リトルキッスと初めてのテレビ出演
初めてのテレビ出演は、朝の生放送だった。
収録開始は6時45分。
だがその前には打ち合わせがあり、さらにその前に、やっぱり事務所での打ち合わせ。はっきりいって眠い。
そして、収録場所は屋外。4月前とはいえやはり寒い。
13歳の若者だって、眠いものは眠いし、寒いものは寒いのだ。
しかし、美咲ちゃんは元気だ。
前からずっと楽しみにしていて、昨晩も興奮してあまり寝ていないんだとか。
それにしても、このスーパーハイテンション。
アドレナリンパワー恐るべし…。
「おはようございます」
カメラに向かってにっこり笑う。
美少女の笑顔は天下無敵だ。これだけで、かなりの視聴率が稼げるらしい。
そしてカメラが切り替わる。
急いでスタジオに移動だ。
ようやく寒さから開放される。
中に入ると再び簡単な打ち合わせ等を行なう。思った以上に忙しい。
なお、“等” についてだが、敢えて言うのは止しておこう。一応は、アイドルで、しかも女性だ。そこは理解しておいてほしい。
そして、7時40分のエンタメコーナー。
ここでオレ達のことが取り上げられる。
「今日は、キャンディのCMで今話題の、リトルキッスのお二人が、スタジオに参られております。
では、お二人の登場です。どうぞ」
さあ、ここからが本番だ。
オレ達は、司会者のもとへと向かう。
そこで、オレ達の紹介が始まった。
花房咲
年齢:13歳
誕生日:4月4日
血液型:A型
趣味:読書
好きなもの:かわいいもの
嫌いなもの:苦い食べ物
特技:歌、ダンス
早乙女純
年齢:13歳
誕生日:9月13日
血液型:O型
趣味:読書
好きなもの:スイーツ全般
嫌いなもの:軟弱な男
特技:特別なものは無し
以上が、オレ達のプロフィールだ。
「二人とも、趣味が同じ読書とのことですが、どのような物を?」
まぁ、無難な質問かな。
「え〜と、私は『進撃の虎』とか、『最強ペダル』とか、あとは、あっ、『名探偵小波ちゃん』を忘れてた!」
「全部漫画じゃねぇかよっ!」
思わずツッコんでしまった。
「ははっ、じゃあ、純ちゃんはどうかな」
「オ…私は『原宿狼』に『でくのぼうの砦』、漫画だと、最近咲ちゃんに貰った『エルフェイムの薔薇』ってとこかな」
あぶね〜、危うくオレって言うとこだった。
これ、生放送だし、編集で誤魔化すってわけにはいかねえからな。気をつけないと。
「うん、エル薔薇はやっぱり名作だよね」
美咲ちゃんが反応したのはやっぱり漫画。少しくらいは活字も読めっての。
「じゃあ、次の質問。
咲ちゃんの特技は歌とダンス。流石はアイドルってところですが、では、どんな歌が得意でしょうか?もしくは好きな曲は誰のどのような曲でしょうか?」
「う〜ん、練習じゃいろんな人の曲を歌ったけど、どれもみんな褒めてもらえたし、特に苦手はないってことになるのかな」
そうは言ってるが、英語の歌詞はまるっきりダメ。本人が言うには「知らない言葉は読めないんだから仕方がないじゃない」とのこと。要するに日本語限定なのである。
「あと、好きな曲は氷室清志郎さんの『全開突撃サバイバル』とか、加藤香織ちゃんの『ムーンライトロマンス』とかかな」
こちらはお約束の答でした。
前者は有名漫画『龍球記』の主題歌、後者は確か『月霊天使エンジェルムーン』だったかの主題歌だったと思う。
司会者さんも笑っている。
「じゃあ、今度は純ちゃん。
特技は “特別なものは無し” ってなっているけど、それでも何か有るんじゃないかな」
「でも、資格とか、なんだかのタイトルとかそういう周りに自慢出来るようなものってないんだ…ですよね」
「あ、いや、そんな大袈裟ものじゃなくていいんで何か思いつかないかな」
「そうだよ、純ちゃん。本当は私なんかよりも、ずっとすごいくせに!
純ちゃんってば、歌もダンスも私より上手で、新曲の練習の時だって、私と違って一発でクリアしたんですよ。
しかもこの曲は…」
「はい、そこまで。
この曲の情報につきましては当方の都合上開示出来ないこととなっております。
ってわけで秘密です」
「…………。あ、ええ、そろそろ時間のようなので、最後にテレビの皆さんに一言」
司会者さんが何か言いたそうな感じだったが、ここで時間切れのようだ。
「みなさんのおかげで、こうしてお目に掛かることが出来ました。ありがとうございます。
来月から本格的に活動を始めますので、応援よろしくお願いします」
こうしてオレ達初のテレビ出演は、無事終了したのだった。
今までも結構やってましたが、今回もどこかで聞いたような人物名や作品名等を、ネタとして使っております。ある程度改変したつもりですが、もし著作権上問題が有るようでしたら、ご連絡下さい。変更、削除等対応させて頂きます。




