嵐の予感
「なるほど…実は以前に…」僕はミスとリルが二人の呪文を組み合わせて極大消失呪文を
放ったことをヴァルに話した…
「…それはおそらくはガンマータじゃな」「ガンマータ?」「アルファの呪文とベータの呪文を組み合わせて放つレガシーの中でも究極魔法の内の一つじゃな…ただ、お主が言う威力から考えると魔法の練り方が不完全じゃ…魔法の達人は自分で魔法因子の配列を組み合わせて最効率の状態で放つ…そしてまあ、わらわ位になってくると因子の誘発効率まで考えられるのじゃ…」「ヴァル…難し過ぎて分からないよ…」「まあ…つまりは素養があってもやり方が分からないとダメと言うことじゃ…お主のレガシー…クロノもヴァルプルギスモードの時には別魔法のようになったであろう…」
「確かに…ヴァルってやっぱり凄いんだね…」「お主…あまりわらわの凄さを知らなかったのだな…」ヴァルは少しガッカリしているような声で呟いた…
「大丈夫だよ…僕にはヴァルが付いていてくれるし、子供達をなるべく危険な目に遭わせたく無いからね…」「お主は本当に気楽じゃのう…闘いというのは何があるか分からんぞ…はぁ…」ヴァルの大きなため息が聞こえた…
ヴァルケーノ火山の中腹…ヴァルプルギスの居城は今や、エクスとパルテの拠点となっていた…
ヴァルが優也と並んで座るために作った玉座の間にエクスとパルテは深く腰掛けていた…
そして二人の魔女の前にひれ伏す一人の男の姿があった…
「そなたが我々に仕えたいという者か?」
「はい…伝説の魔法使いの一番弟子になりたいのです…あの…もう一人の方は…」
「それがのう…ダイナとは連絡が取れんのじゃ…敵に裏切り者がおってのう…やられてしまったやもしれん…ところで我々は弟子は取らんのだが、家来で良ければ置いてやるぞ…しかし…何故また我々の所へ?」
「ちょっとジュエラ王族には恨みもありまして…貴女方と一緒に世界を征服して奴等を私の家来にすることが今の望みなのです…」
二人の魔女は顔を見合わせてニヤリと笑って「お主、面白い奴じゃのう…名は何と申すのじゃ?」
「はい…私の名はイミテ。かつてはジュエラ王国の王女を妻にして国王になるはずだった男でございます…」




