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映画?No!現実!

「で、負けた俺は、コンビニへ来ましたっと」


 俺が出した手はパー。姉さんはチョキ。俺の負けである。

 無事、姉さんが御所望のアイスと自分の分のアイスを買った俺は帰路についた。まあ、姉さんのお小遣いで俺の分も買えたので、良しとしようか。



 そうやって歩いていると、通りに人が沢山集まっていた。こんな真夜中に何をしているのだろう?


 雨水を凍らせ、即席の望遠鏡を作って確かめる。万が一、ドラマの撮影などをしているなら、通行しない方が良いと考えたからだ。


「え? 拳銃?」


 そこに見えたのは、女性と執事に拳銃を突きつける覆面の男。本物?

 まさかな。きっと映画の撮影か何かだろう。


 そう思って踵を返そうとしたのだが、改めてその場を観察する。カメラなど周っていない。これはひょっとしてひょっとするのか?


『光学迷彩』


 魔法を発動。夏休みの終盤に新たに作った魔法である。光を曲げる事で、自らの姿を隠す魔法。隠密系の魔法は、忍者っぽくて好きである。なのになぜ、今まで再現していなかったのだろう?


 人の集団に近付き、それが映画ではなく、現実であると再認識した。明らかにカメラは周っておらず、縛られた少女と執事は恐怖で顔が青ざめている。


 一般人の俺が首を突っ込むべきか? 断じて否だ。素直に警察に連絡すべきだろう。すっと電柱に隠れた俺は、光学迷彩を解除し、別の魔法を行使する。


『音響遮断』


 自身の周囲に空気の膜を張って、音を外部に漏らさない魔法。これで誘拐犯にバレずに警察に連絡できる。



 遠くからサイレンが聞こえる。無事、警察が向かっている証拠だ。

 だが、状況は決していいとは言えない。今にも少女たちは車に乗せられようとしている。



 このまま放置するべきか?

 それで本当にいいのだろうか?

 どうして俺は魔法を手に入れた?


 こうして俺は、魔法に目覚めて初めて、人に攻撃を仕掛けた。



 誘拐犯に狙いを定めて、氷の弾丸を射出する。通常の銃ならば大きな音が鳴るだろうが、これは魔法。音もなく誘拐犯に打撃を与えた。


『光学迷彩』


 姿を消して素早く女性と執事に近づき……


『重力軽減』


 二人にかかる重力を軽減した。


~~

~~~

 ある日、紗也が俺を部屋に呼んだ。よくある事なので、警戒せずに入ると、突然俺の下の地面が抜けた。落とし穴か?!

 次の瞬間、紗也が俺の服を掴み、片手で俺を持ち上げた。ひょいっと。え?

「『グラビティーシャットアウト』。下向きにかかる重力を消し去る事で、対象者にかかる重力を無くすの」

「なるほど。穴が開いたんじゃなかったのか」

 宙に浮いたような感覚がしたのは、落とし穴のせいではなく、本当に(・・・)宙に浮いたからだったようだ。

「これで、重い物も楽々運べるわよ!」

~~~

~~


 軽くなった二人をぐいと引っ張り、その場を離れる。誘拐犯の一人が俺の方を睨んだ。これはまずいな。


『物理結界』


 この後すぐ、結界を張って正解だったと分かる。誘拐犯の一人が、発砲したのだ。

 物理結界は「壁を作る」魔法ではない。「物理エネルギーを奪う」魔法だ。その威力は強力で、拳銃の弾が持つ運動エネルギーさえも奪い去る事が出来る。

 誘拐犯の方は弾が切れたのか、追撃してくることはない。だったら……


『水よ、我が傀儡(かいらい)とかせ』


 雨水を凍らせて


『行け!』


 誘拐犯に追撃を行った。



 誘拐犯の車のタイヤをパンクさせたりするうちに、パトカーが近づいてきた。俺がすべきことは終わったかな?


 少女と執事を縛っていた縄をほどき、俺はその場を離れた。「魔法を使う所を見られたのはまずかったかもしれない」と思ったからだ。


 夜だったので、俺の顔は見えていない……と思う。万が一、俺の顔が見えていたとしても、とぼけておけばバレないだろう。




◆Side 少女


"Who... were them?"「誰……なのかしら?」


"Are they kidnappers...? But, how come do they know that miss is here?"「誘拐犯……でしょうか? しかし、一体どうして彼らはお嬢様がここにいると知っていたんでしょう?」


"Also, I'm wondering about the guy who helped us."「それと、私たちを助けた人物についても気になるわ」


"Was that a trick? From what I can see, raindrops got frozen and fly to the kidnappers..."「あれはマジックだったのでしょうか? 私が見た限り、雨粒が凍って誘拐犯に飛んでいったように見えたのだけど……」


"He might be a wizard"「魔法使いかもしれないわ」


"No way!"「まさか!」


"I'm not joking! Don't you know the roots of our family?"「冗談で言ってるんじゃないわよ! 私たちの家のルーツを知らないの?」


"Roots of Astrofall family?"「アストロフォール家のルーツですか?」


"Yes. It is said that we were the family of witch and wizards, and that they reclaim the land of Astrofall using that power."「ええ。私たちの家系は魔法使いの家系で、アストロフローの地をその力を使って開墾したとされているのよ」


"I've heard that when I was a kid. But... is that a fictional story?"「子供の頃に聞いたことがありますね。しかし、それはフィクションでは?」


"No. It is the historical fact. Members of Astrofall family learn that the story is the historical fact."「いいえ。それは史実よ。アストロフォール家の者はその物語は史実だと教えられるわ」


"But..."「しかし……」


"Anyway. The first thing to do is to catch the kidnappers and search for the guy who saved us. I'm going to check the records of the night vision camera placed over there."「とにかく。まずは誘拐犯を捕まえて、助けてくれた人を探し出さないと。あそこに置かれてる暗視カメラの記録を見るわね」


"Ok, miss. Then, I'm gonna talk to the police."「かしこまりました。それでは、私は警察に事情を説明しておきますね」








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