喉痛かったり口の中しょっぱいんだけど風邪かな
それからも多少グダついたりしながらも、最終的にはベイジルの管理下、という扱いに収まった。
他の業務もあるリディア嬢やローガン氏と別れて、服やらなんやらを適当に買った後。
「ごすずん、本気か?」
「冗談なもんか」
ここは実はジョークだぜハハハと言って欲しい現実が待っていたのは、ごすずんの現在の拠点に着いた時である。
「当機の目が異常でなければ、控えめに言って廃墟では?」
「壁があるんだから立派なもんだろ?」
屋根があるだけと、堂々と言えない程度には壁も無い訳だが。
吹きさらしどころの騒ぎじゃない、圧倒的廃墟がそこにはあった。
周囲一帯も割と荒んでいる地域に何の用かと思えば拠点とは、やはり……頭の方が……
「元はそれなりに立派な建物だったんだぜ?」
懐かしい記憶を思い出すような所悪いが、必要なのは今立派な建物なんだよなぁ。
「ごすずん、野宿する場所を拠点とは言わんのだぞ?」
「仕方無いだろ、金が無いんだから」
それを言われると弱いのが、服なぞ買わせてしまった事実である訳で。
荷台に積んだ戦利品の代金は明日以降の支払いとなり、元々貯金も無かったベイジル。
なんでも今の装備を整えてこれから! というタイミングでの盗掘もとい探索だったらしく。
残っていた最低限の資金も服や食料に消えたとなれば、残された手段は少ない。
「頼りも無し、金も無し、家なんて持ってるはずもないし。そりゃ野宿にもなるさ」
そう言いながらまるで熟知しているかのように風に当たりにくそうな場所を陣取る。
元の様子を知っているという情報や慣れ、崩壊というより破壊に近い痕跡から考えて。
……まあわざわざ過去を詮索する必要も無いか。大事なのは今って偉い人も多分言ってたし。
「だから今日はさっさと食って寝る。……そういえば、お前は飯とかなんか必要無いのか?」
固そうなパンみたいなものをごそごそやりながらそう質問される。
「食べる事は可能であるが、必要かと聞かれれば不要だぞごすずん」
上限が良くわからない動力だけあって、稼働可能時間も推定で永遠とかいう試算が出ている。なんて優秀なんだろーなー。
「そうなのか。便利だな」
どの位凄いのかよくわかっていないごすずんであるが、まあわざわざエネルギー保存だのなんだのと言った事を説明する必要もあるまい。
「まあ不要なだけで可能ではあるから、美味しいものなら歓迎だぞごすずん」
「へーへー。そんくらい稼げるようになったらな」