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いまだふくそうにへんこうなし

「お名前は言えるかしら?」


「ソラです。ごすずんに付けてもらいました」


 ベイジルごすずんが何処かに連れていかれた後、当機はリディアなる受付嬢と二人きりで個室に入っていた。


 正直な話勘違いされているということは人間の生息地に溶け込むことが出来ることを示しているので、利用価値という点においてはアレなのだが。


 とはいえここまで案内させたり名前を貰った恩もある訳だし、いつまでも誤解を引っ張って処罰させるというのも、もにょる。


「あの、このままだとごすずんはどうなるんですか?」


「ソラちゃんは気にしなくても大丈夫よ……まあ正直な話、誘拐とかでなければ罪には問えないのよねぇ……」


 ぼそりと呟かれた後半部分であるが、優秀な当機は難聴ではないので聞き漏らすことは無い。


 やはり人の命は軽いのだろうか。『私』の価値観とは大分異なる割に『私』が違和感を覚えないのも中々どうして。


 壁に近い場所にこういった施設があり、壁から離れるほど治安とかが悪そうというかなんというかだった道中から察するに。


 恐らくはスラムだとかそういったモノで、壁の中とは別世界だったりするのだろう。で、壁の外に人権なんぞねぇ! と。


「お父さんやお母さんの名前とか、住んでいた場所の名前はわかる?」


 その割にくっそ迷子の女の子扱いされているのは、別の都市から拉致って来た場合とかを想定しているのだろうか。


 まあやせこけたりしているどころか実に健康的で恐らくはビジュアル的にも最高峰だろう当機である。


 可愛らしいお洋服でも着ていれば、傍から見れば上流階級のお嬢様だって名乗れるだろう。……誰が会話内容や行動なかみが粗雑じゃい!


製作者おとうさまの名前とかは知りませんし、此処が何処なのかも知りません」


 そもそも当機の名称すら知らなかったしね?


「そう……」


 申し訳なさそうな、暗い顔になるリディア嬢。恐らくは目の前のソラちゃんの壮絶な生い立ちだとか悲しい過去を想っているのだろう。


 そんなものないけどな! こちとら目覚めて年経ってないどころじゃないけどな!

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