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宿




 リアはギルド長から合法、非合法問わず奴隷商の情報を仕入れ、ギルドの一階に戻っていった。


(この町のギルド長は長命種の種族だということで有名で、既に100年はこの町で暮らしているらしい。だからにそのギルド長ですら知らない奴隷商はほとんどいないだろう。)


 そんなことを考えながら、一階に着くと、レンたちが“Rank E”とかかれた冒険者プレートをもって走って来た


「これで冒険者だ!」


「ちゃんとぼーけんしゃとうろくできたよ!!じぶんでゆびをきずつけるのはこわかったけど、がんばったよ!!えらい?えらい?」


 ルリが自分で指を傷つけるのは怖かったけど、と言っているのは冒険者登録をするにあたって自身の血が必要となるため、自分で指をきるはめになったのだろう。小さいのによく頑張ったなぁ。と考えながら、取り敢えずリアはレンたち(特にルリ)を誉めることにした


「よしよし、えらいね~」


 そう言って2人のことを撫でた。それをルリはとても嬉しそうに受け入れて、レンは最初は少し戸惑っていたがすぐに受け入れた。かわいい。周りの冒険者たちも


「かわ……」

「ぐふ」

「神はここか……」


 等のうめき声をあげている。が、3人は華麗にスルー。リアたちがこの町に来てから1日もたっていないのによくみる光景となっている。何故だ



「さて、ここのギルド長の……ルーオス?って人にいい宿教えて貰ったからそこに行こうか」


「「はーい/はい!」」


 二人は元気よく返事をした。宿、と聞いてどんなところなのか気になっているようだ


「あ、宿の名前は?」


「『薬膳こそが正義!』って宿」


「「え??」」


 リアの言った宿の名前にレンたちは混乱し、周りの冒険者たちは「あーー」っと微妙な顔をした


「ごめん、もう一回言って?」


「『薬膳こそが正義!』だよ?」


「俺の耳は間違っていなかった……ん?え、でも……え?」


「?」


 『薬膳こそ正義!』という宿の名前を聞き間違いかと思ったのかレンがもう一度聞いていてきた。それで自分の耳はおかしくなかったと言うことが分かり安心していた。が、すぐにどういうことか理解できずに首を傾げた。しかしリアは何故レンが首を傾げたのか分かっていないようでこちらも首を傾げた



 そして訪れる沈黙



「……(嬢ちゃん絶対何で首かしげられてるか分かってないよな?)」

「……(どうする?俺らが説明するか?)」

「……(説明するとしてもどっちにどんな風に説明すればいいんだよ)」


 が、静かなのは表面上だけで周りの冒険者や受付の人たちはアイコンタクトでこのようなやり取りを行い、


「……(誰か!!説明してくれ……!!頼むから!!)」


 レンは嘆願し、


「……(どういうこと??)」


 リアは混乱し、


「……(はやくやどいきたいなー)」


 ルリは別のことを考えていた


 はっきり言ってカオスである。表面上はただ静かなだけなのに全員の心の中がカオスである。何故こうなった


 と、そこで!!


「ほっほっほ。よい宿ほど奇抜な名前の宿が多いのじゃよ。今後役に立つだろうから覚えておくといいぞ」


 我らがギルド長ルーオスが説明してくれた!この時の一同(1部を除く)の考えていたことはもちろんただひとつ!


(((神だ!!)))


 だった。ちなみに除かれた1部とはまだどういうことか理解できていないリアと最初から別のことを考えていたルリである


「で、宿に行かなくてよいのかの?」


「あっ、そうだった。じゃ、行こうか」


「あっ……うん」


「やどいくのたのしみ~」





 その後、『薬膳こそが正義!』とかかれた宿を見て、


「マジでこの名前かよ……」


 と絶望するレンの声が聞こえた。らしい








 リアたちは宿に荷物を置いてから露店巡りをしていた。露店の商人は最初は美少女と美少年の3人組が来てくれたことにとても喜んでいたが途中から3人組の1人であるリアが自分の商品を辛口評価した(しかも言っていることに間違いがない)ことでだんだん心が折れていっていった。かわいそうに


 と、まあ商人達に心中御察し申し上げますと言いたくなる件についてはさておき、妙な奴らと繋がっていたり貴族と繋がっていたりしない一介の商人たちに怪しそうな者、何か情報を持っていそうな者は居ないな、と思いながら今度は妙な奴らと繋がっている可能性が高いとギルド長が言っていた露店に行くことにした


 そしてそこで、リアにとって絶望の、相手にとっては歓喜の再会を果たすことになろうとは、誰も予想していなかっただろう






「さて、この露店…だよ……ね??」


 リアが例の露店を見て最終的に疑問系になってしまった


「?どうかしたのか?」


「いやぁ、看板の字がここに居るはずのない人の字の書き方によく似ていておどr」


「リアさんじゃないですか!!」


 リアが喋っている最中に露店の奥にいた、眼鏡をかけた金髪の女性がリアの名前を呼んだ


「あの嬢ちゃんの名前はリアか……」

「【水】と【闇】の属性保持者様と同じ名前だな」

「だが、リアなんて名前の奴どこにでも居るぞ?それに風と水が得意なんだろうって話になってたじゃないか」

「そうだ。あんなかわいこちゃんが悪魔呼ばわりされる【闇】の属性保持者様な訳ないだろ!!」

「「「確かに!!」」」


 尚、そのやり取りでリアの名前を知り、騒いでいる奴らが居るが全員無視していた


「リアさんどうしたんですか!僕の居るところに来るなんて!!僕のことを避けまくっていたリアさんとは思えない!!僕はとっても嬉しいですけどね!!!!」


「知ってたら来るわけないじゃん」


「え!?ひどい!!でも冷たいリアさんもいい!!」


「落ち着けシャナ」


 テンションが高い、そしてうるさい。なのに名前がシャナ。シャイの親戚のような名前であるシャナ。なのにうるさくてテンションが高い。よく名は体を表すと言われるがそれは間違いだったか……


「落ち着ける訳ないじゃないですか!!リアさんですよ!?生リアですよ!?」


 この時、その発言をした本人以外の心が一致した


「生リアってなんだよ……」


(((それな)))


 何故そんな呼び方をするのか。どう考えてもおかしい。なんなんだ、生リアとは。リアは生きているがそういう意味の言葉ではない気がする


「はぁ。相変わらずだねシャナ」


「リア様に誉められた~」


「誉めてないんだけど」


「え」


 リアに誉めて貰えたと思ったシャナが笑みを浮かべたが、誉めてないんだけど、と言われて固まった。だがリアはあえてスルーし、


「で、なんでここに居るの?」


「小説の題材探しとアルバイトです!!」


「ああ、小説家だもんね」


「はい!新作読みますか?」


「ん~取り敢えず貰っといていい?」


「勿論です!」


 何と小説家だった。どこで復讐代行者と小説家が知り合う機会があったのだろうか。不思議だ


「なぁ、あの本娘がめっちゃ好きな本なんだけど。あの人が書いたのか?」

「会話の流れからしてそうだろ」

「つかあれなんかの賞を授賞してなかったか?」


 リアにシャナが新作だという本を渡している時、本の表紙が見えて1部の外野が有名な小説家だと気づいたようだ。まあそれがどうしたという話だが


「ところでリアさんは何故ここに?」


「依頼」


 リアはそう答えるのと同時に右手の人差し指で地面を指差した。シャナはそれを見ると


「なるほど!」


 と言い、それ以上追及してこなかった。








 かのように見えた


「なら、宿教えてください!手伝います!」


「そこは追及しない流れじゃん??なんで追及してくんの?」




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