スカウト
【私選有害図書指定】
当作品は読者に対し、知識、思想、嗜好などに於いて、悪影響を及ぼす可能性があります。ご注意下さい。なお、当方と致しましては、一切の責任を負いませんので、読者様方の自己責任にてお読み下さい。
人にはいろんな顔がある。
ここでいう顔とは、その人物の個性のことであり、
それは、性格だったり、
なんだかの特技だったり、
社会的な立場だったりで、
一般的にはその人物の意外な一面を指すことが多い。
とはいっても、それは客観的な視点で見るからで、誰にだってそういうものはあり、決して特別なことではない。
ただ、オレの場合は特殊で、どう考えてもまともとは言えない。
そんな秘密を抱えているのだった。
▼
とある冬の日、一人の男に声を掛けられたのが始まりだった。
年齢は40歳前後といったところだろうか。
「星プロダクション?」
男が言うには、大手の芸能プロダクションのスカウトマンだそうだ。
渡された名刺にもそう書かれいたが、なんとも怪しい、胡散臭い。
普段なら、まず相手にすることはないのだが、なぜか。
ほいほいとついていってしまったのは、月に一度のスイーツ店巡り(といっても、予算の都合上、一店だけなのだが)で、当たりの店を引いて上機嫌だったせいだろうか。
そういうわけで現在、少し小洒落た喫茶店の中にいたのだった。
決して接待への期待に釣られたわけではない……と思う。
何でも好きな物を注文していいというので遠慮なく、素直にそうさせてもらった。
やりぃ〜、予想通り……って、認めたくないけど、やっぱり打算というか、下心があったようだ。
でも経費で落ちるんだろうし、二度と会うことのない相手だ。そう気にすることもないだろう。
相手は懸命に話を続けるが、内容は朧げだ。
こっちはスイーツのことで頭がいっぱい、それどころではない。
いろんなタレントの名前が出てきているようだが、正直よく解らなかった。
ただどうやら、アイドルとしてスカウトしたいということだけはなんとなく解った。
この話が本当なら普通は喜び浮かれたりするんだろうが、それだけに怪しく誰もが警戒するだろう。甘い話には大抵裏があるものだ。
そういう訳で、この話は当然断わるつもりだ……だったんだけど、大量のスイーツを平らげた後では断りづらかった。……というか、スイーツのことで頭がいっぱいで気付いてみれば、家に来て具体的な話をってことになっていた。
前書きは、一応ネタのつもりです。とはいえ、内容については強ち否定は出来ませんので一応ご注意下さい。(笑)