認め合う二人
ソーディア王は続けた…「うむ…婿殿よ…お主は人間の自分が何故魔法を?と思ったであろう…」「…はい。」僕は驚きながらもソーディア王の言葉に頷く…
「実はな、魔法力の素…魔法因子は人間も持っておるのじゃ…そして昔の人間は訓練次第で我々と同じように魔法が使えたらしいのじゃ。しかし、魔法因子を先天的にコントロール出来る我々とは違い、人間は魔法因子を任意で飛ばすことが出来ず、コントロールも出来ない。しかし、人間は我々に無い魔法因子を持っておるのじゃ…」
「そうか…魔女裁判や魔女狩りで裁きを受けた人間は…」「そう…残念な事だが同族内での虐殺と我々へ対する決別の出来事だったのじゃ…話を戻そうか…その人間の魔法因子は我々の因子を+《プラス》とすると人間の因子は−《マイナス》なのじゃ。この関係が非常に大事なことでの。二つの因子の配列が共鳴を起こしてとてつもないエネルギーを生み出すのじゃ。お主達の世界に置き換えると中性子の反応に似てるというと解り易いのかもしれんな。」
「なるほど…これで大体想像がつきました…
僕はこの世界に来て人間界にはないプラスの因子に影響を受けてマイナスの因子が目覚めた…そしてその因子を魔法でナギさんに送ってナギさんに纏わせた結果、両方の因子を持っているナギさんの魔法力が爆発的に上がったということですね…」「うむ…確証は無いのだがおそらくはそのような事だと思うのじゃ。」「しかし…僕は一体どんな魔法を使ったのでしょうか?」「それはの…クロノと呼ばれる魔法じゃ…この世界ではレガシーと呼ばれておる…」ソーディア王の言葉にまたみんなが驚きを見せた…
「レガシー?クロノ?それは一体?」
「レガシーというのは忘れ去られた魔法…つまり今、使える者が居らんということじゃ、幾つかあるレガシーの魔法からお主はクロノという魔法を使った…クロノというのは自分以外の時間の流れを変化させる魔法じゃ。お主のはまだ不完全じゃが、完璧にコントロール出来れば時を自由自在に操れるじゃろう。上手くいけば止めることも可能かもしれんぞ…まあ、人間界ではプラス因子が圧倒的に少ないためにエネルギーの確保が出来ないために無理だと思うがのう。」
「なるほど…僕の事は理解りました…しかし…なぜアイさんは僕との子供を?…」「…お主の遺伝子が欲しいのじゃろうて。自分のプラス因子と婿殿のマイナス因子を持った魔法のエリートが…」
「じゃ、じゃあ…ミスとリルが拐われたのは…」「…言い方は悪いがあの子達は完成品じゃからのう…事が上手く運ばなければ代わりに…と目論んでおる可能性はあるな。ゴルド達は明らかに予定外じゃろうがな。」
なるほど…ソーディア王のおかげで仮説とはいえ、全ての謎が解けた…
「さて…これからどうやってゴルド達を救出するかじゃが…」「お力添え頂けるのですか?」ラリーさんが大きく目を見開いた…
「勿論じゃ…あやつはこのワシの無二の親友。それに先日はみんなに迷惑をかけてしまったからのう…」
僕はソーディア王に「僕はこの世界に来て誰も頼れる方は居られませんでしたが、家族が増えて…ゴルドさんをお義父さんとお呼びする事が出来て本当に僕は幸せ者だと思っております。しかし、お義父さんと同じ位に尊敬してやまない方が居られます…それはあなたです…ソーディア国王様…」と言って跪いて頭を下げた…
「ワシもお主が本当の息子…ナギの婿殿だったらと何度思ったことか…しかしお主がプラティナを愛しておることは重々承知じゃ。
仕方ないとは思うておるが…ワシもナギもそしてムラサメも諦めてはおらん故に二人が仲違いするような事があればいつでもソーディアに迎える準備はある事を心に留めておいてく欲しい…」「国王様…」
「あ〜らおじ様…残念でした。私とダーリンは絶対に離れることはありませんわよ!ねぇダーリン!」
自信たっぷりのティナだが、ずっと僕の手を握って離さない…ティナのためにも早く四人を助けださないと!




