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復讐をしますか?

「あっ、ごめんね。つい、キレちゃった」


「構いませんよ!リアさんの事情はしってますから!」


 無表情で宙を見つめていたリアが、ハッ!と目を見開き、謝罪の言葉を口にし、それに対するシャナの返答に安堵の笑みをうかべた。無論、シャナはそれを見て心の中で(かわっっっっっ!)と絶叫していた。が、リアはシャナに急にキレたことについて責められなかったことが嬉しくて気づいていないようだ。シャナがリアを責めるなんてことはあるはずがないのに


「にしても、領主の息子が犯人かぁ。捕まえられるかなぁ」


 領主の息子、ということは領主に金やらコネやらで自身の息子の失態を揉み消す可能性があるな~、と考えリアはこういった


「ああ、バロウ・クズラージェは領主と仲が悪いそうなので全力で罰してくれると思いますよ?」


「うっわ。国境沿いの町なのに領主と息子が仲悪いとかよく近隣諸国に狙われないね」


「ああ、国境が#あの山__・・・__#ですからね……」


「?ああ!そういえばあの山ってだいぶ危険だったね」


 シャナたちが言っている#あの山__・・・__#とは、リアが野宿と言って言いのかよく分からない野宿をする前にいた、つまり、リアの師匠の家がある山のことだ。前にも言ったように、あそこの瘴気はとても濃いため近隣諸国に攻撃されることが無かったのだろう


「それにしても、捕まえられるなら良かったよ。1ヶ月も依頼人を待たせた挙げ句に依頼達成は不可能ですーとか言えないもん」


「んー2人ならそれはそれで許してくれそうですけど……」


「そう……かな?」


「ええ」


 シャナのいう通り、2人は、冒険者ギルドでの登録、また、冒険者として生きていく為に必要な知識を教えてくれたり、良い武器屋などの紹介をしたり、といったようにたくさん面倒を見てくれているため、リアのことが大好きだ。そのため、リアが自分達のせいで困っているのなら、法で罰すること“は”諦めてくれるだろう。まぁ、だからと言って復讐をやめることは無いだろうが。というよりこの程度のことで復讐を諦めるようならもとからリアが2人の手伝いをすることはないので、復讐を諦めることはあり得ないのだが


「さて、それじゃあ私はレンたちの所に行こうかな」


 そう言ってリアが立ち上がり、扉の方に行く


「料金は私が払っておくから、ここで小説でも書いたら?ここなら盗作される心配も無いし」


「じゃあ、そうさせていただきますね!」


 シャナの返事を聞いて、リアは満足そうにうなずき、この部屋から出ていった


「……」


 リアの足音が遠ざかっていき、最終的には外から音が聞こえなくなった。シャナはそれを確認し、


「本当は、もっと貴女の為に動きたいんです。でも、僕が行っても邪魔になるだけだから。だから僕は、貴女の無事を祈っています」


 悲しそうに目を伏せ、シャナはそう言った。この思いを口にする必要は無かっただろう。しかし、シャナにはこれがリアの依頼に深く関わらないでおくための誓いの言葉だと思っている






「ただいま」


「あ、おかえり」


「おねちゃんおかえりー」


 リアが宿に戻ってくると、ルリが抱きついてきた。そのため取り敢えずルリを撫でている。1週間前くらいから家に帰ってきたら毎回やっている。


「今日はどうだった?確か、Dランクの迷宮にチャレンジしてたよね?」


「2階までは問題なくいけたけど、3階から厳しくなって来たから、帰ってきた」


「そっか」


 Dランクの迷宮、というのは、迷宮にも冒険者ギルドが決めた強さのランクがあり、E→D→C→B→A→Sの順で強くなっていく。昨日まではEランクの迷宮に行っていたため、Dランクでも問題ないかを聞いていたのだろう


「そっちはどうだったんだ?」


「こっちは、シャナに会ってたよ」


「じゃあ!」


「見つかったよ。犯人」


 その言葉に2人は目を輝かせた。1ヶ月も、待たされていたのだ。当然のことだろう、とリアは考えたようだが2人が目を輝かせたのはこれ以上リアに迷惑をかけないですむ、と言う点だった。リアは気にしないだろうし、そもそも迷惑だなんて思ってもいないのに


「犯人の名前は、バロウ・クズラージェ。ここの領主の息子だって」


 そう言うと、リア以外誰も動かなくなった


(おかしいな。2人に異常はなさそうだし、レンたち自身の魔力以外感じないから魔法を何者かに使われたってこともなさそうだし……なんで固まってるんだろう?)


 そんな風にリアが考えていると答えが本人の口から出てきた


「そんな偉い奴、法で裁けるのか……?」


「ああ、そういう」


「?」


「急に固まったから何なんだと思ってたんだよ」


 リアの言葉に困惑したレンたちに、何故そう言ったのかの説明をする


「で、質問の方の答えだけど、問題ないよ。ここの領主と領主の息子は仲が悪いみたいだからね」


「あっ、そうなんだ」


 その返答にそこから政治の情勢とかに結びつけられないのは冒険者やってて面倒なことに巻き込まれる可能性上がるから不味いよ~。と、脳内で突っ込みを入れながら、元から聞く予定だった質問をすることにした


「さて、一つ質問しておきたいことがあるんだけどいいかな?」


「?何だ?」


 何かあるんだろうか、と言うような目できょとんとリアをみながら、レンがそう言った。それに対してリアは笑みはなく、ただ心健な表情になった


「復讐対象は貴族です。それでも、復讐をすることを止めませんか?それとも、止めますか?」


 ここではじめて、リアはレンたちに敬語を使った。この返答しだいでは、今日から赤の他人となるからだ。復讐を止めただけで赤の他人になるのか、と思う人も居るだろうが、リアは極力依頼人ではない人と深く関わらない。リアは多くの依頼人の為に、多くの人を殺している。故に依頼に無関係となった人物をリアに対する復讐等に巻き込まないようにするためだ


 そしてレンの返答は


「止めない」


 即答だった



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