シャーマンの技
「会って…じゃと…そりゃあワシだって会えるものなら…！」ゴルドはハッと我に返って「そうか…ミラール王国の巫女のお主ならシャーマンの技も使いこなせるか…」「はい！お手の物ですわ！ただ…お墓の場所に行かないと…」
「…ねえ…ナギ…アイさんって何をするつもりなの？」会話を聞いてピンと来ないティナがこっそり耳打ちするように訊いた…「口寄せですわ…つまりは死者を自分の身体をつかって一時的にこの世に蘇らせるのです。人間界にも伝わるミラール王国伝統の技です。」
「なるほど…その師匠って方をアイさんが呼び出してヴァルプルギスの事を聞き出すって事なのね…」
「ティナ…すぐにシルヴァを連れてきてみんなと人間界に行ってくれ！」「お母様を？」「ああ…シルヴァの瞬間移動は一級品じゃからの…微弱な魔法因子の反応も辿っていける筈じゃ！シルヴァを呼んで来るのじゃ！」「分かったわ…お父様…」
こうしてシルヴァと一緒に待っていたミスとリルを加えたプラティナ達は自分のマンションの部屋の物置のドアからぞろぞろと人間界へやって来た…
全員で管理人室の前を通ったその時、偶然管理人さんが部屋から出て来られた…
「おや、ティナちゃん…あらあら沢山のお客さんなんだね…」「あっ、管理人さん…」
ティナはゴルドとシルヴァに「こちら管理人さんです。私のことを本当の娘のように可愛がってくれている方です…管理人さん…永い間申し遅れてすみません…こちらが私の両親です…」「まぁ…ティナちゃんの…はじめまして…そうかい…ご両親に理解して頂けたんだね！私も嬉しいよ…何だか涙が…」
「あなた…」「うむ…人間が変わったというのは改めて本当なのだな…」ゴルドは管理人さんに頭を下げて「ご挨拶が遅れて大変失礼しました。私がプラティナの父親、ゴルドでございます。」「娘夫婦がいつもお世話になっております。母親のシルヴァでございます。」「まあまあご丁寧にありがとうございます…ティナちゃん、いいご両親じゃない！品があってどこかの国王夫妻のようだね！」
「そ、そうですか？うふふふ…あっ、管理人さん…みんなを連れてちょっと出かけて来ます…」「そうかい…帰ったら声をかけてね。お茶菓子買っとくからね…」「ありがとうございます…」プラティナは手を振りながらマンションの角を曲がった…
「おや、しまった！ご両親って和菓子食べられるかな？おーい！ティナちゃん…」
管理人さんがプラティナを追いかけて角を曲がったが…どこにもプラティナ達の姿はなかった…
「ティナちゃん…相変わらず身軽な娘だねえ…」
