ご先祖様の声
ヴァルケーノ火山近くのカルデラ湖…リルがヴァル達の封印を解いた風穴から奥深くにイミテはベヒモスを隠して捕らえたナギとアイを魔法で作った牢屋に放り込んでいた…
ベヒモスは長い舌を使って湖の中の魚を捕まえて丸呑みにして食べている…
牢屋の前に現れたイミテは二人に向かって「ねぇ…そろそろ僕のお嫁さんになる気になったかい…僕が世界の王となってミラールかソーディアを大きくしてあげるよ!それとも僕達二人の名前を国の名前に付けるかい…?そうだ!二人ともお嫁さんになってくれるなら三人の名前を付けよう!どうだい!素晴らしいだろう…」
ナギもアイもイミテの意味不明な提案が気持ち悪すぎて返事もする気になれなかった…
「なんだよ…つれないなあ…フン!まあいいや…ゆっくり考えてくれれば…あ、そうそう…この牢屋には結界を張っておいたから魔法は通じないよ…気が変わったら言ってね…」そう言ってイミテは牢の前から去って行った…
ナギは優也が助けに来てくれると信じていた…しかし優也の優しい笑顔を思い浮かべると涙が溢れてくるのを止める事が出来なかった。「優也さん…」涙が頬を伝って地面に落ちていく…
アイはナギの背中に手を当てて「ここで泣いていても何ともならないわ…それより何とかしてここの場所を優也くん達に伝えないと…」アイが脱出方法を模索していると、アイの頭の中に声が響いた…
「ミラールの巫女よ…聞こえているか?魔法とは違う術で通信している…私はパルテ…お前の何代も前の先祖だ。私の魔法力でもお前の因子を見つけられないという事はお前は今、結界の中にいるのだろう…お前の信頼すべき仲間よりお前自身に縁のあるものを借りた…私の未来眼でお前の様子を見抜く…準備をしておくのじゃ…」
…準備…アイはご先祖様…パルテの意図を汲み取ろうと考えた…
そして二人は耳打ちしながら牢屋からイミテを呼んだ…
「イミテちゃ〜ん!私達、ちょっと聞いて欲しい事があるんだけど…いいかなぁ…!」




