防戦一方
…何度か雨が降ったせいか以前吹き飛んだ山肌の溶岩は固まってもう黒煙すら出ていないヴァルケーノ火山の中腹にみんなは集まっていた…「いよいよだな…」
黒い禍々しいオーラをまとったベヒモスが南の空から近づいてくるのを見て優也は鳥肌が立つのを感じた。
「さあ…僕ちゃんもきて来てやったぞ…最初は誰からだ?かかって来いよ…」
「俺が相手だ…」優也が名乗り出たのを見て、イミテは不敵な笑みを浮かべた。
「ほう…真打ち登場とは…早すぎないか?
大将がやられてしまっては後は烏合の集と化すのではないか?」「…遅かれ早かれお前とはケリをつける運命だったからな…ティナと一悶着あった時にキチンと懲らしめておかなかった僕のせいだ。今、ここで全て全てを終わらせてやる…」「ベヒモスに倒されて終わるのはお前らだ…やれ!ベヒモス…」
僕はベヒモスに跨ったイミテと対峙する…
少しの静寂の後、ベヒモスの肩周りの筋肉がピクリと動いた…「クロノ!」その一瞬を見逃さないで優也は時間の流れを遅らせた…
ベヒモスの超スピードは魔法力が日々進化してきた優也によってもはや通用するものでは無くなっていた…
優也が避けた後、クロノが解除されイミテは
大声で笑った…「はーっはっは!避ける事しか出来ないだろう!ベヒモスは魔法が通じない…最後はお前達の魔法力が尽きてベヒモスの餌食になるのが見えるわ!」
ベヒモスは翼を広げて宙に浮いた…空から僕達を襲うつもりである…ベヒモスは口を開けて真空波の渦を吐いた…
「ヴァルプルギスモード!」優也は光に包まれてシルクハット、タキシード姿に変わった…そしてその紅い瞳でベヒモスを見つめ、
時間を止めた…「バリヤー!」皆の前に立ちはだかった優也はベヒモスの真空波を障壁で受けた…
ベヒモスの真空波の威力は障壁越しに優也にビリビリと伝わった…「くっ!何て威力だ…本当にバケモノだ!」
その時、ナギは優也にテレパシーを送った…
「優也さん…準備が出来ました…行きます!」「うん!」
ベヒモスに向かってジリジリと緑の蔦が間を詰めていた…ナギが受け継いだエクスの得意魔法で空中のベヒモスに向かって蔦が伸びてゆく…「そう何度も同じ手は食わないよ…」イミテは蔦をかわしてベヒモスを地上に下ろした…そしてベヒモスの口から火炎の息を吐かせて蔦を燃やしてしまった…
「あっ!」「はっはっは!お前達の手はもうお見通しだ…さあ!お遊びも終わりだ…全員、血祭りに上げてやろう!」




