あなたのように
そして森に駆けつけてくださったお義父さんとソーディア王の強大な魔法力でスクリュードの捜索に関わった人達を全てジュエラ王宮へと運ぶ事が出来た。
「婿殿よ…聞けばこの度の事は全てムラサメが姉を思い遣ってした事なのだ。だから許してやって欲しい…」「この度は息子が仕出かしてしまった事について本当に申し訳無かった。心よりお詫び申し上げる。」国のトップ…首相か大統領クラスのお二人から謝まられたらもうどうする事も出来ない。只々恐縮するばかりであった。
ティナは僕を見つけて駆け寄って来て皆の前で人目を憚らずに口づけてきた…
「ダーリン!ダーリン!」ティナの豊満な胸で抱きしめられて「い、息が…苦しい!」
「あっ!ゴメンなさい…」その時、「グウ…」二人とも同時にお腹が鳴った…僕達は顔を見合わせて笑い合う。
「そういえばお昼を食べそこなっちゃったね…」僕は時計を見る…しかしまだそんなに時間は経っていなかった…「あれ?おかしいな?」ティナも結構時間が経っていたような気がしていたので少々驚いた…優也の手から放たれた優しい光…ティナは思った…「まさか…ね…」その後、捜索に関わった人達全てに昼食が振る舞われた…
貴賓室のベッドでもう一度ゆっくり休んでいるナギの側でムラサメはじっと顔色の良くなったナギの顔を見つめた。ナギはゆっくりと目を覚ました…
「お加減はいかがでしょうか?」僕とティナはナギを見舞って貴賓室のドアを開ける…
ムラサメが口を開いた…「兄ちゃん…ワイはずっと人間なんて魔法の使えへん、弱いしょーもない種族やって思うとった…でも姉ちゃんを助ける事が出来たのは結局あんたが持ってる優しい心の力やった… しかしな、ワイはずっと信じてきた己の武力をこれからも信じて行く…あんたとは違う方法でワイはソーディアを大きくするつもりや!これからも姉ちゃん共々よろしゅうな!…あ、それとな、ワイは兄ちゃんのこと諦めた訳やあらへんで。絶対姉ちゃんの旦那になってもろてワイと一緒にソーディアを大きくしてもらうつもりやから…そのつもりでな。ほな、ワイは一足先にかえりますわ!さいなら〜!」優也の反論の余地なくムラサメはソーディアに帰って行った。
「優也さん…」「はい…ナギさん…」「ワルキューレの花の話…覚えててくれたんですね!」「ええ、あっ!でも花言葉は?」「…ワルキューレの花言葉は二つあります…白い花は乙女の想い…そして赤い花は…乙女の決意。私…それを勘違いしたんですね…貴方の優しさが欲しくて、私、あなたを何としても手に入れたかった…ムラサメがあんな事をしなくても、きっと私も同じような事をしてたと思います。でも本当に決意しなくてはいけなかったのは優しいあなたを手に入れる事では無くて私自身が優しい心の持ち主になる事だったのです。獰猛な獣に力じゃなく、心で理解してもらうなんて…きっと何倍も難しい…けれど、私はあなたのようになりたい。そうして王族として国民の信頼を得て行くつもりです。いつになるかは分かりませんが、もし…それが出来た時は…少しだけ私の事をほ、褒めてもらえますか?」
「勿論!…喜んで!」優也は笑顔で答えた。
ティナも二人と一緒に心から笑った。
その夜、ティナがベッドの中で僕に口づける…「ねえ…ダーリン!私、またダーリンのこと好きになっちゃった!もう…仕事中に会いたくなったらどうしよう!」「ティナ…いつも一緒にいるじゃない…」「そうだね…そうだけど…私、あなたがいないと自分がダメになっちゃうから…」ティナの可愛い表情に僕はもう一度彼女を抱きしめて口づけた…




