表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/420

学園祭準備 -出し物を決めよう-

→文化祭を学園祭に変更しました。[2023/08/10]

 体育祭が終わったばかりの10月半ば。しかし今月末の土日には今度は学園祭が待っていたりする。なんとも(せわ)しない話ではあるが、……本当なんでなんだろうな。その一週間前には中間試験まで有るし、まさか生徒に忙殺体験をさせるのが目的ってんじゃないだろうな。熟々(つくづく)生徒会に関わらなくって良かったと思う。


 で、現在オレはと()うと、ホームルームで出店(出し物)についての話し合い中。

 学園ものの読み物なんかでお馴染みのように、果然(やは)りお化け屋敷や食べ物関係の模擬店ってのが有力候補(お約束)で、特に喫茶店なんかは大人気。もちろん給仕(ウェイター)はメイドや執事風だったり、その他の仮装(コスプレ)をしていたりと趣味全開。内容だって「本当は夜の店だろ」って思わずツッコミたくなるような……って(さすが)にそれは無いけれど、それでもお触りとかが無いだけで客に媚を売る様式(タイプ)なのは間違い無いだろう。受け応えの「はい、喜んで」も「はい、宜媚んで」って当て字を使いたくなるような『適宜に媚びる』が『接客方針(モットー)』ってことになりそうだ。


「気持ちは解らないでもないけど、お前ら本当にそれで好いのか?」


 オレの意見は彼ら大勢に反する少数派(マイノリティ)と謂うよりもほぼオレひとり。こりゃあ異端派ってのが正しそうだ。


「それってどう謂う意味だよ?

 内のクラスって美咲ちゃん、つまりアイドルの『花房咲』を筆頭に結構美少女が揃ってんだぞ。それなのにやらないなんて、そんなもったいないことできる理由無いだろう」

「そうよ、それに男子には天堂くん、『御堂(れい)』だって()るのよ。誰だって羨ましがるこの状況を否定するなんて有り得ないでしょ!」

「男鹿だって一応はリトキスの親衛隊なんだから、それくらいは解かると思ってたんだけど」


 珍しく河合の意見と朝日奈達の意見が一致する。

 まあ、お互いの利害が一致してんだから協調するのも当然か。


「お前ら本当に解ってないんだな。

 お前らが謂ってるのって、例えるなら『将来(大きくなったら)ケーキ屋さんになりたい』って幼い(ちいさな)子供が憧れ(言っ)てるのと同じなんだよ。

 この場合、『作るのが好き』ってんなら問題無いけど、大抵の場合は『食べるのが好き』だからな。その場合って『ケーキ屋さん』じゃなくって『お客さん』になるのが正解じゃねえの?

 で、今のお前らの場合だけど、果たしてどちらに該当するんだろうな?」


 ははっ、思った通りだ。河合を筆頭にかなりの奴らが動揺してやがる。

 と謂っても、まだ一部例外が()るみたいだな。

 じゃあ、ここでもう一推し。


「もし仮に『ケーキ屋さんになりたい』だったとしても、『同僚と仲好く一緒』に仕事できる時間が、果たしてどれだけ有るだろうな?

 どう考えても同僚よりも『客に接してる』時間の方が長いし多いんじゃないか?

 対して客は同僚と仲好く、否、仲睦まじくやってるわけだ。自分が我慢してる目の前で、恐らくは一日中そんなの見せ付けられることになるわけだな」


 おお⁈ 今度は先程の例外達、こっちは朝日奈達だけど、かなりの有効打だったみたいだな。


 ……まあ、それでも我知らずって奴は()る。これも先程の例外で、少数派(マイノリティ)だった奴らだ。

 でもこいつらは仕方が無いだろうな。最初っから関わる気の無い奴らだから。


「ふ〜ん。じゃあ純はどうしたいって謂うのよ。

 これだけ他人を引っ掻き回しておいて、後のことは知りませんなんて無責任なこと、まさか言い出さないわよねえ」


 うん、まあ由希のこの台詞だが、一応は想定内である。こいつ、筋の曲ったことを殊の外、毛嫌いするからな。


「そうだな……。雑貨市(バザー)(あた)りで()いんじゃないか?

 それぞれが余り物を用意するだけで手は余り掛からないし、店番も数人が交代ですれば済みそうだし、結構面倒が無くって好さそうだと思うんだけど」


 オレの意見は圧倒的多数の支持に依り可決することとなった。先程までの喫茶店の案を翻してだ。

 つまり、結局は『ケーキは作るよりも食べる物』ってことだろう。

 自分達の出し物は程々に、他所の出し物を愉しむことに決めたってわけだ。

 自分から(けしか)けといてなんだけど、こうも浅然(あっさ)りいくと、なんだかなぁ…。余りにも自分の欲望に忠実過ぎだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ