祈祷師
その後…家に着いた僕に「あーん!ダーリン!寂しかったわ…さあ…キスで慰めてね!」
「はいはい!ゴメンね!」僕はティナに口づけた…
「ダーリン…綺麗な人いた?」「うん。」
「えーっ!どんな人…?」「僕が世界で一番大好きで今、僕の前にいる人!」「きゃーっ!もう…あなたったら…」
その様子を奥で聞いているミスとリルは…
「ねぇ、おねえちゃん…ママってパパのことホントにすきなんだね。」
「パパもママのことだいすきだからね。しかたないよ。だってじいじもばあばのことだいすきでしょ。だからばあばもじいじのことだいすきだし…うちのかけいじゃないの?」
「おねえちゃん…」「なあに?」「かけいってなに?」「…あまりよくしらない…」
そして次の日、ティナと一緒に頼まれていた例の王宮の祈祷に参列した…
残念な事にその日は小雨で色とりどりの傘の花が咲く…王宮の中庭に並んだ参列者の前を祈祷師が横切る。昔ながらの番傘でお顔は拝見出来ないが白装束に赤袴…神事を司る高位の魔法使いが来られると思っていたのだが、これはまるで巫女さんのようである…
一通りの祈祷が行われた頃、雨は止んで、祈祷師が僕達の前で傘を畳んで一礼された。僕は手を繋いでいたミスから祈祷師の方に視線を上げた瞬間、息を飲んだ…!
「あ、あ、愛ちゃん…!」
彼女は「こんにちは」といいながらニコッと微笑んだ。
ティナは僕の様子に驚いて「彼女を知ってるの?彼女は神道を司るミラール王族の姫…」
「そうなんだね…僕が知ってる彼女は
僕の高校の同級生だった…そしてその頃僕はお付き合いを申し込まれて…しばらくお付き合いをしていた彼女がいたんだよ。」
「ダーリン…まさか…」
「そう…高校生の時に付き合っていたのが彼女…未羅 愛ちゃんだよ…」




