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町に行った




 さんさんと朝日が降り注ぐ中、魔術国の国境に一番近い町の門の前で、一際視線を集める3人組がいた。フードどころかマントごと脱いだリアと、ルリとレンだ。成人もしていない子供の3人組で、とても珍しいオッドアイの者と獣人がいれば視線を集めるのも無理はない



「つ、??……???……次の者前に!」


 どうやら門番に呼ばれたようだ……というか門番もどんな集まりなのかと首をかしげている


「はーい」


「入国理由と身分証を」


「入“国”理由?既にここ魔術国だけど」


 リアはそう言いながら冒険者であることを証明するプレートを門番に見せた。それを確認し門番はリアの質問に対して答えた


「ああ、ここは魔術国の国境に一番近い町だからな。一応入国者の入国理由を聞いているんだ」


「なるほど」


 確かにいくら今リアが立っている場所も既に魔術国の領地だとはいえ、町に不審者が入らないように入国理由を聞くのは当然だろう


「私の入国理由は魔法の技術を磨きたいなぁ~って思って」


 リアのこの台詞は嘘ではない。魔力を誤魔化す、魔法の技術を磨きたいと思っているからだ。だが、この説明でいいのか。これなら普通に偽れてしまうが


「そちらの2人は」


「ああ、こっちは集落が崩壊しちゃったみたいでね。私が冒険者登録の付き添いをすることにしたんだ♪」


 集落が崩壊、という言葉に門番は驚愕した


「集落が崩壊!?そのような話は聞いていないぞ!!」


「ねぇ、お兄さん。この子達の耳見えてる?」


 その言葉に門番ははっとして2人の方を見た。頭では分かっていたのにこの2人が獣人だと言うことを忘れていたのだ


「分かったかな?獣人の集落を人間が把握してないのは当然でしょ?」


「ならば、崩壊理由は……」


「人間が売るために捕らえに来た」


 ここで初めて、レンが口を開いた


「何!?それは違法ではないか!!もしその捕らえに来た奴らのことで何か分かったら教えてくれないか!?」


 その言葉にレンは驚いた。リアは妹のこともあったし、疑えるような時間がなかったしですぐに打ち解けたが基本的に人間を信用していなかったからだ


「ん?何を不思議そうに……ああ!ここでは昔、違法奴隷として売られていた者たちが多く働いているからな!そういったクズ共は皆嫌っているんだ」


 違法奴隷として売られていた者たちが働いている、ではなく多く働いている、ということは違法奴隷を扱うクズが多かったのか1人に多くの者が捕まっていたのか……どちらなのだろうか。せめて後者であれば幾分ましだが


「なるほど……人間にもいい奴がいるんだな」


「おいおいおい、人間にもってこの冒険者登録の付き添いだって言う嬢ちゃんだって人間だろ?」


 それは確かにその通りである。だがしかしレンはリアを人間という括りにいれていいのかよく分からない。故に返事は不明瞭なものとなった


「ああ、うん。確かに、そう、だな?」


「……そうか!」


 その返事に何故疑問系なのかと疑問に思ったが突っ込んだら自分もなにやら厄介事に巻き込まれそうな気がして問うのを止めた。英断である。だが、それにレンは聞いてくれなかったかぁ、と落胆した。ちなみに元凶のリアは何がなんだかよく分かっていないようである。リアのせいなのに


「それじゃあ、ようこそ!魔術国ルーテシアへ!って事で入っていいぞ!あっ、後これ入国許可証!これがあれば次はさっさと町に入れるぞ!」


 そう言って‘魔術国ルーテシア入国許可証’と書かれたプレートを渡された


「失くさないように気を付けろよ~」


「「「はい/はーい」」」







 ガヤガヤ、ガヤガヤ


「たくさんひとがいる~」


 門をくぐると、たくさんの人の姿が見えた。焼き鳥を頬張る人、露店で値段交渉をする人、朝っぱらから酒盛りをしている人などたくさんの人がいた


「これくらいなら少ない方だよ?首都に行けば周りが見えなくなるくらい人がいるからね」


「そんなに??」


「うん。だから私は首都に近づきたくないんだよね~」


「?近付きたくないなら近付かなきゃいいだけだろ?」


「ん~それができればよかったんだけどね~」


 リアは首都に近づかなくていいのなら絶対に近づかない。だが依頼人___勿論復讐代行の方だ___が首都にいる場合行かなくてはならない。まあ、首都に住む人の依頼は出来るだけ依頼を持ち込まれる前に避ける様にしているが


「お!君たち可愛いじゃん!今なら商品全品半額にするから見ていかない?」


「ごめんね~用事あるからこの後で見させて貰えない?」


「来てくれるんなら構わないぜ!」


 冒険者ギルドへの道中、このような事が何回か起こったが華麗に躱していった。これは絶対に慣れている奴の動きだ


「なぁ、何で後で行くんだ?」


「ん?ああ、露店とか出してる人は意外と情報持ってる事が多いからね~基本的にそういうところには行く様にしてるんだ」


 露店などを出している人には足が付きにくいから、という事で違法な品を売買していることもあれば、露店のため見晴らしがよく、違法取引が行われている所を見てしまう人も居るため、情報収集には打ってつけなのだ


「なるほど……けどさぁ、声かけられる頻度やばくね…?」


「え?そうかな?」


 そう、既に3回も声をかけられるというのは明らかにおかしい事なのだがリアにとっては普通のことなのだ。感覚の麻痺にも程がある


「まぁその話はさておき、冒険者ギルドに着いたよ」


「ここが……でかいな」


「でしょ?冒険者ギルドは沢山の人が来るからどの町でも大きいの。まあ、ここは国境沿いの町だから他の町よりも大きいけどね」


「へぇ」


「それじゃあ入ろうか」


 そう言ってリアが扉を開けた途端、ギルド内の騒々しい声が沢山聞こえてきた


「さっきまで全然声聞こえなかったのに急に声が……」


「冒険者はうるさいから、魔法で音を漏らさない様にしてるんだよ」


「ゆーこうかつようだね!!」


 リアたちがそう話していると声をかけてくる馬鹿がいた


「おいおい嬢ちゃんたちよぉ!うるさいってどういう事だぁあ?だいたいてめぇらみてぇな子供が来る場所じゃあねぇんだよガキ共が!」


「あんたみたいに酒で酔った冒険者が騒ぐのは事実でしょ?それから、私をガキだと思うなら私と試合でもしない?結構強いからさぁ」


 まさに売り言葉に買い言葉。煽り煽られである。それにしてもこの馬鹿はアホだ。属性保持者に勝てる訳もない。まあ、その事を知っていればこんなことをしていないだろうが


「試合だぁ?……いいぜやってやらぁ!冒険者ってものを舐めるんじゃねぇぞ!」


「冒険者を舐めてるんじゃないんだけどなぁ……ねぇ、職員さん。話の通り試合したいから訓練場の1角を貸して貰ってもいい?」


「え!?あ、はい!!どうぞ!」


「それじゃあ、行こうか」


「お、おう」


 リアのその言葉には異論を許さぬ謎のオーラがあった




ワクチン接種で動けなくて暇なので投稿しました。腕めっちゃ痛いんですけど。後熱のアップダウン激しい

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