馬鹿との試合
リアたちは訓練場に来た
「さて、2人は向こうの方で見ててね」
「「はい」」
そう言ってレン達を下がらせた。2人の能力はリアにとって未知数なため出来るだけ危険に合わせないようにしているのだ
「あ?嬢ちゃん1人でいいのか?」
「勿論」
「なめてんのか?」
「当たり前じゃん」
「んだと!」
これはリアの言うことが正しい。だいたいあんなに煽ってきた奴が相手のことを舐めていないはずがない
「あはは。こっちの人が待ちきれないみたいだから始めようかな……って事でそっちで賭けやってる人たちは早く決めてね」
そう言ってチラリとこっそり着いてきた賭け好き冒険者達を見た。明らかに狼狽えている
「なぁなぁ、俺等の事気づいてたしあっちの嬢ちゃんのが強いんじゃ……」
「俺はかわいこちゃんを応援するぜ!」
などの声が聞こえてきた。1部妙なのが混ざっている。が、リアにすぐに睨まれた。可哀想に
「あ?おい!てめぇら何言ってんだ!俺が勝つに決まってんだろ!?」
「じゃあ試合始める?」
「勿論だ!」
そう言って開始の合図も待たずに急に駆け出してきた。武器は持っていないのでおそらく体術で来るのだろう、そう考えてリアは取り敢えず風魔法の応用で……空を飛んだ
「うっわあいつ急に駆け出してったぞ。大人げねぇ」
「!?てか嬢ちゃん空飛んでんぞ!」
「つかあれ無詠唱で魔法使ってね……?」
「ほう、風魔法の応用かの?面白いのう」
リアが空を飛んだのを見ると外野が騒ぎ出した。それにしても……1部強者っぽい口調の奴が居たような……
「おい!空飛ぶなんざ卑怯だぞ!!」
「卑怯?君は自分の命を狙ってくる魔物に対してもそういうつもり?」
「魔物と人間は違うだろ!」
「……似たようなものでしょ」
そうリアが言ったとき……黒い目が青に染まり、
「もう面倒だから、終わらせようかな」
「は?何言って」
ドシュン!ドシュン!ドシュン!
馬鹿の服を打ち付ける形で、氷の礫が壁に突き刺さった。そして例のクズは……その衝撃で気絶していた。そして
「かわいこちゃんの勝利だぁぁぁぁ!!」
「俺の全財産がぁぁぁ!」
等の歓喜の声、または絶望の声が聞こえてきた。それにしても全財産賭けるのはやり過ぎだろう
「さて、君たち」
そう言って観客の方を見ると
「私が強いって言うことは分かってくれた?」
と言いながら……Bランク、と書かれた銀色のプレートを見せた。それに観客達は……
「「「Bランク冒険者!?」」」
と、絶叫した。それも仕方がない事だろう。まだ成人もしていないであろうリアが中堅扱いをされるBランク冒険者の証を持っていたのだから
ちなみに、冒険者のランクはしたから順に E→D→C→B→A→Sの順番で上がっていくようになっていて、その冒険者のランクを目安として冒険者が迷宮に行ったり、ギルド側が迷宮に入ることを許可しない事がある
「そんなに驚くことじゃないと思うんだけどなぁ」
いや、そこは驚くところである。これだから無自覚の奴は……
「すげぇ」
「むだのないきれーなまほう……」
ちなみに、その頃レン達は初めてまともに見たリアの戦いの技術の高さに感心して惚けていた
尚、リアの目の色は試合が終わると同時に戻っていたようで一時的に目の色が変わっていたのはほとんどの人には気づかれていないようだ。ほとんどの人には
馬鹿との試合(という名の蹂躙)が終わったため、リアはまだ「あんな嬢ちゃんがBランク冒険者!?」となっている観客達を放置してレン達の元に戻ってきた
「どうだった?」
「きれーでした!!」
「かっこ良かった!!」
「そっか。ふふふ」
リアの問いにルリとレンはキラキラと目を輝かせて即座に感想を言った。リアはそれにとても嬉しそうに笑った。それによって死者が出ると知らずに
「かわっっっ!!」
「何あの尊い笑顔……」
「かわぇぇぇペロペロしたい……」
というような感じで観客たちから死者が大量に出た。被害者数は計27名だそうだ。ちなみにペロペロしたいと発言していた者はギリギリ死なずに耐えた者たちによって始末された。(リアたちはそれに気づいてたが放置した)当然の報いである
「さて、それじゃあギルドのほうに戻ろうか」
「「はい!」」
ギルドに戻ってきた来たリア達と観客、そして……観客に担がれている馬鹿を見てギルド内にいた冒険者とギルド職員は絶句した。ギルド内には呼吸音すらない。完全な静寂だ。そしてそれを壊すのは勿論……
「この2人の冒険者登録したいんだけど、新規登録の列って何処?」
リアだ。レン達の頭をポンポンと撫でながら1番近くのギルド職員(男)に聞いたようだ
「え!?あ、えっと、ここは新規登録者が少ないのでどの列でも可能なようになっていみゃす!」
噛んだ。やらかした。どうしよう。と、いう風にあせっているギルド職員(男)に気づかず、
「そっか。ありがとう。ならここでして貰ってもいい?」
というように微笑み掛けてギルド職員(男)を気絶させた。それにしても何故元凶が驚いているのだろうか
「え?なんで倒れたの??」
「ああーこいつ急に倒れる事がある病気なのよ。気にしないで」
自分がやったことなのに何故か困惑しているリアに隣の受付にいたギルド職員(女)が声をかけてくれた
「あ!そうなんだ」
(((そんなわけねぇよ!!!)))
周りの人達が心の中で絶叫している。これだから無自覚の非常識な人は困る
「ええーと、その2人の冒険者登録だよね?こっちでやろうか?」
「じゃあお願いしてもいい?」
「はーい。承りましたー」
このギルド職員(女)……出来る奴だ!!おそらくこの町でリアのストッパーになる(確信)苦労するのは絶対だが頑張れ。ギルド職員(女)!
「って事でそこの2人~向こうの別室で冒険者登録しよっか~」
「はい。ルリ、行こう」
「はーい!」
そうして2人は奥の別室に行った
そこで、リアに話しかけてくる者がいた
「初めまして、わしはこのギルドのギルド長、ルーオスという。君と話したいのだが、いいかね?」
「いいよ」
リアは、このギルドのギルド長だと名乗る白髪の老人の問いに、面白そうな奴が話しかけてくれたと思いながらニヤリと笑みを浮かべ、了承の返事をした