ミスとリル
「おめでとうございます!!
良かったですね…可愛い双子ちゃんですよ!」
「優也…本当に良かったね!」
「優也さんもティナちゃんも本当に幸せもんだよ!」
病院に一緒に駆けつけてくれた母親と管理人さんと一緒に感動と喜びを分かち合う事が出来た。
僕は子供達もすごく愛おしかったが、
ティナに心から感謝の言葉を伝えたかった…
「ティナ…本当にありがとう。愛してるよ。」
「ダーリン…私も…」
二人とも言葉にならない想いが自然に握り合った手から伝わっていく…
僕達だけでなく、そこにいるみんなの目に涙が溢れ出た…
僕とティナは世界で一番幸せな家族を手に入れたのだった…
そしてさらに三年の月日が流れた…
「リルったら…それあたしのだよ…」
「いいじゃん…ちょっとくらいさ…」
「こら!ダメでしょ!二人とも…ケンカしないの!!」
「はーい!」
「ねえ…パパ!かたぐるましてよ!」
「あーずるーい!あたしも…」
「うーん…
パパの肩車は一人乗りだから順番だよ!!」
「ねぇ…ダーリン…私もその…」
「はいはい!!」僕はティナに口づけた…
「あ!パパとママがキスした!」
「キスだキスだ!わーい!」
「だってパパはママが世界で一番大好きだからさ!」
「まあ!うふふふふ…」
僕は照れるティナを思いきり抱きしめた…
僕とティナ…娘の美珠、息子の理珠の四人で幸せに暮らしていたある日の夜…
その日もティナと初めて出会ったあの日のように雨が降っていた…
仕事が終わって車で愛する家族の元へ向かって急いでいた僕は丁度、ティナを見つけた辺りで不思議な人影を目撃した…
その人影は男性か女性かも分からない…というのも初夏にも関わらず分厚そうなフード付きのローブを着て何かを探しているような様子だった。
車で通り過ぎる一瞬だったが、その人影と目が合ったような気がした…
「あれは魔法の因子…やっと見つけたぞ…プラティナ…」