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学園祭初日 -笑傲後顧-

 今回のサブタイトルの意味合いは『終わったことを笑い飛ばす』といった意味合いのつもりです。

 ネタバレになりますが『後悔させて嘲笑ってやる』って意味合いになっていれば意図通りなのですがどうなんでしょうね?

 パロディってのも難しいです。


*追記 [2023/08/12]

 このサブタイトルの元ネタは『笑傲江湖』という中国の『金庸』という人物の作品。某ガン○ムの登場人物の東○不敗はここからの出典なんだとか。

 なお、この人物はガン○ムと違い、男ではありません。(笑)

 アイドル同好会主催に依る催し事(イベント)も、前半の人気投票(ミスコン)が終わり愈々(いよいよ)本番とも謂える、アイドルのショーへと移行した。

 司会は先程男性部門優勝者(ミスター)となった天堂が引き続き行なう。

 否、ここから『御堂(れい)』と呼ぶべきか。

 斑目に依ると先程の人気投票(ミスコン)までが生徒会主催で、生徒会から天堂個人への依頼だが、これから始まるショーの方は、アイドル同好会主催で芸能事務所に依頼しているとのこと。つまり公式の依頼なのでここからは『御堂玲』となるわけだ。

 う〜む、紛らわしい。オレは両者の協働開催とばかり思っていた。だから今までそのように説明してきたってのに…。

 そして司会者がもうひとり。

 こちらは女性で、果然(やは)り先程の女性部門優勝者(ミス)である香織ちゃん。彼女は今日の舞台(ステージ)の主演アイドルでもある。ここは彼女も『加藤香織』とフルネームで呼ぶべきなのだろうか。香織ちゃんって芸名も本名なんだよなぁ。


 さて、この度のショーの内容だが、基本は歌と会話(トーク)である。

 と()ってもなぁ…。御堂玲も曲を出してはいるのだが、残念ながらその売れ具合は芳しくなく、とてもではないが歌手を名乗るのが痴構(おこがま)しいと思える程。結局は曲を数曲出した程度で、撤退する羽目になっている。完璧イメージの御堂玲の意外な黒歴史と謂われている。

 そんな理由なので御堂は司会専門だろう。


 で、主役の香織ちゃんなのだが、如何に彼女であろうとも、(さすが)にひとりでってのは荷が重いと思う。かと謂って学校や生徒会、増してやアイドル同好会に豊潤な予算が有るとは思えない。

 まあ、そこのところはコネを頼るってことだろう。

 特別(スペシャル)ゲストとして我が校の卒業生であり、元生徒会長でもある伊藤瑠花(るか)先輩を()んでるところなんてその表れで、断わることになったけど、リトルキッスへの主演依頼が有ったのも美咲ちゃんを通じたコネだったわけだし。在校生の香織ちゃんや御堂玲も当然コネで間違い無いだろう。


 そんな限られた予算のはずなのに何故か()る男性五人組。彼らはどこのアイドルだろう?

 香織ちゃんの事務所(ところ)のグループか?

 それとも他所にも我が校縁のアイドルが?


「なに言ってるのよ。彼らは美咲ちゃんや天堂くんと同じ星プロ所属のアイドルじゃない。

 そりゃあ『サンダーバード』は新人だけど、ふたりからはそう謂うのって聞いたりしないの?」


 はあ⁈ あいつら星プロ(うち)のアイドルなの?

 レナとミナのふたりとも顔を見合わせ確認したけど、ふたりもオレと同じで、彼らについては全く知らないようだ。

 いや、レナ達からすれば、オレが知らない奴らを自分達が知るわけが無いとのこと。まあ確かにそうだよな。でも、それならなんで斑目があいつらを知ってるんだ?


「そりゃあ、彼らを観るのが私の目的だったんだもの、知ってるに決まっているじゃない。

 それにメンバーのひとり『羽鳥翔』はF組の子なんだけど、もしかして気づいてなかったの?」


 ……マジか? 全く気づいていなかった。

 それにそんな話、聖さんからは全く聞いていないし…。


 斑目の()った通りなのだろう『サンダーバード』のレベルは低い。歌もダンスもお粗末だ。これならまだレナ達の方がまだマシってものである。


「そりゃあ、この夏デビューしたばかりだからね。

 その分、他の人達には知られてないし、狙い目ってところかな」


 なるほどそう謂う理由だったのか。それなら安く雇えそうだ。否、『サンダーバード』の方から出演を頼み込んだってことも考えられる。場合によると無報酬(ノーギャラ)ってことも()り得るな。


 ……これなら、レナ達フェアリーテイルの飛び入り(サプライズ)出演も可能なんじゃないだろうか。

 ()し、交渉して()るか。


          ▼


「突然どうもすみません。オレ、『JUN』って者なんですけど不躾ながらお願いが有って参りました。

 実はこいつらの飛び入り出演を頼みたいんですがお願いできませんか?

 一応それなりに知名度も有るはずなんで、迷惑にはならないと思うんですが」


 早速レナ達ふたりを連れて舞台裏に(おもむ)いた (※1)オレはサンダーバードのマネジャーに掛け合って()た。


「ちょっと君達、なにか勘違いしてるみたいだけど、これは芸能事務所が依頼を受けたちゃんとしたプロの仕事なんだ。

 幾ら学校で人気が有るかは知らないけど、所詮は素人のアマチュアである君達なんかが出る幕じゃないんだよ。

 だから出るんならアマチュアらしく、そう謂う相応しい場所でやってくれないかな」


 確か斑目の話では、サンダーバードってのは星プロ(うち)の所属だって()ってたはずなんだが。


「はあ⁈ ちょっと、あんたっ! この人が誰だか解ってそんなこと言ってんの!」

「そうよっ! それに『サンダーバード』なんて私達、今日初めて聞いたわよ。

 そんな程度で私達のことをアマチュア扱いなんて、私達のことを余りに馬鹿にしてるわっ!」


 彼の返答にレナとミナのふたりが激昂する。

 まあ、そうだろうな。こいつらもデビュー前は似たようなものだったけど、今じゃそれなりに実績も積んで知名度も上がってきたところだもんな。

 無駄にプライドの高いこいつらだけに、この扱いは許し難いってことだろう。


「話は聞かせてもらったわ。

 だから運営委員会のひとりとして言わせてもらうけど、ここはあなた達のようなどこの馬の骨とも解らない素人が出てきて可い催し場(場所)じゃないの。

 だから彼が()ったように別の相応しい場所でやってちょうだい」


 そして横から現れた運営委員とか()う女のこの台詞。最早交渉は決裂確定だな。

 ならばここは、こいつらには今の言葉に責任を持ってもらうことにしよう。


「そうですか。解かりました。

 それじゃ仕方が無いんで、そのようにさせてもらいますけど可いですよね」


 オレの言葉にその思惑を察したであろうレナ達は、どうやらその矛先を納めることにしたようだ。

 てか、解かったんなら顔に出すなよふたりとも。


「それじゃ、許しは貰えたと謂うことでオレ達はそのようにさせてもらうんで、あとで文句を()わないでくださいよ」


 言質を()ったとばかりにその場を後にするオレ達。


 ふっ、()てやがれ。絶対に後悔させてやる。

 ああ、その泣きっ面を()るのが今から非常に愉しみだ。

※1 ここでは『おもむく』を『行動を起こす』という意味合いで使用していますが『おもむく』という字には次のような意味合いが有るようです。

【趣く】考えが浮かぶ。感じる。

『趣』は『思いの向き』という意味合い?

【赴く】目的地に向かう。

『赴』には『げる』という読み方が有ります。

おもむく】急いで行く。物事が早く動く?

『趨』には『はしる』『はやい』『うながす』という読み方が有ります。

おもむく】悪意を持つ?

『趁』には『つけ込む』『乗じる』『利用する』という意味合いが有ります。

[Google 参考]


※作中のルビには、一般的でない、作者流の当て字が混ざっております。ご注意下さい。

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