悲しみのティナ
「ど、どういう事?」「…私達ミラール王国はちょっとあなた方、ジュエラ王族にお願いがあるのです。特にプラティナ王女…あなたに…」
ティナは怒りを露わにして「お願い?…こんな事をされてお願いをはい、そうですかと聞くと思っているのですか?」「無礼は承知の上です。事が上手くいけば、非礼を詫び、それ相応のお礼はさせて頂きます。」「…四人とも無事なんでしょうね…」「それはあなた方次第です。私以外には連れて帰れない所におられますので…ゴルド様は魔法で何でも出せるでしょうから食事やその他に困る事はないと思いますよ…ただ脱出は不可能ですが…」
「それはあなた方の用件を呑むしかないという事ですか?…」「…そう思って頂いて結構ですが、私達は領土を侵略するとか、内政干渉をするつもりはさらさらありません。ただ私達に少しだけ協力して欲しいのです。」
「協力?分かりました。先ずはお話を聞いてからお返事させて下さい。私にお願いがあると言われましたね…私にどのようなことを協力せよと仰るのですか?」「…我慢して欲しいのです。」「我慢?」「そうです。あなたはご主人…優也さんを心から愛している。そうですね?」「勿論です!それが何か?」ティナはハッと何かに気づいたように「もしかして…優也さんを貴方に差し上げろと仰るのですか?でしたらそれは無理です。」「そうではありません。」アイの否定の言葉にホッと胸を撫で下ろすティナだったが、アイが続けた言葉を聞いた僕達はまた耳を疑った…
「優也さんに協力してもらって私の子供を作って頂きたいのです…」
ティナは目を見開いてその場に膝から崩れ落ちた。「そんな事…」僕はティナの気持ちを察して…「待ってよ、愛ちゃん!せめて理由だけでも説明して欲しい。他に方法が無いことなのか…一緒に考えようよ…」「理由は言えません…私があなたの子供が欲しいのです…ただ、イエスかノーか考える時間くらいは差し上げます。2日後のこの時間にこの場所へ優也さんとティナさん二人でお越し下さい。良いお返事をお待ちしております…」そう言ってアイさんは暗闇の中へ消えて行った。
ティナは悲しみに打ちひしがれて最早、誰の言葉も彼女には届かなかった…




