史上最強の魔女
「う…うん…!はっ!ここは何処じゃ?」ビーチに横になっていた女性は気がついて起き上がった。周りのみんながホッと安堵の表情を見せた…
「大丈夫ですか?急に意識を無くして湖へ…」「…もしや…そなたがわらわを助けてくれたのか?」「まあ…」「…人間は野蛮で自分勝手な下等動物の筈じゃぞ。おかしいではないか!」僕は彼女に向き直って頭を下げた…「すみません!僕の祖先達が貴女達に対して本当に酷い事をしてしまって…僕が謝っても許して貰えるとは思ってないけど、この世界の人間が嫌いな人にはこうして許しを請う事だけでもしていかないといつまでも人間は貴女方と仲直りは出来ないと思います…」
「お主は自分自身がした事でもないのに、どうしてそう素直に謝れるのじゃ?」「僕がもし貴女達の立場なら種族を蔑める事をされたら同じように思うから…人間として過ちは反省しないと…」「…ゴルドの言っていた事は本当なのかもしれん…人間は変わったのかもしれんのう…だが!」女性は背中からコウモリのような翼を広げた…光を失っていた目はまた真っ赤に輝き出した…女性は優也を抱きしめて…そしてそのまま、空へと舞い上がる…
魔界中の人々の頭に響く位のとてつもないテレパシーがみんなに聞こえる…
「魔界の全ての者よ!わらわは史上最強の魔女 ヴァルプルギスである!これより人間界を滅ぼして…と思ったが、人間に気に入った男を見つけた故、これをわらわのパートナーとして人間界は見逃してやる事にした…
しかしわらわのもう一つの夢、魔界をわらわが征服の元に統一することにする…
そこでヴァルケーノ火山にわらわの居城を建築することにした…異論のあるものはわらわのところへ来るがよい。逃げも隠れもせんわ。ではこれからよろしゅう頼むぞ!」
一方的な彼女の宣言に呆れている僕の足元から声が聞こえる…「ダーリン!」「ティナ…ヴァルプルギスさん…下ろしてよ!彼女は僕の妻なんだ!」
「なんじゃ…あれしきの女…わらわのほうが綺麗であろう…わらわはの、お主が気に入ったのじゃ。お主もわらわを好きになるがよいぞ…」ナギさんも愛ちゃんもこっちを心配そうに見ている…「…優也さん…」「…優也くん…」
僕は彼女…魔女ヴァルプルギスに抱き抱えられてヴァルケーノ火山の方へと連れて行かれた…




