序論
――では諸君、これより講義を始めよう。
わたしが『小説家になろう(以下なろう)』において執筆している作品『なまこ×どりる(以下なまどり)』や、あるいは短編の『メリリース・スペンサーの苦難の日々』『イングリット・グラッツナーの特筆すべきことの無い日。』『白の女王の覚醒』は全て主人公が異なるが同一の世界観をベースとした作品群である。
長編のなまどりは、現時点で文章量が30万字程度あるが、ノープロットで書かれた作品であり、にもかかわらずそれなりに伏線がばら撒かれていたり、単純ではないストーリーに思われているのである。拙作にはありがたい事にファンの方がついてくれていて、彼らが言うことには物語や世界に厚みがあると。
もちろん、わたしも薄っぺらな話を書くつもりで執筆している訳ではないが、その厚みはどうやって発生し得たのか。
それが世界観と設定量である。
わたしはTRPG(注1)ゲーマーであり、オリジナルワールドやルールを作成するタイプのゲーマーでもある。割と世界観マニアと言っても良い。
この文章はそんなわたしが、どうやったら厚みある世界観を作れるのかというヒントを受講している君たちに与えられればというものである。
追記してTRPGゲーマーがどのようにシナリオを考えるのか、小説との親和性や相違点についても語れたらと思う。
また、話題は主にファンタジー世界をベースにした小説やTRPG向けの世界観について書いていく。それ以外の世界でも応用は効くと思うが、それは各自で考えること。
不明点あれば感想などで質問いただければ答えるものとする。
定義付けしておこう。
「この文章は、ファンタジー作品の世界観を普通にテンプレで書いていれば良いのに、わざわざ拘ってオリジナリティを出したい者。それも複数の長編に跨がるような大規模な作品を書こうとする者や、TRPGの背景世界を創りたい者に向けての講義」
である。しかもわたしはプロでもなんでもない。
それで良ければ読むと良い。
またこの作品はその性質上、拙作や他のなろう作品、ライトノベル、TRPGなどの引用が多い。
後書きに注釈は記載していくが、知っていた方が読みやすいのは間違いない。分かりづらいと言うのであれば、連絡頂ければ修正を検討する。
では次話より本論に入る。
次回予告
「世界観の重要度」
折角なので、毎話終わりに問題をつけようか。別に解答はしなくて良いが、考えてみてから次話を読んでみてくれ。
ただし、この問題と解答はあくまでもわたしの個人的見解であり、正しさを保障しないものとする。
では問題。
「魅力的な世界観、魅力的なキャラクター、魅力的なシナリオ。
なろうで作品を書くのにおいて重要度が高い順に並べよ。」
注1
TRPG
テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム
コンピュータRPGの元となったゲームの種類。
ゲーム毎に異なる世界観で、そこに生きるキャラクター(ファンタジー世界の魔法使いや、現代の闇に潜む妖怪、SF世界の殺し屋など)を演じつつ進行していくゲームのこと。
次話は今夜投稿。
以降は週1か週2で投稿するかと思う。
感想返しは基本的に行わない。
質問があった場合は返信するか、次話でその内容を取り上げるかするものとしよう。