世(2年)

 5番 右翼手 五十山田(いかいだ)太郎(2年)

 6番 中堅手 本間勘助(1年)

 7番 左翼手 (いちじく)(はじめ)(2年)

 8番 捕手 両津長久(2年)

 9番 投手 吉良良知(1年)

 補欠 宝剣(ほうけん)玲央(れお)(1年)、弓納持(ゆみなもち)瞭(1年)、味方(あじかた)陽一(1年)

 マネジャー 宇佐美直江(1年)


 果然(やは)り三年生の引退に伴ないレギュラーも大きく変わったようだ。それにしても、その殆どが一年生か…。

 あれ? 投手・吉良(1年)って…、投手は直江じゃなかったのか?

 いや、(さすが)にいつまでも隠し通せるわけでもないってんで、レギュラー交替を機に引退したってことかもしれないな。大体、甲子園のあれだって随分と無理が有ったみたいだし、考えるまでも無く当然か。

 でも、結局アレってなんのためだったんだろうな?

 今となっては謎のままか。

 少しだけど直江との再会を楽しみにしてただけに残念――と謂っても、会ったことが有るのは早乙女純としてなので、男鹿純としての面識は無いのだが……。


 ええぇっ⁉


「? どうしたの純くん?」


 オレの突如の驚愕の態度に、香織ちゃんが不審そうに問い掛けてきた。

 今日の香織ちゃんは臨時マネジャーだ。

 と()っても、殆どオレ専属みたいな感じでそれを隠す素振(そぶ)りも無いのは、まあ最早お約束って感じである。うちの学校じゃお馴染み過ぎて、今じゃ指摘されることも無い程だ。まあ、その分妬まれ睨まれることになるのだが…。

 但しそれはうちの学校限定なわけで、当然他校、つまり春日山高校の奴らからは、それ以上の敵視を受けることになる。

 まあ、口に出さないのは同じなので無視すれば良い話なのだが、依然(やは)り視線は痛いのだ。


「いや、春日山高校って女子マネジャーが()たんだなって思ってさ」


 その視線を無視して香織ちゃんの質問に答えたのだが、よく考えたら余計失敗だった。今度はこの女子マネジャーのことで敵意(ヘイト)を上乗せすることになったわけだから。


「へぇ〜、純くんって、ああ謂う子が好みだってんだ」


 しかも香織ちゃんの嫉妬付きだ。

 だが、もちろん香織ちゃんの()うような下心が有ってってわけじゃないので否定する。

 でも、あの子ってどこかで見たことが有るような気がするんだよなぁ…。


          ▼


 練習試合を組んだからと謂って、招待校が着いたから早速試合をなんてことになるわけではない。当然ながら準備運動(ウォーミングアップ)程度の慣らし練習をするくらいの時間は取る。

 それにしても、夏とは結構メンバーが替わっており、しかもその多くが一年生って割には、結構動きは良いようだ。

 これって試合をするまでも無いくらいに、うちに勝ち目なんて無いんじゃない?

 うちの部って、お世辞にもレベルが高いって()えないからなぁ…。



 準備練習(アップ)も終わったところでグランドに整列。両校の挨拶が終われば愈々(いよいよ)試合開始だ。


 実はこの試合、オレにとっては初の対外試合である。つまりデビュー戦ってわけだな。

 でも、こうして主戦投手(エース)扱いされてるけど、オレってまだ仮部員のはずなんだけどな。

 部としてはオレを秋季大会に出したかったみたいだけど、(さすが)にそれはいろいろと無理なんで断わってきていた。

 ただ今回は別。相手があの甲子園出場校の春日山高校だってんだから、ここは喜んでやらせてもらうことにした。まあもちろんそれは内心の話で、表面上は気乗りしないって振りはしてるのだが。

 いや、だってこんな機会って草々有りはしないだろうからさ。だったら当然やるだろう?

 そりゃあ正式に部員になって、本気で甲子園を目指すってんなら、こう謂う機会も無いわけじゃないだろうけど、生憎そこまでするつもりは無いからな。他にするべきことが有るわけだし。なので今回が最初で最後になるわけだ。


 そんなわけで、オレはマウンドへと登る。

 さあ、その胸を借りるとしようか。

※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。ご注意下さい。

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