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奥さまは魔王女  作者: 奏 隼人
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豆大福

「本当にティナちゃんはいつもお友達が周りに居て楽しいでしょう」「え、ええ…でもこうやって管理人室に招いて頂けてお喋りするのも同じ位楽しいですよ…」管理人さんとティナが親娘のように話している中、お茶菓子を囲みながら僕達は対ベヒモスの策を練った…「そうそう…思い出した…」そう言われた管理人さんは身支度を始められた…




「あの怪物に直接的な魔法は全く効かない…

だからクロノのように時間を止めたり植物で拘束したりする魔法を利用して倒すしかない…しかも奴の動きは超スピード…何度も同じ手は通じない…」優也は目を伏せる…


その時、小さな光の粒子が僕の目の前に移動してきた…


「おひい様…このような時ですが、ご報告したい事が…」パルテさんの声だ。

「何じゃ…申してみよ!」「実はエクスと話したのですが…我々も自分達の子孫…王女の守護霊となる事にしました…」するともう一つの光の粒子も揃って「おひい様…伝説の策士…パルテに何か考えがあるようですよ…」


「ほう…面白い…では思うままにやってみよ!」僕の中のヴァルの声は楽しそうに弾んでいるようだった…

「御意…」光の粒子は大きな光となり、それぞれナギさんと愛ちゃんを包んだかと思うと…二人の身体の中に吸い込まれるように入って行った…二人の目の中に紅い輝きが宿った…「あれ?私…」「すごい…力が溢れてくる…」


優也とプラティナと同じく、伝説の魔女が守護霊になった二人の王女の魔法力は桁違いに上がった…「アイ…お前の巫女としての才覚…私も誇りに思うぞ…これからは私と共に世界の為に尽力するのじゃ…」「はい…パルテ様…」


「ナギよ…少女のように自然を慈しむ心…その心で私と共に多くの人の為に尽くすのじゃ…」「はい…エクス様…」


「優也くん…大変…ベヒモスとイミテが無差別に街を攻撃し始めたわ…すごい!パルテ様の能力…対象物を自動追跡出来るのね…」アイはパルテの力を得て未来眼の能力がパワーアップしたようであった。


ナギは自分の生命力が溢れてきているのを感じていた…頭の中にエクスの声が聞こえてくる…「ナギよ…その潤沢な生命エネルギーを今、使うべき相手がすぐ近くにいるのではないかな?」ナギはエクスの言葉にハッと気づく…「そうだ…私…行かなきゃ!」「待ってーな!姉ちゃん!」ナギとムラサメは急いだ様子で瞬間移動をして何処かへ向かって行った…


「後は…黒いオーラをどうするかじゃったな…」重々しい口調のヴァルの声がみんなの頭に届いた時に、コンコンとドアをノックする音がして少し買い物に行ってくると言って出て行かれた管理人さんが帰って来られた…「近くに美味しい豆大福があってね…はい…皆さんでどうぞ…」僕達に振る舞ってくださった…


「…優也!コレは美味いな!わらわは気に行ったぞよ…」ヴァルは豆大福がお気に入りらしい…さっきまで命がけの戦いをしていたのに、お茶と豆大福がみんなの心をホッコリ癒していく…


その時、管理人室のドアがガチャッと開いて「パパ!」「ばあばと一緒に来たよ!」ミスとリル…それからお義父さんとお義母さんが入って来られた…「その節は…いつもお世話になってしまってすみません。皆がこちらにお邪魔してると聞きまして…ワシらもお邪魔させてもらってよろしいですかな?」「もちろんですよ…どうぞどうぞ…」管理人さんは優しく迎え入れてくださった…


「あっ!こ、これじゃ!…いいのが見つかったわ!」突然ヴァルが声を上げた…

「どうしたの?豆大福?」「そうではない!

黒いオーラじゃ!」「えっ?」


その時、更にドアが開いて笑顔のナギさんとムラサメが帰ってきた…「すみません…戻りましたわ…」その後に続いて入って来られた人物を見た時、僕達は息を飲んだ…



「ソ、ソーディア王…」


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