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シャルローゼさんとSNS

 シャルローゼさんに「魔法を教えてほしい」と言われた俺。別に「一族の秘密」とかそう言う大げさなものではないので、教えること自体は問題ない、と思う。

 とは言え、俺の独断で決めるわけにもいかない。返事は待ってもらう事にして、その日は解散した。



 そしてその日の夜。俺は姉さんと紗也にシャルローゼさんの事を話した。


「別にいいと思うぞ。ただ、社会全体の混乱を避けるためにも、魔法を社会に広めるのは辞めてほしいと伝えねばな」

「それで放課後に呼ばれたのね……。私も良いと思うわ。だけど、問題は、『どうやって教えるか』よね」


 そう。魔法の真髄は「家系(検証はしていないが)」と「信じる力」である。要はシャルローゼさんに「自分が想像した事柄は現実に反映される」と思い込ませる必要がある。


「流れとしてはこんな感じかな?」


1:俺達の家系について軽く説明。

2:魔法について分かっていることを説明。この際、信じる力に悪影響を与えそうな情報は隠す。

3:実践してもらう。この際、魔法が使えなかった場合は、『初めは場所の影響を受けるから……』とか適当なことを言って、自信を無くさせないようにする。


「それでいいと思う」「良いと思うよ!」


「じゃあ、シャルローゼさんに伝えておくよ」


「それじゃあ、私は魔法に関するスライドを作っておくよ」


「サンキュー、姉さん」



〔カズヤ〕

シャルローゼさんのアカウントで合ってますか?同じクラスのアカツキカズヤです。 18:30

 既読


〔Charlause〕

ええ、合っています。こんばんは 18:33


〔カズヤ〕

こんばんは。早速本題に入るけど、ついさっきシャルローゼの事を家族に伝えました。魔法を教える分には問題ないって言われましたよ。 18:34

 既読


〔Charlause〕

本当ですか! 凄くうれしいです! ありがとうございます!

m(_ _)m

日本の顔文字を使ってみたのですが、これで合ってます? 18:35


〔カズヤ〕

いえいえ。ただ、社会が混乱するのは避けたいから、あまり広めないで欲しいです。それこそ、解剖されたくないので


顔文字の使い方、正しいですよ~

( ·∀·) イイネ!

海外だと:)とかを使うのでしたっけ? 18:36

 既読


〔Charlause〕

そうですね、私も解剖されたくないので、無駄に広めるつもりはありません。家族に伝えるのも避けた方が良いですか?

アストロフォールで使われる顔文字も、:)とか:(のようなタイプですね 18:38


〔カズヤ〕

家族に言う分には良いですよ。けど、その家族がまた誰かに広めて……って広がっていくと困るので、出来る限り知っている人は少なくしてほしいですかね 18:39

 既読


〔Charlause〕

分かりました。私としても、伝えるのはお祖父ちゃんくらいにしたいと思っていました。というのも、両親や兄弟は魔法の事は信じていないので…… 18:40


〔カズヤ〕

なるほど(^ ^;) 18:40

 既読


〔カズヤ〕

それで、魔法に関して分かっている事をまとめた資料を僕の姉が作っています。出来上がるのに数日かかるとの事なので、今週末に会って話す事にしませんか? 予定は如何(いかが、と読みます)でしょう? 18:42

 既読


〔Charlause〕

今週末で大丈夫です。よろしくお願いしますね

(>∀<) 18:43



 そうか、絵文字の使い方ひとつでも文化の差があるんだなあ。メッセージのやり取りを通じて、改めて外国から来た子と話しているのだと実感した。



 さて。週末になった。どこで会うか相談した結果、俺の家で集まる事になった。友達が家に来るなんて機会、最近は無かったので緊張である。


「お邪魔します。アカツキ君、今日は招いていただいてありがとうございます」


「いえ、狭い家ですが、どうか寛いでください」


 初日は「アカツキさん」と呼ばれていたが、暁紗也がいる事を知って「アカツキ君」と君予備になった。なお、「え? もしかして夫婦なんですか?」と聞かれてびっくりしてしまった。


「早速ですが、僕の姉を紹介します。こちら、暁慧子。現在大学一年生で、理系分野全般が得意です。今は、魔法の原理を科学的に解明しようと実験しているそうです」


「初めまして、シャルローゼさん。紹介にもあったように、暁慧子と申します。西欧にも魔法使いの家系があったと知って、非常に興味が湧いている次第です。よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします。改めまして、ソフィリア・シャルローゼ・フォン・アストロフォールと申します。今日は、日本の魔法について、そしてその性質についての研究成果を教えて頂けるとのことで、非常に感動しております」



 早速、姉さんがプレゼンテーションソフトを起動して、それをスクリーンに投影した。あれ?いつの間にリビングにスクリーンが設置されていたんだ?昨日は無かったよな?


 魔法の発動方法の基本的な説明、その影響範囲、その効力についての科学的なアプローチ、その過程で出来た精霊濃度の概念について。

 また、魔法の効果を保存できる霊魂珠についても検証実験とその成果を教えてもらった。姉さん曰く『その構成元素は全くもって不明。むしろ、元素では出来ていないと考えるのが自然である』、『X線結晶解析の結果、現在見つかっている如何なる結晶とも違う構造であることが分かった』だそう。取り敢えず、なんかすごいという事が分かった。


「という訳で、シャルローゼさんも魔法使いの家系なら、魔法の存在を『知る』事で、魔法を使えるようになるはずです。あとは、具体的な『イメージ』の仕方を知るだけ。早速、試していきましょうか」





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