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夏休み明け1

 あっという間に夏休みは終わり、二学期が始まった。昨日、始業式があったのだが、その後にロングホームルーム(宿題を回収する時間)がある。クラスの3/4はきちんと宿題を終わらせていたのだが、逆に1/4程「○○間に合わなかった……」と言いながら目を擦っていた。一夜漬けで宿題を終わらせようとして失敗した人間の末路である。



 次の日は夏休み明けの試験(課題考査)がある。ただ、高校一年生の我々が受けるテストは国、数、英の三教科だけなので、上回生よりも早い目の帰宅となる。と思っていたのだが、昨日の時点で「我々のクラスだけ午後も残ってする事がある」との連絡があった。その理由は……。


「という訳で、昨日も説明した通り、明日からこのクラスに留学生がやってきます。その事に関して、注意事項や歓迎会の支度をします」


 ――パチパチパチパチ


 そう。何とうちのクラスに留学生が来ることになったのだ。高六丘(たかろくおか)高校には毎年交換留学生がやってくる。今年はこのクラスにやってくることになったのだ。



「「どんな子かな? 女子かな? やっぱり女子かな? 女子で合ってくれー!!」」

 と叫ぶ一部男子。


「「イケメンが来るに決まってる。きっと、きっとイケメンが……」」

 と願う一部女子。


「はい、静かに。まず、留学生の性別だけど……」

 先生の一言に、ごくりと息をのむ我々。

「女子です」


「「うおっしゃー!!」」

「「そ、そんなああ……。まあ、外国人の女の子と友達になれるのもいい機会かな……」」


 テンションマックスの一部男子もいれば、テンション爆下がりの一部女子もいる。



「はい。静かに。まあ、わざわざ性別を告げた私にも非はあるけど、ちょっと取り敢えず静かにして。……。はい、ありがと。連絡を続けるよ。その女の子なんだけど、実は結構いい所のお嬢様らしいの」


「お嬢様系と来たか……。ふむ、予習しなくてはな」

 と頷く一ノ瀬。何をどうやって予習するのかは不明だが、きっと(ろく)なことにならないと分かる。


「まあそういう訳だから、絶対に粗相のないようにしてほしいわけ。もちろん、普通に友達として関わるなら問題は無いわ。『ご機嫌麗しゅう』とか言わなくても良いわよ。だけど、下心を持って近づいたりしようものなら、指導対象よ? 自宅謹慎にするわよ? 分かったわね、男子。特に一ノ瀬」


「分かってますよ! いきなり家に招くのは辞めておいた方が良いな。堅実に仲を深めるべきって事か」


「事前に一ノ瀬は自宅謹慎にした方が良い気がしてきたわ……。ともかく、みんな仲良くしてあげてね。あ、彼女は日本語ペラペラだから、会話に関しては安心して良いわよ。ただ、英語が母国語だから、英語でのコミュニケーション能力を伸ばしたい人は英語で話しかけてみて」


「おおーー!」


「ちなみに、どんな子なんです? 可愛いですか?」

 なにやらメモしている一ノ瀬に代わって、別の男子がそう尋ねる。


「そうね……明日の朝礼で紹介するから、その時まで内緒よ」


「はーい」


「それで、明日の午前、歓迎会を開く事になっているわ。その準備として、教室の飾りつけをしたり、質疑応答の質問を考えたりしたいの。萩原君、会議を任せていいかしら?」


「分かりました。まずは、飾りつけについて決めましょう。どんな飾りがあると『日本っぽさ』を表す事が出来るか、アイデアをどんどん出してください」


「折り紙!」

「何の?」

(つる)とか?」

「オッケー」

・折り紙(鶴など)


「扇子!」

「ほう。面白いね。飾りとして使って、最後にはプレゼントとして渡すのもありかもしれないね」

・扇子


「生け花とか如何(いかが)でしょう?」

「生け花か……。いいね! 華道部の物を提供してくれる感じかな? それとも、新しく作る感じ?」

「華道部の物を提供します。新しく作るとなると、お金もかかりますし」

「分かった。協力感謝する」

・生け花


 俺もアイデアを出すか

「百人一首を飾るとかどうかな?」

「ほう! なかなかいいアイデア! 新しく買う感じかな?」

「それでもいいと思う。金銭的に問題があるなら、持ってる人から拝借するのもありかと。確か俺ん()にもあったはず……」

「購入するかは後で決めよう」

・百人一首


鹿威(ししおど)しはどうかな?」

「どうやって準備するの?」

「家に持ち運びできる鹿威しがあるの」

「それ、普通に僕が見てみたいよ……」

・鹿威し


「富岳百景のポスターとか!」

「いいね! 採用!」

・富岳百景のポスター


「歓迎って書いた掛け軸とかどうかしら?」

「いいね! 流石書道部! 用意してくれるかな?」

「任せて」

・掛け軸


「日本刀とか如何でござろうか?」

「いや、危ないから! それに許可も下りないよ! 却下!」

「そうでござるか……」


「お茶菓子は? あと、抹茶味のお菓子とか」

「先生、食べ物はオッケーですか?」

「一人当たり500円以内なら」

「「小学生の遠足か?!」」

「あと、なま物はダメよ。衛生面には十分気を付けてね」

・お茶菓子・抹茶味のお菓子



「良い感じにアイデアが集まってきたし、そろそろ次の議題に写ろうと思う。新しく買う物とか折り紙なんかの作業を進めつつ、質疑応答の時間でしたい質問を募集しようと思う」





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